中国が人工知能(AI)の軍事利用の研究開発を加速させ、先行する米国が警戒を強めていると、産経・田中靖人氏。
中国軍はAIを用いた戦争の様式を、「知能化」戦争と位置付け、米軍の能力を追い抜くことを目指している。
米国や台湾の研究は米中「逆転」の可能性に警鐘を鳴らしていると。
オースティン米国防長官は、13日、米議会のAIに関する独立委員会が開いた国際会議で講演し、「中国は2030年までにAI分野で世界的に支配的な地位を占めようとしている」と述べ、「他の分野と同様、AIでも中国は米国に挑戦してきている」と警戒感を示したのだそうです。
中国の目標は、17年 7月に国務院(政府)が発表した「次世代人工知能発展計画」に明記されている。中国はこの計画で、30年までにAIで「世界をリードする水準に達し、世界の主要なイノベーションの中心となる」と表明していると、田中氏。
台湾の空軍司令部が刊行する学術雑誌「空軍学術」の20年10月の論文によると、17年10月の中国共産党第19回党大会で習近平総書記(国家主席)が行った報告に、「軍事の知能化の発展を加速する」との文言が盛り込まれ、19年の中国の国防白書には「知能化戦争」という概念が登場していると。
米政策研究機関「新米国安全保障センター」(CNAS)が2017年11月に出した中国のAI軍事利用に関する報告書によると、中国が軍事分野でのAIを重視するのは、自国が出遅れたと強く認識しているためだと。
中国は、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略で、AIをどう活用するのか。
台湾・国防大学政治作戦学院の論文は、無人機(UAV)や無人水上艇(USV)、無人潜水艇(UUV)などの無人兵器やミサイルの精密攻撃、模擬軍事演習などを挙げているのだそうです。
中国はAIを搭載した大量の小型無人機でスウォーム(「虫の群れ」の意)を形成する技術をすでに一定程度、確立していると。
将来、こうした無人機や無人艇が自律的に米艦艇の追跡・監視を行ったり、有人機と連携して防御しきれない数量で自爆式の飽和攻撃をしたりする可能性を指摘。
また、AIによる情報処理で米空母などの目標の位置を瞬時に割り出し、AIを搭載した弾道ミサイルや巡航ミサイルが自律的な回避運動で米側のミサイル防衛網を突破する事態が起こり得ると台湾・国防大学の論文。
そして、現在の中国のAI技術は米国よりも劣っているとしながらも、米国がAIの軍事利用面で国際法や倫理基準に縛られているうちに、「法や道徳を無視する中共とのAI軍備競争で苦戦に陥ると推論できる」と警鐘を鳴らしていると田中氏。
人が搭乗しない、無人機、無人水上艇、無人潜水艇などの無人兵器での戦闘。加えて、AIが算出する自律的な敵標的の追跡・監視。
AIを搭載した大量の小型無人機でスウォーム形成は、イナゴの大群になすすべもない状況の創出ですね。
戦闘の形式は、AI導入の時代で大きく変化。日本軍が、巨艦、巨砲から脱しきれず、米軍の多量の航空機攻撃に敗れた戦闘の変化から、また、大きな変化がもたらされる時代に突入。
台湾の国防大学の論文は、現在の中国のAI技術は米国よりも劣っているとしながらも、米国がAIの軍事利用面で国際法や倫理基準に縛られているうちに、「法や道徳を無視する中共とのAI軍備競争で苦戦に陥ると推論できる」と警鐘を鳴らしていると田中氏。
米国一国に依存するのではなく、自由主義を尊重する国々の連携での対中包囲網の連携強化が、ますます重要となりますね。
# 冒頭の画像は、パレスチナ自治区ガザから発射されたロケット弾を迎撃するイスラエルの防衛システム「アイアンドーム」の光跡。一連の軍事衝突でイスラエル軍はAIを活用したとされるのだそうです。
この花の名前は、ゲンノショウコ
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中国軍はAIを用いた戦争の様式を、「知能化」戦争と位置付け、米軍の能力を追い抜くことを目指している。
米国や台湾の研究は米中「逆転」の可能性に警鐘を鳴らしていると。
【中国軍事情勢】AIの軍事利用で米軍逆転を狙う解放軍 - 産経ニュース 2021/7/20 田中 靖人
中国が人工知能(AI)の軍事利用の研究開発を加速させ、先行する米国が警戒を強めている。中国軍はAIを用いた戦争の様式を、現在の「情報化」とは世代を画する「知能化」戦争と位置付け、この時点で米軍の能力を追い抜くことを目指している。中国でのAIの軍事利用は倫理面での制約をほぼ考慮していないとされ、米国や台湾の研究は米中「逆転」の可能性に警鐘を鳴らしている。
■2030年までに支配的地位
オースティン米国防長官は13日、米議会のAIに関する独立委員会が開いた国際会議で講演し、「中国は2030年までにAI分野で世界的に支配的な地位を占めようとしている」と述べ、「他の分野と同様、AIでも中国は米国に挑戦してきている」と警戒感を示した。その上で、「AIは将来の戦争の基盤となる」として、AIの軍事利用促進に今後5年間で15億ドル(約1650億円)を投じることを明らかにした。
同氏が言及した中国の目標は、17年7月に国務院(政府)が発表した「次世代人工知能発展計画」に明記されている。中国はこの計画で、30年までにAIで「世界をリードする水準に達し、世界の主要なイノベーションの中心となる」と表明。台湾の国防大学政治作戦学院の20年の論文によると、17年に全世界でAI関連の起業のために投じられた融資152億ドルのうち、中国は48%を占め米国の38%を上回った。
軍事分野でのAI利用の効果には、いくつかの例がある。米ミズーリ大が20年、中国の東南部約9万平方キロを撮影した商業衛星の写真から地対空ミサイルを発見する実験を行ったところ、AIの支援がある場合、人間だけが分析した場合と比べて80倍以上の速さの42分間で終了し、正確さも人間とほぼ同等の90%だったという。また、同年8月、米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)がシミュレーターで行った戦闘機同士の空中戦では、米空軍の飛行士がAIが操縦するF16に5対0で敗北した。
■遅れ一転、追い越しへ
台湾の空軍司令部が刊行する学術雑誌「空軍学術」の20年10月の論文によると、17年10月の中国共産党第19回党大会で習近平総書記(国家主席)が行った報告に、「軍事の知能化の発展を加速する」との文言が盛り込まれ、19年の中国の国防白書には「知能化戦争」という概念が登場した。中国国防大学の教官は、19世紀から1980年代の「機械化戦争」、90年代から現在までの「情報化戦争」の時代に続き、世界は今後、AIを用いた「知能化戦争」の時代に入るとみている。
米政策研究機関「新米国安全保障センター」(CNAS)が2017年11月に出した中国のAI軍事利用に関する報告書によると、中国が軍事分野でのAIを重視するのは、IT技術を駆使して兵器やレーダー情報などをネットワーク化して用いる軍の「情報化」に自国が出遅れたと強く認識しているためだという。中国はその反省から、米国が進めてきたAIの軍事利用の研究開発計画を詳細に分析しており、将来、AIが戦争の在り方を変化させる時点での「カーブでの追い越し」(中央軍委員会科学技術委員会主任)を狙っている。
この報告書は、中国での議論では、AIが自己判断で自動的に敵を攻撃する「殺人ロボット」化することに対する倫理面での問題提起が少ないことも特徴だと指摘している。オースティン氏は13日の講演で、中国に対抗する姿勢を示しつつ、「安全や倫理で近道はしない」と述べ、市民社会や民主主義の価値に反しない「責任あるAI」が必要だと訴えた。
■制約なき兵器化
中国は、西太平洋からの米軍排除を目指して進める「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略で、AIをどう活用するのか。台湾・国防大学政治作戦学院の論文は、無人機(UAV)や無人水上艇(USV)、無人潜水艇(UUV)などの無人兵器やミサイルの精密攻撃、模擬軍事演習などを挙げる。
中国はAIを搭載した大量の小型無人機でスウォーム(「虫の群れ」の意)を形成する技術をすでに一定程度、確立している。ハルビン工業大は20年6月、無人機1000機を隊形変換させて空中にさまざまな文字や図形を描いてみせた。また、中国軍は殲(J)20ステルス戦闘機と、無人機化した旧式のJ6との連携試験も始めている。論文は将来、こうした無人機や無人艇が自律的に米艦艇の追跡・監視を行ったり、有人機と連携して防御しきれない数量で自爆式の飽和攻撃をしたりする可能性を指摘する。また、AIによる情報処理で米空母などの目標の位置を瞬時に割り出し、AIを搭載した弾道ミサイルや巡航ミサイルが自律的な回避運動で米側のミサイル防衛網を突破する事態が起こり得るとする。
台湾の国防大学の論文は、現在の中国のAI技術は米国よりも劣っているとしながらも、米国がAIの軍事利用面で国際法や倫理基準に縛られているうちに、「法や道徳を無視する中共(中国)とのAI軍備競争で苦戦に陥ると推論できる」と警鐘を鳴らしている。
中国が人工知能(AI)の軍事利用の研究開発を加速させ、先行する米国が警戒を強めている。中国軍はAIを用いた戦争の様式を、現在の「情報化」とは世代を画する「知能化」戦争と位置付け、この時点で米軍の能力を追い抜くことを目指している。中国でのAIの軍事利用は倫理面での制約をほぼ考慮していないとされ、米国や台湾の研究は米中「逆転」の可能性に警鐘を鳴らしている。
■2030年までに支配的地位
オースティン米国防長官は13日、米議会のAIに関する独立委員会が開いた国際会議で講演し、「中国は2030年までにAI分野で世界的に支配的な地位を占めようとしている」と述べ、「他の分野と同様、AIでも中国は米国に挑戦してきている」と警戒感を示した。その上で、「AIは将来の戦争の基盤となる」として、AIの軍事利用促進に今後5年間で15億ドル(約1650億円)を投じることを明らかにした。
同氏が言及した中国の目標は、17年7月に国務院(政府)が発表した「次世代人工知能発展計画」に明記されている。中国はこの計画で、30年までにAIで「世界をリードする水準に達し、世界の主要なイノベーションの中心となる」と表明。台湾の国防大学政治作戦学院の20年の論文によると、17年に全世界でAI関連の起業のために投じられた融資152億ドルのうち、中国は48%を占め米国の38%を上回った。
軍事分野でのAI利用の効果には、いくつかの例がある。米ミズーリ大が20年、中国の東南部約9万平方キロを撮影した商業衛星の写真から地対空ミサイルを発見する実験を行ったところ、AIの支援がある場合、人間だけが分析した場合と比べて80倍以上の速さの42分間で終了し、正確さも人間とほぼ同等の90%だったという。また、同年8月、米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)がシミュレーターで行った戦闘機同士の空中戦では、米空軍の飛行士がAIが操縦するF16に5対0で敗北した。
■遅れ一転、追い越しへ
台湾の空軍司令部が刊行する学術雑誌「空軍学術」の20年10月の論文によると、17年10月の中国共産党第19回党大会で習近平総書記(国家主席)が行った報告に、「軍事の知能化の発展を加速する」との文言が盛り込まれ、19年の中国の国防白書には「知能化戦争」という概念が登場した。中国国防大学の教官は、19世紀から1980年代の「機械化戦争」、90年代から現在までの「情報化戦争」の時代に続き、世界は今後、AIを用いた「知能化戦争」の時代に入るとみている。
米政策研究機関「新米国安全保障センター」(CNAS)が2017年11月に出した中国のAI軍事利用に関する報告書によると、中国が軍事分野でのAIを重視するのは、IT技術を駆使して兵器やレーダー情報などをネットワーク化して用いる軍の「情報化」に自国が出遅れたと強く認識しているためだという。中国はその反省から、米国が進めてきたAIの軍事利用の研究開発計画を詳細に分析しており、将来、AIが戦争の在り方を変化させる時点での「カーブでの追い越し」(中央軍委員会科学技術委員会主任)を狙っている。
この報告書は、中国での議論では、AIが自己判断で自動的に敵を攻撃する「殺人ロボット」化することに対する倫理面での問題提起が少ないことも特徴だと指摘している。オースティン氏は13日の講演で、中国に対抗する姿勢を示しつつ、「安全や倫理で近道はしない」と述べ、市民社会や民主主義の価値に反しない「責任あるAI」が必要だと訴えた。
■制約なき兵器化
中国は、西太平洋からの米軍排除を目指して進める「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略で、AIをどう活用するのか。台湾・国防大学政治作戦学院の論文は、無人機(UAV)や無人水上艇(USV)、無人潜水艇(UUV)などの無人兵器やミサイルの精密攻撃、模擬軍事演習などを挙げる。
中国はAIを搭載した大量の小型無人機でスウォーム(「虫の群れ」の意)を形成する技術をすでに一定程度、確立している。ハルビン工業大は20年6月、無人機1000機を隊形変換させて空中にさまざまな文字や図形を描いてみせた。また、中国軍は殲(J)20ステルス戦闘機と、無人機化した旧式のJ6との連携試験も始めている。論文は将来、こうした無人機や無人艇が自律的に米艦艇の追跡・監視を行ったり、有人機と連携して防御しきれない数量で自爆式の飽和攻撃をしたりする可能性を指摘する。また、AIによる情報処理で米空母などの目標の位置を瞬時に割り出し、AIを搭載した弾道ミサイルや巡航ミサイルが自律的な回避運動で米側のミサイル防衛網を突破する事態が起こり得るとする。
台湾の国防大学の論文は、現在の中国のAI技術は米国よりも劣っているとしながらも、米国がAIの軍事利用面で国際法や倫理基準に縛られているうちに、「法や道徳を無視する中共(中国)とのAI軍備競争で苦戦に陥ると推論できる」と警鐘を鳴らしている。
オースティン米国防長官は、13日、米議会のAIに関する独立委員会が開いた国際会議で講演し、「中国は2030年までにAI分野で世界的に支配的な地位を占めようとしている」と述べ、「他の分野と同様、AIでも中国は米国に挑戦してきている」と警戒感を示したのだそうです。
中国の目標は、17年 7月に国務院(政府)が発表した「次世代人工知能発展計画」に明記されている。中国はこの計画で、30年までにAIで「世界をリードする水準に達し、世界の主要なイノベーションの中心となる」と表明していると、田中氏。
台湾の空軍司令部が刊行する学術雑誌「空軍学術」の20年10月の論文によると、17年10月の中国共産党第19回党大会で習近平総書記(国家主席)が行った報告に、「軍事の知能化の発展を加速する」との文言が盛り込まれ、19年の中国の国防白書には「知能化戦争」という概念が登場していると。
米政策研究機関「新米国安全保障センター」(CNAS)が2017年11月に出した中国のAI軍事利用に関する報告書によると、中国が軍事分野でのAIを重視するのは、自国が出遅れたと強く認識しているためだと。
中国は、「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略で、AIをどう活用するのか。
台湾・国防大学政治作戦学院の論文は、無人機(UAV)や無人水上艇(USV)、無人潜水艇(UUV)などの無人兵器やミサイルの精密攻撃、模擬軍事演習などを挙げているのだそうです。
中国はAIを搭載した大量の小型無人機でスウォーム(「虫の群れ」の意)を形成する技術をすでに一定程度、確立していると。
将来、こうした無人機や無人艇が自律的に米艦艇の追跡・監視を行ったり、有人機と連携して防御しきれない数量で自爆式の飽和攻撃をしたりする可能性を指摘。
また、AIによる情報処理で米空母などの目標の位置を瞬時に割り出し、AIを搭載した弾道ミサイルや巡航ミサイルが自律的な回避運動で米側のミサイル防衛網を突破する事態が起こり得ると台湾・国防大学の論文。
そして、現在の中国のAI技術は米国よりも劣っているとしながらも、米国がAIの軍事利用面で国際法や倫理基準に縛られているうちに、「法や道徳を無視する中共とのAI軍備競争で苦戦に陥ると推論できる」と警鐘を鳴らしていると田中氏。
人が搭乗しない、無人機、無人水上艇、無人潜水艇などの無人兵器での戦闘。加えて、AIが算出する自律的な敵標的の追跡・監視。
AIを搭載した大量の小型無人機でスウォーム形成は、イナゴの大群になすすべもない状況の創出ですね。
戦闘の形式は、AI導入の時代で大きく変化。日本軍が、巨艦、巨砲から脱しきれず、米軍の多量の航空機攻撃に敗れた戦闘の変化から、また、大きな変化がもたらされる時代に突入。
台湾の国防大学の論文は、現在の中国のAI技術は米国よりも劣っているとしながらも、米国がAIの軍事利用面で国際法や倫理基準に縛られているうちに、「法や道徳を無視する中共とのAI軍備競争で苦戦に陥ると推論できる」と警鐘を鳴らしていると田中氏。
米国一国に依存するのではなく、自由主義を尊重する国々の連携での対中包囲網の連携強化が、ますます重要となりますね。
# 冒頭の画像は、パレスチナ自治区ガザから発射されたロケット弾を迎撃するイスラエルの防衛システム「アイアンドーム」の光跡。一連の軍事衝突でイスラエル軍はAIを活用したとされるのだそうです。
この花の名前は、ゲンノショウコ
↓よろしかったら、お願いします。