
中国の第11期全国人民代表大会(全人代)第5回会議が今日(3月5日)から始まりました。
これに先立ち、李肇星報道官が4日に記者会見し、2012年の国防予算が前年実績比11.2%増の6,702億7,400万元(約8兆7,068億円)になると明らかにしましたね。
日本の12年度予算案での防衛関係費は4兆7,134億円(11年度比1.3%減)ですから、1.85倍≒約2倍となり、胡錦濤政権の10年間で、4倍になったことになります。恐るべき拡大ですが、それでも公表値は宇宙開発や新兵器の開発費用は含んでいないと言われていますね。比重の少なくない人件費の格差を考えると、更に日本との差は広がりますね。
国防費8.7兆円 中国、軍拡路線を加速 米に対抗「主権と利益保護」 (3/5 読売朝刊)
【北京=大木聖馬】中国の胡錦濤政権が2012年の国防予算に、02年の約4倍に当たる約6700億元(約8兆7000億円)を計上するなど軍拡路線を進めるのは、アジアで強い影響力を持つ米国に対抗する軍事力の整備を急ぐと同時に、発言力を強める軍を掌握するためだ。
共産党機関紙・人民日報系の国際問題専門紙「環球時報」(電子版)によると、遼寧省大連で2月28日、整備が進む中国初の空母「ワリャーグ」の甲板上に艦載機の模型が搭載されていることが確認された。リフトを使った運搬や甲板上での移動など、「実際の運用に向けた点検作業で、速いぺースで整備が進んでいる」(軍事専門家)模様だ。上海・長興島の造船所では中国版イージス艦の新造が確認されている。
中国軍内で最大規模の陸軍も、機動力向上を目的とした機械・ハイテク化や突発的な事態に対応する特殊部隊の作戦能力向上を急いでいる。サイバー戦を担当する部隊の育成も進めており、急ピッチの軍の近代化が、国防費拡大を後押ししている。
胡政権が軍事力増強を急ぐのは、最近、「アジア回帰」まで打ち出した米国に対抗するためだ。全国人民代表大会の李肇星報道官は4日、国防予算を増やす理由として、「国家の主権と安全、発展の利益の保護」という強い表現で説明した。
胡政権が台湾や尖閣諸島、南シナ海の問題を譲ることのできない「核心的利益」 として位置づける一方、米国は近年、台湾への武器売却を決定したり、尖閣諸島への日米安保条約の適用に言及したり、豪州への海兵隊派遣など南シナ海の領有権問題への関与を強めている。李報道官の発言は、米国の動きに対する胡政権の強い危機感の表れと言える。
中国軍が昨年11月、総参謀部の下に「戦略計画部」を新設し、海軍と空軍を一体運用するための体制作りに乗り出したのも、米国の動きに呼応したものだ。
胡氏が共産党総書記に就任した02年の国内総生産(GDP)は、12兆332億元(約156兆円)。11年には47兆1564億元(約613兆円)と約4倍に増えた。これに伴い国防費も、02年の約1700億元から10年間で約5000億元(約6兆5000億円)も増加した。軍事費に予算が潤沢に投下される背景には「軍に基盤のなかった胡氏が軍への影響力を強めるため」(共産党関係筋)という内政上の要因もある。
胡氏の後を継ぐ習近平国家副主席も、10年に党中央軍事委員会副主席に就任したばかりで、同筋は「習氏の軍内の基盤はまだ脆弱。国防費削減を言い出せる状況にはとてもない」と指摘しており、今後も軍拡路線が続くのは必至だ。
胡政権、軍掌握に大幅昇給 軍事研究所「漢和情報センター」・平可夫代表
中国の軍事動向に詳しい民間軍事研究所「漢和情報センター」(本部・カナダ)の平可夫代表に電話で聞いた。 (北京槙野健)
中国の国防費が急増するのは、人件費のほか、急ピッチで進む兵器の近代化に伴い、訓練や維持費用が飛躍的に上昇しているからだ。中国初の空母「ワリャーグ」や国産空母の建造、潜水艦開発など、中国は急増するエネルギー需要を背景に海洋進出の姿勢を強めている。さらに米国のアジア回帰に対抗するため、長距離弾道ミサイルなどの戦略兵器開発の動きも加速させることになる。国防費増加の流れが変わることはない。
中国の軍事力急増の影響で東アジアの軍事バランスは崩れている。防衛費の減り続ける日本では、価格上昇の懸念から第5世代戦闘機F35購入の見直しが取りざたされているが、中国は同じ第5世代機のJ20の開発に巨費をつぎこんでいる。
軍事費増加は政権の維持にもつながっている。軍に元々基盤のなかった胡錦濤総書記は、兵士への大幅な昇給を繰り返して求心力の維持に努めた。その一方で、江沢民時代に禁止されたはずの軍の経済活動が横行し、利権を巡る腐敗も進んだ。軍を買収することで統制を図ったのが胡政権の実態だったと言える。
小平のように軍を掌握できる指導者はもういない。今秋の党大会で指導者が代替わりしてもこの流れが変わることはない。。
【北京=大木聖馬】中国の胡錦濤政権が2012年の国防予算に、02年の約4倍に当たる約6700億元(約8兆7000億円)を計上するなど軍拡路線を進めるのは、アジアで強い影響力を持つ米国に対抗する軍事力の整備を急ぐと同時に、発言力を強める軍を掌握するためだ。
共産党機関紙・人民日報系の国際問題専門紙「環球時報」(電子版)によると、遼寧省大連で2月28日、整備が進む中国初の空母「ワリャーグ」の甲板上に艦載機の模型が搭載されていることが確認された。リフトを使った運搬や甲板上での移動など、「実際の運用に向けた点検作業で、速いぺースで整備が進んでいる」(軍事専門家)模様だ。上海・長興島の造船所では中国版イージス艦の新造が確認されている。
中国軍内で最大規模の陸軍も、機動力向上を目的とした機械・ハイテク化や突発的な事態に対応する特殊部隊の作戦能力向上を急いでいる。サイバー戦を担当する部隊の育成も進めており、急ピッチの軍の近代化が、国防費拡大を後押ししている。
胡政権が軍事力増強を急ぐのは、最近、「アジア回帰」まで打ち出した米国に対抗するためだ。全国人民代表大会の李肇星報道官は4日、国防予算を増やす理由として、「国家の主権と安全、発展の利益の保護」という強い表現で説明した。
胡政権が台湾や尖閣諸島、南シナ海の問題を譲ることのできない「核心的利益」 として位置づける一方、米国は近年、台湾への武器売却を決定したり、尖閣諸島への日米安保条約の適用に言及したり、豪州への海兵隊派遣など南シナ海の領有権問題への関与を強めている。李報道官の発言は、米国の動きに対する胡政権の強い危機感の表れと言える。
中国軍が昨年11月、総参謀部の下に「戦略計画部」を新設し、海軍と空軍を一体運用するための体制作りに乗り出したのも、米国の動きに呼応したものだ。
胡氏が共産党総書記に就任した02年の国内総生産(GDP)は、12兆332億元(約156兆円)。11年には47兆1564億元(約613兆円)と約4倍に増えた。これに伴い国防費も、02年の約1700億元から10年間で約5000億元(約6兆5000億円)も増加した。軍事費に予算が潤沢に投下される背景には「軍に基盤のなかった胡氏が軍への影響力を強めるため」(共産党関係筋)という内政上の要因もある。
胡氏の後を継ぐ習近平国家副主席も、10年に党中央軍事委員会副主席に就任したばかりで、同筋は「習氏の軍内の基盤はまだ脆弱。国防費削減を言い出せる状況にはとてもない」と指摘しており、今後も軍拡路線が続くのは必至だ。
胡政権、軍掌握に大幅昇給 軍事研究所「漢和情報センター」・平可夫代表
中国の軍事動向に詳しい民間軍事研究所「漢和情報センター」(本部・カナダ)の平可夫代表に電話で聞いた。 (北京槙野健)
中国の国防費が急増するのは、人件費のほか、急ピッチで進む兵器の近代化に伴い、訓練や維持費用が飛躍的に上昇しているからだ。中国初の空母「ワリャーグ」や国産空母の建造、潜水艦開発など、中国は急増するエネルギー需要を背景に海洋進出の姿勢を強めている。さらに米国のアジア回帰に対抗するため、長距離弾道ミサイルなどの戦略兵器開発の動きも加速させることになる。国防費増加の流れが変わることはない。
中国の軍事力急増の影響で東アジアの軍事バランスは崩れている。防衛費の減り続ける日本では、価格上昇の懸念から第5世代戦闘機F35購入の見直しが取りざたされているが、中国は同じ第5世代機のJ20の開発に巨費をつぎこんでいる。
軍事費増加は政権の維持にもつながっている。軍に元々基盤のなかった胡錦濤総書記は、兵士への大幅な昇給を繰り返して求心力の維持に努めた。その一方で、江沢民時代に禁止されたはずの軍の経済活動が横行し、利権を巡る腐敗も進んだ。軍を買収することで統制を図ったのが胡政権の実態だったと言える。
小平のように軍を掌握できる指導者はもういない。今秋の党大会で指導者が代替わりしてもこの流れが変わることはない。。
ここで注目すべきなのは、国防費の拡大理由として、胡錦濤政権の軍の甘やかしです。就任時から、軍の統制力が弱かった胡錦濤政権は、軍の懐柔の為に、人民解放軍の国防費拡大要求に応じてきたのですね。
胡錦濤・温家宝氏の行動に対し、人民解放軍のちぐはぐな言行が少なくなかったことは、諸兄がご承知の通りです。
二桁成長を続ける国防費に対し、今日の全人代で温家宝首相は、経済成長率を 8年振りに 7%代に引き下げると発表しています。
中国全人代開幕 成長目標引き下げ 軍強化 「局地戦争に打ち勝つ」 - MSN産経ニュース
国防費は二桁成長を続け、経済成長は下げるのですから、国防費の割合は拡大を続けることになりますね。
それは、夫人の人気で軍部に繋がっていると言われたりする習近平氏に変わっても続きそうだと言うことです。つまり、人民解放軍の発言力が強まっていくと言うことです。
中国の覇権拡大は、益々強まるということになります。
更にもう一つ。その膨大な国防費を、治安対策として警察などに投じられる「公共安全」の予算が前年比11.5%増となる7,017億元(約9兆1,221億円)となり、国防予算(6,702億元)を2年連続で上回ったというのですから驚きです。
中国共産党の敵は国内に…国防上回る公安予算 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
中国政府は、人民解放軍と国民と、両方の圧力に揺り動かされる状況が、これからも強まってむ行くのですね。どこまで続けられるのか...。
# 冒頭の画像は、国防費の会見発表をする李肇星報道官

竹藪のむこうは...。
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