アメリカ太平洋軍司令官ハリー・ハリス海軍大将と、次のアメリカ太平洋軍司令官就任候補だったアメリカ海軍太平洋艦隊司令官のスコット・スウィフト海軍大将の二人が同時期に退官することとなりました。
ハワイ・真珠湾産まれのスウィフト海軍大将は、アメリカ海軍将官の中でもきっての「アジア太平洋通」とみなされていた方。ハリー・ハリス海軍大将は、「対中強硬姿勢」で中国側から名指しで退官要求されるほど反感を買ってきたことは諸兄がご承知の通りです。
中国に対して睨みを効かせ続けてきたスウィフト海軍大将とハリス海軍大将が時を同じくしてパールハーバーから姿を消してしまうことは、太平洋艦隊やアメリカ太平洋軍だけでなくアメリカにとっても痛恨の出来事と、米軍関係者たちの多くが歯ぎしりしているのだそうだす。
しかしスウィフト大将はじめ太平洋軍関係者たちは、そのような困難な状況も日米が協力することによって打破できると希望を持っているのだと。
スウィフト大将は、「後任者の経験不足を補う手段はいくらでもある。そのうちの最も強力なものが日本側からのサポートであると考える。どうか日本側から新司令官たちを啓蒙して、日米一丸となって難局を乗り越えてほしい。」と語ったのだそうです。
アリキーノ新太平洋艦隊司令官は、今やインド~太平洋地域こそが最大の大国間角逐の場であるとし、「アメリカに敵対する姿勢を強める勢力」に対して、「アメリカ太平洋艦隊は最良の友とも、最悪の敵ともなり得る──それはあなた方の選択だ。」と、太平洋艦隊司令官交代式での第一声で警告を発したのだそうです。
トランプ政権は、国防戦略を、集団安全保障体制を主軸に据えた「国家間協調」から、中国とロシアをアメリカとその同盟友好諸国に対する仮想敵とみなした「大国間角逐」へと大きく変針しました。
アキリーノ新司令官の就任演説での警告は、まさにトランプ政権の国防戦略を具現化する強い決意表明なのだと。
ハリス海軍大将も、当初はオーストラリア大使としてアジア・太平洋地域への対応が予定されていましたが、より渦中の韓国大使に任命されたことは、今度は外交官として韓国から北朝鮮および中国と対峙していただけることになり、日米韓の連携にも、アメリカ太平洋軍にとっても心強い人材を得ることと期待されます。
北朝鮮、その後ろ盾の中国、ロシアの動きが激しさを増す、戦後最大の日本を取り巻く危機。
スィフト司令官が、「どうか日本側から新司令官たちを啓蒙して、日米一丸となって難局を乗り越えてほしい。」と言い残された期待に、日本は、ハリス新韓国大使ともども、応えていかかねばなりませんね。
# 冒頭の画像は、スウィフト司令官(右)から交代したアキリーノ新司令官
この花の名前は、カリガネソウ
↓よろしかったら、お願いします。
ハワイ・真珠湾産まれのスウィフト海軍大将は、アメリカ海軍将官の中でもきっての「アジア太平洋通」とみなされていた方。ハリー・ハリス海軍大将は、「対中強硬姿勢」で中国側から名指しで退官要求されるほど反感を買ってきたことは諸兄がご承知の通りです。
中国に対して睨みを効かせ続けてきたスウィフト海軍大将とハリス海軍大将が時を同じくしてパールハーバーから姿を消してしまうことは、太平洋艦隊やアメリカ太平洋軍だけでなくアメリカにとっても痛恨の出来事と、米軍関係者たちの多くが歯ぎしりしているのだそうだす。
米海軍太平洋艦隊・新司令官が発した中国への警告 最良の友か、最悪の敵か──それは中国の選択にある | JBpress(日本ビジネスプレス) 2018.5.24(木) 北村 淳
5月17日、アメリカ海軍太平洋艦隊司令官の交代式が執り行われた。世界最大の規模を誇る艦隊の指揮が、スコット・スウィフト海軍大将の手からジョン・アキリーノ海軍大将の手に委ねられた。
■「大国間角逐」下の新太平洋艦隊司令官
太平洋艦隊司令官交代式での第一声で、アキリーノ新司令官は「アメリカに敵対する姿勢を強める勢力」に対して次のような警告を発した。
「大国間角逐こそが、アメリカの国益そして繁栄に対する最大の挑戦となっている。今やインド~太平洋地域こそが最大の大国間角逐の場である。我々に挑もうとする敵に対して、マティス国防長官の言葉を借りて警告しよう──アメリカ太平洋艦隊は最良の友とも、最悪の敵ともなり得る──それはあなた方の選択だ」
新太平洋艦隊司令官アキリーノ海軍大将の言葉は、マティス国防長官がかつて総司令官を務めたアメリカ海兵隊で好んで用いられている「アメリカ海兵隊は、アメリカの味方にとっては最良の友であり、アメリカの敵にとっては最悪の敵である」というスローガンをもじったものである。
そのマティス国防長官が中心となって策定し、トランプ政権が打ち出したアメリカの国防戦略では、アメリカの国際関係の基本的スタンスが、集団安全保障体制を主軸に据えた「国家間協調」から、中国とロシアをアメリカとその同盟友好諸国に対する仮想敵とみなした「大国間角逐」へと大きく変針した。
アキリーノ新司令官の就任演説での警告は、まさにトランプ政権の国防戦略を具現化する強い決意表明といえる。
その言葉に真っ向から対決するように、大国間角逐の筆頭敵対勢力である中国は、南シナ海南沙諸島に建設した人工島の航空基地で、核爆弾搭載可能な新鋭H-6K戦略爆撃機を含む数機の爆撃機による前方展開訓練を実施するとともに、中国国産航空母艦の試運転の成功を発表した。
■惜しまれて去ったスウィフト海軍大将
アキリーノ海軍大将に太平洋艦隊司令官の重責を委ねて退役したスウィフト前太平洋艦隊司令官は、ハワイの真珠湾基地の生まれである。海軍将校に任官した後は、ペンタゴンなど海軍中枢に勤めると同時に、前線での艦隊勤務では専ら太平洋艦隊での勤務を経験し、ついには太平洋艦隊司令官まで上り詰めた。そのためスウィフト海軍大将は、アメリカ海軍将官の中でもきっての「アジア太平洋通」とみなされており、太平洋艦隊司令官などを指揮するアメリカ太平洋軍司令官へ就任するものと考えられていた。
しかし、昨年(2017年)をとおして、太平洋艦隊所属の駆逐艦や巡洋艦が重大事故を連発させてしまい、中でも駆逐艦フィッツジェラルドと駆逐艦マッケインはそれぞれ大型民間船と衝突し、合わせて17名の将兵を失った。それら一連の事故の責任を取る形で、海軍将兵に人望が厚かったスウィフト海軍大将は退役に追い込まれてしまった。
■姿を消す「アジア太平洋通」司令官たち
スウィフト太平洋艦隊司令官の退役に引き続き、5月30日には、やはり「アジア太平洋通」であり、「対中強硬姿勢」で中国側から反感を買ってきたアメリカ太平洋軍司令官ハリー・ハリス海軍大将も退官する。
海軍だけでなくアジア太平洋関係の軍務に携わる多くの米軍関係者たちの多くは、スウィフト海軍大将とハリス海軍大将が時を同じくしてパールハーバーから姿を消してしまうことは、太平洋艦隊やアメリカ太平洋軍だけでなくアメリカにとっても痛恨の出来事であると歯ぎしりしている。2人とも、「アジア太平洋通」であるだけでなく、中国に対して睨みを効かせ続けてきたからだ。
ただし、トランプ大統領がハリス海軍大将を韓国大使へと指名したことは不幸中の幸いであり、対中警戒派にとって朗報であった。これまで太平洋艦隊(ハリス大将は太平洋軍司令官に就任する前は太平洋艦隊司令官を務めていた)そして太平洋軍のトップとして、中国や北朝鮮の軍事的冒険に正面から立ち向かい牽制してきた軍司令官が、今度は外交官として韓国から北朝鮮および中国と対峙することになるわけである。
しかしながら、アメリカ太平洋軍から時を同じくして、「アジア太平洋通」のスウィフト太平洋艦隊司令官、オショネシー太平洋空軍司令官、ハリス太平洋軍司令官が去ってしまい、彼らの後任の司令官たちが決して前任者たちのような「アジア太平洋通」とは言えないことは確かである。
もちろん、新司令官が「アジア太平洋通」ではないからといって、新司令官下の太平洋艦隊や太平洋空軍が「大国間角逐」状況に打ち勝てなくなるというわけではない。各司令部とも副司令官をはじめとする首脳陣の多くは、引き続き新司令官をサポートすることになるし、冒頭で紹介したアキリーノ新太平洋艦隊司令官の言葉のごとく、トランプ大統領そしてマティス国防長官によって指名された新司令官たちはアジア太平洋地域における「大国間角逐」に打ち勝つことを至上任務として着任することになるのである。
■望まれている日本側の協力
とはいうものの、太平洋軍や太平洋艦隊、そして太平洋空軍にとって当面の主敵である中国軍は海洋戦力(海軍、空軍、ロケット軍)による南シナ海や東シナ海への積極的拡張行動をますます加速している。アメリカ太平洋軍の最高司令官たちのほとんどが交代する時期にあわせて、あの手この手でさらなる攻勢を繰り出してくることは間違いない。
しかしスウィフト大将はじめ太平洋軍関係者たちは、そのような困難な状況も日米が協力することによって打破できると希望を持っている。先日、スウィフト太平洋艦隊司令官は筆者たちに次のように語った。
「我々(スウィフト司令官、オショネシー司令官、ハリス司令官)の後任に内定している人々が、我々のようにアジア太平洋地域での豊富な経験と知見を持っていないことは確かである。したがって、今後しばらくの間、太平洋軍に若干の不安がないわけではない。しかしながら、そのような経験不足を補う手段はいくらでもある。そのうちの最も強力なものが日本側からのサポートであると考える。どうか日本側から新司令官たちを啓蒙して、日米一丸となって難局を乗り越えてほしい」
5月17日、アメリカ海軍太平洋艦隊司令官の交代式が執り行われた。世界最大の規模を誇る艦隊の指揮が、スコット・スウィフト海軍大将の手からジョン・アキリーノ海軍大将の手に委ねられた。
■「大国間角逐」下の新太平洋艦隊司令官
太平洋艦隊司令官交代式での第一声で、アキリーノ新司令官は「アメリカに敵対する姿勢を強める勢力」に対して次のような警告を発した。
「大国間角逐こそが、アメリカの国益そして繁栄に対する最大の挑戦となっている。今やインド~太平洋地域こそが最大の大国間角逐の場である。我々に挑もうとする敵に対して、マティス国防長官の言葉を借りて警告しよう──アメリカ太平洋艦隊は最良の友とも、最悪の敵ともなり得る──それはあなた方の選択だ」
新太平洋艦隊司令官アキリーノ海軍大将の言葉は、マティス国防長官がかつて総司令官を務めたアメリカ海兵隊で好んで用いられている「アメリカ海兵隊は、アメリカの味方にとっては最良の友であり、アメリカの敵にとっては最悪の敵である」というスローガンをもじったものである。
そのマティス国防長官が中心となって策定し、トランプ政権が打ち出したアメリカの国防戦略では、アメリカの国際関係の基本的スタンスが、集団安全保障体制を主軸に据えた「国家間協調」から、中国とロシアをアメリカとその同盟友好諸国に対する仮想敵とみなした「大国間角逐」へと大きく変針した。
アキリーノ新司令官の就任演説での警告は、まさにトランプ政権の国防戦略を具現化する強い決意表明といえる。
その言葉に真っ向から対決するように、大国間角逐の筆頭敵対勢力である中国は、南シナ海南沙諸島に建設した人工島の航空基地で、核爆弾搭載可能な新鋭H-6K戦略爆撃機を含む数機の爆撃機による前方展開訓練を実施するとともに、中国国産航空母艦の試運転の成功を発表した。
■惜しまれて去ったスウィフト海軍大将
アキリーノ海軍大将に太平洋艦隊司令官の重責を委ねて退役したスウィフト前太平洋艦隊司令官は、ハワイの真珠湾基地の生まれである。海軍将校に任官した後は、ペンタゴンなど海軍中枢に勤めると同時に、前線での艦隊勤務では専ら太平洋艦隊での勤務を経験し、ついには太平洋艦隊司令官まで上り詰めた。そのためスウィフト海軍大将は、アメリカ海軍将官の中でもきっての「アジア太平洋通」とみなされており、太平洋艦隊司令官などを指揮するアメリカ太平洋軍司令官へ就任するものと考えられていた。
しかし、昨年(2017年)をとおして、太平洋艦隊所属の駆逐艦や巡洋艦が重大事故を連発させてしまい、中でも駆逐艦フィッツジェラルドと駆逐艦マッケインはそれぞれ大型民間船と衝突し、合わせて17名の将兵を失った。それら一連の事故の責任を取る形で、海軍将兵に人望が厚かったスウィフト海軍大将は退役に追い込まれてしまった。
■姿を消す「アジア太平洋通」司令官たち
スウィフト太平洋艦隊司令官の退役に引き続き、5月30日には、やはり「アジア太平洋通」であり、「対中強硬姿勢」で中国側から反感を買ってきたアメリカ太平洋軍司令官ハリー・ハリス海軍大将も退官する。
海軍だけでなくアジア太平洋関係の軍務に携わる多くの米軍関係者たちの多くは、スウィフト海軍大将とハリス海軍大将が時を同じくしてパールハーバーから姿を消してしまうことは、太平洋艦隊やアメリカ太平洋軍だけでなくアメリカにとっても痛恨の出来事であると歯ぎしりしている。2人とも、「アジア太平洋通」であるだけでなく、中国に対して睨みを効かせ続けてきたからだ。
ただし、トランプ大統領がハリス海軍大将を韓国大使へと指名したことは不幸中の幸いであり、対中警戒派にとって朗報であった。これまで太平洋艦隊(ハリス大将は太平洋軍司令官に就任する前は太平洋艦隊司令官を務めていた)そして太平洋軍のトップとして、中国や北朝鮮の軍事的冒険に正面から立ち向かい牽制してきた軍司令官が、今度は外交官として韓国から北朝鮮および中国と対峙することになるわけである。
しかしながら、アメリカ太平洋軍から時を同じくして、「アジア太平洋通」のスウィフト太平洋艦隊司令官、オショネシー太平洋空軍司令官、ハリス太平洋軍司令官が去ってしまい、彼らの後任の司令官たちが決して前任者たちのような「アジア太平洋通」とは言えないことは確かである。
もちろん、新司令官が「アジア太平洋通」ではないからといって、新司令官下の太平洋艦隊や太平洋空軍が「大国間角逐」状況に打ち勝てなくなるというわけではない。各司令部とも副司令官をはじめとする首脳陣の多くは、引き続き新司令官をサポートすることになるし、冒頭で紹介したアキリーノ新太平洋艦隊司令官の言葉のごとく、トランプ大統領そしてマティス国防長官によって指名された新司令官たちはアジア太平洋地域における「大国間角逐」に打ち勝つことを至上任務として着任することになるのである。
■望まれている日本側の協力
とはいうものの、太平洋軍や太平洋艦隊、そして太平洋空軍にとって当面の主敵である中国軍は海洋戦力(海軍、空軍、ロケット軍)による南シナ海や東シナ海への積極的拡張行動をますます加速している。アメリカ太平洋軍の最高司令官たちのほとんどが交代する時期にあわせて、あの手この手でさらなる攻勢を繰り出してくることは間違いない。
しかしスウィフト大将はじめ太平洋軍関係者たちは、そのような困難な状況も日米が協力することによって打破できると希望を持っている。先日、スウィフト太平洋艦隊司令官は筆者たちに次のように語った。
「我々(スウィフト司令官、オショネシー司令官、ハリス司令官)の後任に内定している人々が、我々のようにアジア太平洋地域での豊富な経験と知見を持っていないことは確かである。したがって、今後しばらくの間、太平洋軍に若干の不安がないわけではない。しかしながら、そのような経験不足を補う手段はいくらでもある。そのうちの最も強力なものが日本側からのサポートであると考える。どうか日本側から新司令官たちを啓蒙して、日米一丸となって難局を乗り越えてほしい」
しかしスウィフト大将はじめ太平洋軍関係者たちは、そのような困難な状況も日米が協力することによって打破できると希望を持っているのだと。
スウィフト大将は、「後任者の経験不足を補う手段はいくらでもある。そのうちの最も強力なものが日本側からのサポートであると考える。どうか日本側から新司令官たちを啓蒙して、日米一丸となって難局を乗り越えてほしい。」と語ったのだそうです。
アリキーノ新太平洋艦隊司令官は、今やインド~太平洋地域こそが最大の大国間角逐の場であるとし、「アメリカに敵対する姿勢を強める勢力」に対して、「アメリカ太平洋艦隊は最良の友とも、最悪の敵ともなり得る──それはあなた方の選択だ。」と、太平洋艦隊司令官交代式での第一声で警告を発したのだそうです。
トランプ政権は、国防戦略を、集団安全保障体制を主軸に据えた「国家間協調」から、中国とロシアをアメリカとその同盟友好諸国に対する仮想敵とみなした「大国間角逐」へと大きく変針しました。
アキリーノ新司令官の就任演説での警告は、まさにトランプ政権の国防戦略を具現化する強い決意表明なのだと。
ハリス海軍大将も、当初はオーストラリア大使としてアジア・太平洋地域への対応が予定されていましたが、より渦中の韓国大使に任命されたことは、今度は外交官として韓国から北朝鮮および中国と対峙していただけることになり、日米韓の連携にも、アメリカ太平洋軍にとっても心強い人材を得ることと期待されます。
北朝鮮、その後ろ盾の中国、ロシアの動きが激しさを増す、戦後最大の日本を取り巻く危機。
スィフト司令官が、「どうか日本側から新司令官たちを啓蒙して、日米一丸となって難局を乗り越えてほしい。」と言い残された期待に、日本は、ハリス新韓国大使ともども、応えていかかねばなりませんね。
# 冒頭の画像は、スウィフト司令官(右)から交代したアキリーノ新司令官
この花の名前は、カリガネソウ
↓よろしかったら、お願いします。