遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

インドが南シナ海でベトナムと共同でガス田開発

2011-09-18 00:18:51 | EEZ 全般
 ベトナムは、南シナ海への中国の覇権拡大に、ASEAN各国との連携を主導したり、ASEAN + 米国で包囲網の構築を進めたり、時には一転して中国と平和協議をすすめたり、反中でもを黙認したり取り締まったりと、あらゆる手を駆使して対抗していますね。
 米国も、シンガポール、フィリピンとも強調したり、日豪とともに合同訓練するなど、包囲網造りを側面で進めていますね。
 この包囲網に、インドも加えるべきとの諸兄の声もありましたし、遊爺も願っていましたが、なんと、南シナ海のベトナム近海でのガス田開発を、インドがベトナムと共同で進めるというのですからびっくりです。
 

南シナ海印越で開発 ガス・油田合意中国をけん制 (9/17 読売朝刊)

 
インド、ベトナム両国政府は16日、ベトナム沖の南シナ海でのインド国営企業による天然ガス・油田開発事業の推進で合意した。探査鉱区は中国との係争海域に位置するが、インド外務省は「ベトナムでのエネルギー開発を強化していく」方針だ。これに対し、南シナ海のほぼ全域の領有を主張し、同海を「自国の海」と見なす中国は猛反発している。

 【ニューデリー=新居益、バンコク=若山樹一郎】インドのクリシュナ外相は16日、ベトナムのファム・ビン・ミン外相とハノイで会談し、インド国営企業がベトナム沖の南シナ海でガス・油田開発を推進していくことで合意した。会談後の発表文によると、両国は「通商や投資、ガス・石油の探査など様々な分野で協力していく」ことを確認。南シナ海問題では「航行の自由を保障することで合意し、問題解決には武力行使や威嚇を避け、平和的交渉を通じて行うべきだ」と強調し、「両国間の安全保障面での協力を高く評価する」とした。
 インド外務省報道官は訪越前の記者会見では、「ベトナムとの通商経済協力を深める。(海底の)炭化水素開発分野で協力を進めたい」とも指摘していた。
 印PTI通信などによると、探査・開発を行うのはインド国営石油天然ガス公社。べトナム中部沖の「127」「128」の2鉱区について2006年に越当局と基本契約を結んでいた。投資額は2億2500万が(約170億円)という。
 インドが開発に乗り出したのはエネルギー需要増への対応に加え、領土、領海問題での中国の攻撃的姿勢をけん制するためだ。インド海軍筋は本紙に対し、「中国は将来、南シナ海からインド洋に重点を移す。それに備えてインドは先手を打つ必要がある」とも話す。
 インドは、ベトナムが導入するロシア製潜水艦の乗組員に対する技術訓練の提供や海軍基地の整備支援など、軍事面でベトナムとの関係強化も検討している。
 一方、ベトナム政府は、インドの開発参加で、係争海域での開発に消極的な米欧企業などの穴を埋めるとともに、南シナ海への国際的関与を促し、中国の突出を抑える狙いだ。印越両国政府とも、今回の開発計画について「(国連海洋法条約など)国際法に基づいて行う」と強調している。

南シナ海「米豪の国益」 2プラス2で共同声明
 
 【ワシントン=山口香子】米国とオーストラリアは15日、米サンフランシスコで外務・防衛閣僚会議(2プラス2)を開き、共同声明を発表した。共同声明は、中国と周辺国の緊張が続く南シナ海について、「航海の自由や、平和と安定の維持、国際法の順守は、国際社会と米豪両国の国益であることを改めて確認する」と明記。「いかなる国であっても主張を押し通そうと実力行使すれば反対する」とし、同海で領有権の主張を強める中国をけん制した。また、日米豪3か国で安全保障分野での政策連携を深める方針も確認した。

 米国は、日米豪の結束を強めるべく余念がありません。
 台湾、チベットと同様に、南シナ海を「革新的利益」に属する地域と公言している中国にとっても、かねて牽制はしていたようですが、つい最近平和的な話し合いで解決しようと協議したばかりでしたから、意表をつかれた様子です。
 

中国「管轄海域、開発に反対」 (9/17 読売朝刊)

 
【北京=大木聖馬】中国外務省の姜瑜副報道局長は15日、インド国営企業の南シナ海開発について、「いかなる他国も、中国が管轄する海域で原油、天然ガスの探査や開発を進めることに反対する。外国の関係企業が南シナ海問題に入ってこないよう希望する」と反発した。
 胡錦濤政権は8月末にフィリピンのアキノ大統領の訪中を受け入れ、今月上旬には戴秉国・国務委員をベトナムに派遣し、南シナ海での領有権問題を抱える両国と、問題を適切に処理していくことで一致した。11月にインドネシアで開かれる東アジア首脳会議で南シナ海問題が再燃しないよう、この時期に沈静化させておきたい思惑からだ。
 だが、今回、インドがこの時期に南シナ海問題に乗り出してきたことは「胡政権にとっては予想外」(外交筋)だったとみられる。
 米豪も再び中国をけん制する姿勢を強める中、胡政権は今後、同海域で巡視活動を強化し、ベトナムなどの動きをけん制する一方、ベトナム共産党トップのグエン・フー・チョン書記長の早期訪中を実現させ、首脳レベルで南シナ海問題の沈静化を図る方針とみられる。

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「許可ない活動違法」 中国、インドに警告

 【ニューデリー=新居益】15日付インド紙ヒンドゥスタン・タイムズは、中国政府がこれまでインド政府に対し、「中国の許可なしのインド国営石油天然ガス公社の活動は違法だ」と公式に警告していた、と報じた。

 ベトナムの押したり引いたりの外交戦術には感心します。日本も爪の垢を煎じて飲んで、学ぶべきですね。
 更に驚いたのがインド。ベトナムと中国が戦闘までおこした領有権争いの海で、ベトナムとガス田共同開発に乗り出すほかに、各種軍事援助までとなれば、露骨な対中けん制です。
 インド洋への中国の覇権拡大の危機を、これまでの静観振りにどう考えているのだろうと懸念していましたが、そこまで強く認識していて、中国の札束での懐柔攻勢が強まる昨今、ついに行動に移したということなのでしょうね。
 東シナ海のガス田開発を、日米で共同開発を始める...よりは予兆があった様ですが、火中の栗を拾うというか、売られた喧嘩に跳ね返す意気を示したのですね。

 ベトナムがリードしようとしているASEAN連合 + 日米豪の包囲網に、インドも参加することになれば百人力ですね。ASEANの札束に眼がくらんでフラフラしている国々も、意識が変わってくるかもしれません。
 弱腰の主権意識が薄弱な政権の失政で信頼を失っている日本。軍事面でもサポートするインドの進出は、強力な仲間が増えると同時に、日本の地盤沈下をますます促進することにもなりかねませんね。
 
 インドの今後の反攻を見守るとともに、野田新政権の、口先ではない行動を期待したいと思います。





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続 中国の海洋戦略
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