中国国家海洋局所属の巡視船「海監50」と「海監66」の2隻が、今月16日には尖閣諸島沖の日本の領海に進入する巡視活動を行い、17日には、東シナ海のEEZ境界付近のガス田「白樺」と「平湖」の周辺で、他の巡視船4隻と合流し、巡視ヘリも加わった海空合同訓練を実施していました。
巡回は、かねて宣言していた定期巡回の始まりで、海空合同訓練は尖閣上陸の為の訓練であり、中国の上陸・占拠による実効支配へ向けた作戦を着実に実現させているものとは、諸兄がご承知のことです。
なんと、中国は堂々とと言うか、抜けしゃあしゃあとというか、16日に開始した海洋調査船の巡視活動について日本の実効支配の「打破」を目的にした「定期」巡視と公言したのだそうです。「盗人猛々しい」とは、盗んだ後のことでのはなしでしょうが、盗む前から堂々と宣言するこの厚顔さ、常套手段のけたたましく繰り返し言うことで、なにも無いところからかってに既成事実を産み出してしまう手法ですね。
中国が尖閣の巡視活動を本格始動 - 遊爺雑記帳
実効支配が50年続くと領土として認められる判例が、具体的には何処の事例なのかは残念ながらまだ見つけることが出来ていません。
米国とオランダとの間で争われ「常設仲裁裁判所」で下された、「パルマス島事件」の、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」を重視する判決が、島の領有権を巡る領土紛争の古典的なケースとして、後の国際判例に大きな影響を与えているという記事がありました。
「領域主権の継続的かつ平和的行使」というところが重要で、その後の判例の中に多く出てくるのですが、領有権について異議の申し立てがなされている場合は、この、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」にはあたらないのですね。
そこが、中国の言う「時効」云々に該当するのですね。
1954年6月、韓国沿岸警備隊の駐留部隊を竹島に派遣したことを韓国内務部が発表した竹島や、ロシア(ソ連)が1945年8月に対日参戦して以後不法占拠を続けている北方4島は、日本が異議を唱え続けていますから、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」にはあたらないのです。
# でも民主党政権になってからは、不法占拠と言わなくなるなど、後退している姿勢は、相手にとっては平和的な領域主権の行使に利することになってきていますが。。
外務省: 8.「李承晩ライン」の設定と韓国による竹島の不法占拠
外務省: 北方領土問題の経緯(領土問題の発生まで)
それはさておき、この傍若無人な中国の泥棒宣言。日本は毅然とした態度で対応することが、国際世論を獲得する上では大切です。
領土問題はないなどと無視して行動を起さなければ、中国の定期巡回が、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」とみなされかねません。すくなくとも、無人島の周りに艦船を定期的に巡回させている状況は、日中の差は詰まっていますから、日本が実効支配をしているという、より強固な実態を具現化させる必要があります。島や近海の安全確保のための施設や要員の駐在がもっとも顕著な実態を示せます。
また、「日本の実効支配の打破」を公言した中国は、尖閣への上陸を実行に移すと言っているのであり、空言を言っているのではないことは、南シナ海の実態をみれば、何時実行に移してきてもおかしくない事態になってきているということです。
漁船の故障や海難避難で強硬上陸させ、その救援・擁護で「海監」や「魚政」ほかの各種艦船や海軍などが接近・上陸する筋書きは、多くの方々が指摘されている筋書きですね。
ガス田付近で、6隻の艦船にヘリを加えた海空合同訓練を行ったとのことですが、日本の巡視船だけで、これらの上陸作戦を阻止出来るのでしょうか?
それこそ、中国に対する逆接近阻止作戦が必要でしょう。
≪追記 3/23≫
産経の主張で、中国が「本気で領有を狙ってきたとみるべきだ」と、同感する内容が述べられていますので追記させていただきます。
【主張】「尖閣打破」発言 中国の横暴を座視するな+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
# 冒頭の画像は、日本の接続水域内を航行する中国船「海監50」(手前)と、海保の巡視船(16日午前、沖縄県・尖閣諸島久場島の東南東約27キロ)
清流の冠雪したわさび 撮影場所; 六甲高山植物園
↓よろしかったら、お願いします。
巡回は、かねて宣言していた定期巡回の始まりで、海空合同訓練は尖閣上陸の為の訓練であり、中国の上陸・占拠による実効支配へ向けた作戦を着実に実現させているものとは、諸兄がご承知のことです。
なんと、中国は堂々とと言うか、抜けしゃあしゃあとというか、16日に開始した海洋調査船の巡視活動について日本の実効支配の「打破」を目的にした「定期」巡視と公言したのだそうです。「盗人猛々しい」とは、盗んだ後のことでのはなしでしょうが、盗む前から堂々と宣言するこの厚顔さ、常套手段のけたたましく繰り返し言うことで、なにも無いところからかってに既成事実を産み出してしまう手法ですね。
中国が尖閣の巡視活動を本格始動 - 遊爺雑記帳
「日本の実効支配打破が目的」 尖閣で中国当局表明 :日本経済新聞
【北京=共同】中国国家海洋局の東シナ海管轄当局者が21日までに共産党機関紙、人民日報のインタビューに答え、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)海域で16日に開始した海洋調査船の巡視活動について日本の実効支配の「打破」を目的にした「定期」巡視と表明した。実効支配排除を明確に巡視目的として掲げるのは珍しい。
中国には「実効支配が50年続くと国際法の判例で尖閣諸島が日本の領土として定着しかねない」(日中軍事筋)との強い危機感がある。同諸島が沖縄県とともに米国から日本に返還されてから50年となる2022年5月が近づくにつれ、中国は強硬姿勢をエスカレートさせかねない情勢だ。
国家海洋局当局者はインタビューの中で、巡視活動は日本が同諸島周辺海域で約40年強化してきた実効支配を弱める効果があると指摘。「(50年の)実効支配によって(日本の領有権を定着させる)『時効』を取得し、釣魚島を窃取しようとする(日本の)たくらみを打破する」と力説した。
国家海洋局の劉賜貴海洋局長は2月2日に中国海軍の呉勝利司令官と会談、乗員訓練や海洋調査などで海軍との連携を強化することで一致した。
また、中国は国家海洋局、農業省漁政局、公安省など海洋関係が9部門にまたがるため、機構改革の検討を始めている。
中国軍のシンクタンク、軍事科学院世界軍事研究部元副部長の羅援少将は国家海洋局を中心に9部門をまとめた「国家海岸警備隊」の創設を提唱し、日本の海上保安庁に対抗するよう訴えている。
【北京=共同】中国国家海洋局の東シナ海管轄当局者が21日までに共産党機関紙、人民日報のインタビューに答え、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)海域で16日に開始した海洋調査船の巡視活動について日本の実効支配の「打破」を目的にした「定期」巡視と表明した。実効支配排除を明確に巡視目的として掲げるのは珍しい。
中国には「実効支配が50年続くと国際法の判例で尖閣諸島が日本の領土として定着しかねない」(日中軍事筋)との強い危機感がある。同諸島が沖縄県とともに米国から日本に返還されてから50年となる2022年5月が近づくにつれ、中国は強硬姿勢をエスカレートさせかねない情勢だ。
国家海洋局当局者はインタビューの中で、巡視活動は日本が同諸島周辺海域で約40年強化してきた実効支配を弱める効果があると指摘。「(50年の)実効支配によって(日本の領有権を定着させる)『時効』を取得し、釣魚島を窃取しようとする(日本の)たくらみを打破する」と力説した。
国家海洋局の劉賜貴海洋局長は2月2日に中国海軍の呉勝利司令官と会談、乗員訓練や海洋調査などで海軍との連携を強化することで一致した。
また、中国は国家海洋局、農業省漁政局、公安省など海洋関係が9部門にまたがるため、機構改革の検討を始めている。
中国軍のシンクタンク、軍事科学院世界軍事研究部元副部長の羅援少将は国家海洋局を中心に9部門をまとめた「国家海岸警備隊」の創設を提唱し、日本の海上保安庁に対抗するよう訴えている。
実効支配が50年続くと領土として認められる判例が、具体的には何処の事例なのかは残念ながらまだ見つけることが出来ていません。
米国とオランダとの間で争われ「常設仲裁裁判所」で下された、「パルマス島事件」の、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」を重視する判決が、島の領有権を巡る領土紛争の古典的なケースとして、後の国際判例に大きな影響を与えているという記事がありました。
「領域主権の継続的かつ平和的行使」というところが重要で、その後の判例の中に多く出てくるのですが、領有権について異議の申し立てがなされている場合は、この、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」にはあたらないのですね。
そこが、中国の言う「時効」云々に該当するのですね。
1954年6月、韓国沿岸警備隊の駐留部隊を竹島に派遣したことを韓国内務部が発表した竹島や、ロシア(ソ連)が1945年8月に対日参戦して以後不法占拠を続けている北方4島は、日本が異議を唱え続けていますから、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」にはあたらないのです。
# でも民主党政権になってからは、不法占拠と言わなくなるなど、後退している姿勢は、相手にとっては平和的な領域主権の行使に利することになってきていますが。。
外務省: 8.「李承晩ライン」の設定と韓国による竹島の不法占拠
外務省: 北方領土問題の経緯(領土問題の発生まで)
それはさておき、この傍若無人な中国の泥棒宣言。日本は毅然とした態度で対応することが、国際世論を獲得する上では大切です。
領土問題はないなどと無視して行動を起さなければ、中国の定期巡回が、「領域主権の継続的かつ平和的行使」による「実効的支配」とみなされかねません。すくなくとも、無人島の周りに艦船を定期的に巡回させている状況は、日中の差は詰まっていますから、日本が実効支配をしているという、より強固な実態を具現化させる必要があります。島や近海の安全確保のための施設や要員の駐在がもっとも顕著な実態を示せます。
また、「日本の実効支配の打破」を公言した中国は、尖閣への上陸を実行に移すと言っているのであり、空言を言っているのではないことは、南シナ海の実態をみれば、何時実行に移してきてもおかしくない事態になってきているということです。
漁船の故障や海難避難で強硬上陸させ、その救援・擁護で「海監」や「魚政」ほかの各種艦船や海軍などが接近・上陸する筋書きは、多くの方々が指摘されている筋書きですね。
ガス田付近で、6隻の艦船にヘリを加えた海空合同訓練を行ったとのことですが、日本の巡視船だけで、これらの上陸作戦を阻止出来るのでしょうか?
それこそ、中国に対する逆接近阻止作戦が必要でしょう。
≪追記 3/23≫
産経の主張で、中国が「本気で領有を狙ってきたとみるべきだ」と、同感する内容が述べられていますので追記させていただきます。
【主張】「尖閣打破」発言 中国の横暴を座視するな+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
# 冒頭の画像は、日本の接続水域内を航行する中国船「海監50」(手前)と、海保の巡視船(16日午前、沖縄県・尖閣諸島久場島の東南東約27キロ)
清流の冠雪したわさび 撮影場所; 六甲高山植物園
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