ブレグジットへの道は、政局が優先なのか、混迷を深めるばかりですね。議員内閣制で自由主義をリードしてきた雄国の面影はすっかり姿を消しています。
と言うか、どうしたいのか、よくわかりません。
二大政党が政策を競い合う議会。しかし、かつては中道左派と中道右派の政党だった労働党と保守党は、過去4年間の3度の選挙で、着実にお互いの距離を広げていったと、二大政党の中道からの乖離・対立が混乱を招いていると指摘するのは、英エコノミスト誌。
EUの関税同盟からも離脱する「ハード・ブレグジット」を公約する保守党のボリス・ジョンソン氏か、急進的な社会主義の方針に沿って「経済のルールを書き換える」ことを計画している労働党のジェレミー・コービン氏か、英国の有権者はその選択を迫られる事態に至っていると。
ジョンソン氏は記録に残る限り、最も不人気な新政権を運営しており、コービン氏は最も不人気な野党リーダーだと酷評。
コービン氏による国内での破滅的な計画と国外に対する破綻した見方を考えれば、本誌として労働党を支持するわけにはいかないと。
返す刀では、保守党も2017年の選挙以降、恐ろしさを増していると。
ジョンソン氏は、テリーザ・メイ前首相が交渉してまとめた離脱協定案を捨て、それよりも悪い協定案をまとめたと。
また、ジョンソン氏は穏健派を追い出し、経済的、社会的にリベラルな政党から、経済的には介入主義で文化的には保守の政党への変身を加速させているとも。
ジョンソン氏はさらに、嘘をついたりルールを破ったりしてもペナルティーはない、という教訓を吸収したとまで酷評。
同氏は議会を休会させることはないと約束しながら休会させ、ブレグジットの交渉は延期しないと約束しながら延期した。このようなごまかしは、民主主義に対する信頼を損なう行為だとし、保守党も支持しないと。
保守党の主張するハード・ブレグジットと労働党の主張するハード・レフトな計画の両方を拒む有権者にとっては、自民党が唯一の選択肢だと。
二大政党の支持者の渡り鳥的宿泊所として機能(保守党支持者が保守党に不満を持った時、労働党支持者が労働党に不満を持った時の批判票の受け皿として機能)してきた(by Wikipedia)と言われる自民党。
なぜそのような政党を支持するのか。実利的な理由を挙げれば、それが誰であろうと、次の首相官邸の主を抑制するためだと。
ブレグジットに向かう道はこれまでにも、独立心のある議員が音頭を取ることで良い方向に変わるケースが何度もあった。
自民党の議員が、緊密な貿易協定の最強の支持者になり、合意なき離脱の最強の反対者になるだろう。
今回の選挙の悪夢に良い結果がもたらされることはない。しかし、英国が抱くことのできる最善の希望は、中道が踏みとどまれることなのだと。
英国の繁栄を支えた二大政党が、中道からそれて対立を深め混迷を促進している。そこで、その両党へのけん制になる、中道色のある自民党を、英エコノミスト誌は支持するというのですね。
日本の野党は、いずれも一桁の支持率しか得られていないのに、延々と「モリカケ」で政局混乱を狙ってきて、ネタが尽きたところで、今度は「桜を見る会」。激動する世界の情勢への日本が臨むべき政策議論はなし。偏向オールドメディアも明けても暮れても連日その話題を延々。
英国は、ブレグジットという国の運命に係る政策をめぐる混迷ですが、日本は、蛸壺の中の政局ネタ。
ブレグジットはどのような形で決着するのかは未明。
どんな形にしろ、離脱した英国は、新たな世界戦略が必要。メイ首相はその選択肢の一つに、発展するアジア市場への進出に着目、英連邦の豪加が参画しているCPTPP(TPP11)や、「インド太平洋戦略」への関与を挙げておられました。
中国が札束と軍事力で覇権を拡大するアジアで、自由主義陣営の雄国としての参画は、歓迎ですが、ジョンソン氏などの英国のあたらしい首脳陣は、離脱後の展望はどのように描いているのでしょう。
# 冒頭の画像は、保守党のボリス・ジョンソン首相
この花の名前は、ペンタス
↓よろしかったら、お願いします。
と言うか、どうしたいのか、よくわかりません。
二大政党が政策を競い合う議会。しかし、かつては中道左派と中道右派の政党だった労働党と保守党は、過去4年間の3度の選挙で、着実にお互いの距離を広げていったと、二大政党の中道からの乖離・対立が混乱を招いていると指摘するのは、英エコノミスト誌。
クリスマス前の英国の悪夢 国を引き裂く2大政党、英エコノミストは自由民主党を支持 | JBpress(Japan Business Press) 2019.12.9(月) 英エコノミスト誌 2019年12月7日号
割れた国は、断絶をさらに広げる選挙に直面している。
英国の有権者が繰り返し投票所に呼び出されている。おまけに毎回、選挙で示される選択肢が悪くなる。
かつては中道左派と中道右派の政党だった労働党と保守党は、過去4年間の3度の選挙で、着実にお互いの距離を広げていった。
有権者はまもなく、これまで以上に厳しい選択を迫られる。
欧州連合(EU)の関税同盟からも離脱する「ハード・ブレグジット」を公約する保守党のボリス・ジョンソン氏か、急進的な社会主義の方針に沿って「経済のルールを書き換える」ことを計画している労働党のジェレミー・コービン氏か、どちらかを選ばなければならないのだ。
ジョンソン氏は記録に残る限り、最も不人気な新政権を運営しており、コービン氏は最も不人気な野党リーダーだ。
13日の金曜日、不運な英国民は朝の目覚めとともに、2人のおぞましい候補者のどちらが首相になるかを知ることになる。
今から2年前、政治的には一昔前の前回の総選挙で、本誌エコノミストは政治が過激化していく流れを残念に思っていた。今回の選挙のマニフェスト(政権公約)はさらに極端になっている。
2017年には、労働党は欧州主流派より左寄りの左派政党だった。
それが今では、大企業の株式の10%を接収して基金に保有させ、その株式への配当金は受益者であるはずの労働者よりも主に国庫に支払われるようにするという。
また、給料を据え置きながら、週休3日制を段階的に導入するとしている。
国有化される産業の候補者リストは、長くなる一方のように見える。
医薬品の特許について強制実施権(編集部注:非商業目的であれば、政府や政府機関などが特許権者の承諾なしに特許の技術を利用できるとする権利のこと)が発動される可能性もある。
歳出急増のツケは富裕層と企業に回され、主要7カ国(G7)で「最も軽い」法人の税負担は「最も重い」に様変わりする。
労働党は、20世紀に失敗した政策を使って21世紀の諸問題に立ち向かおうと考えているのだ。
また、コービン氏は自分の世界観に対する懸念を鎮めようともしていない。
西側諸国の外交政策を批判する一方で、これに反対するイランやベネズエラの独裁者には理解を示すコービン氏は、ロシアが2014年にウクライナを侵攻したのは北大西洋条約機構(NATO)のせいだと批判した。
昨年には、英国のソールズベリーでロシアの元スパイに対して使われた神経剤のサンプルをモスクワに送ってみてはどうか、そうすればウラジーミル・プーチン大統領がロシアのものかどうかチェックできると語っていた。
このような人物が首相になったら、英国は米国からの機密情報の提供を頼りにできなくなる。
おまけにコービン氏は、自分が党首である間に労働党に根づいた反ユダヤ主義への対策を講じていない。
EU残留派の中には、コービン氏がようやく公約した2度目の国民投票を実現させる対価として、この点に目をつぶる向きもあるかもしれない。
本誌は再度の国民投票をかなり前から求めてきた。だがそれでも、コービン氏による国内での破滅的な計画と国外に対する破綻した見方を考えれば、本誌として労働党を支持するわけにはいかない。
保守党も2017年の選挙以降、恐ろしさを増している。
ジョンソン氏は、テリーザ・メイ前首相が交渉してまとめた離脱協定案を捨て、それよりも悪い協定案をまとめた。
英国がEUの関税同盟から抜け出すために北アイルランドを事実上切り捨てる内容だ。
国民はブレグジットをめぐる政治の大失態にほとほとうんざりしており、「ブレグジットをやり遂げる」というジョンソン氏の公約に支持が集まっている。
だが、ジョンソン氏はそんなことはしない。
来年の初めに英国がEUを離脱した後に、新しい貿易協定の厳しい交渉が始まる。ジョンソン氏はこの交渉を2020年末までにまとめるか、さもなくば、協定なしでEUを離脱すると言っている。
つまり、「合意なき離脱」の可能性はまだ残っている。協定を1年以内にまとめるのは困難だと思われることから、これはまさにリアルな可能性だ。
最も信頼性の高い推計によれば、合意なき離脱が行われた場合、10年後の平均所得は、合意なき離脱が行われなかった場合よりも8%少なくなるという。
ジョンソン氏の率いる、装いを新たにした保守党にとって、ブレグジットは唯一の問題ではない。
ジョンソン氏は穏健派を追い出し、経済的、社会的にリベラルな政党から、経済的には介入主義で文化的には保守の政党への変身を加速させている。
離脱派の多い労働者階級の選挙区を北部で手に入れるために、国からの追加的な支援策、政府調達における英国製品購入方針、大ざっぱでつじつまも合わない徴税・歳出計画などを打ち出している。
ジョンソン氏はさらに、ブレグジットをめぐる選挙活動の致命的な教訓を吸収した。嘘をついたりルールを破ったりしてもペナルティーはない、という教訓だ。
同氏は議会を休会させることはないと約束しながら休会させ、ブレグジットの交渉は延期しないと約束しながら延期した。このようなごまかしは、民主主義に対する信頼を損なう行為だ。
コービン氏と同様に、ジョンソン氏は自らの偏見をあらわにしたり党内の偏見を調査しなかったりしたことにより、偏見を常態化させた(今では有権者の30%が、両氏とも人種差別主義者だと考えるようになっている)。
こうした理由から、本誌は保守党も支持できない。
その結果、自由民主党(自民党)のハードルが低くなり、同党はこれをクリアしている。本誌は2017年にも自民党を支持したが、その後は同党でも主張が少し極端になっている。
ジョー・スウィンソン新党首のもとで、2度目の国民投票を行うという主張から、一方的な離脱撤回という無責任な公約に転じている。これが裏目に出たのも無理はない。
しかし、自民党の経済へのアプローチ――歳出を適度に増やす一方、その財源は広く薄く課す税の引き上げでまかなう、というもの――は主要政党の中では最も分別があり、高齢化社会のコストについて唯一率直に論じている政党でもある。
気候変動問題や社会政策についても、理想と現実のバランスの取り方が最も優れている。
前回の総選挙と同様、保守党の主張するハード・ブレグジットと労働党の主張するハード・レフトな計画の両方を拒む有権者にとっては、自民党が唯一の選択肢だ。
しかし、同党が勝利することはないだろう。
では、なぜそのような政党を支持するのか。実利的な理由を挙げれば、それが誰であろうと、次の首相官邸の主を抑制するためだ。
自民党を推せばコービン氏の思うつぼではないかと心配する有権者もいるが、本誌のモデルでの試算によれば、自民党には労働党と保守党の両方から、票と議席がかなり均等に流れ込む見通しだ。
コービン氏はスコットランド民族党(SNP)と連立政権を組む準備をしており、そのSNPは、スコットランド独立の是非を問う住民投票の再実施の見返りとして、コービン氏のプログラムのほとんどを支持するだろう。
そのため、自民党の議員が増えれば、この計画を抑制できる。
同様に、自民党はジョンソン氏にも歯止めをかけることになる。
保守党の一部には、獲得議席が過半数を大幅に上回ればジョンソン氏はポピュリスト的な行動を止め、自由主義の本能を再発見するだろうという望みに賭ける人もいる。そういう人は幻想を抱いている。
もしジョンソン氏が、国からの支援拡大の公約によって獲得しようとしている離脱派の選挙区の議席を勝ち取れば、その後、規制の緩い「テムズ川のシンガポール」を築く奇抜なアイデアに戻るとでもいうのだろうか。
正解はその逆だ。保守党が選挙で大勝すればするほど、同党の変化はより激烈なものになるだろう。
信念に基づく理由を挙げれば、本誌創刊の礎だった自由主義に最も近い存在が自民党だからだ。
自民党が勢力を伸ばせば、開かれた市場と自由な社会を望む有権者に対し、中道派は生きているというシグナルを送ることになる。
ここ数年の動きにより、党の過激さを理由に保守党を離れたサム・ジーマ氏や、同じ理由で労働党を去ったチュカ・アマナ氏のような善良な人々を議会が必要としている理由が明らかになった。
ブレグジットに向かう道はこれまでにも、独立心のある議員が音頭を取ることで良い方向に変わるケースが何度もあった。
来年1月に英国がEUを離脱する場合には、自民党の議員が、緊密な貿易協定の最強の支持者になり、合意なき離脱の最強の反対者になるだろう。
今回の選挙の悪夢に良い結果がもたらされることはない。しかし、英国が抱くことのできる最善の希望は、中道が踏みとどまれることなのだ。
割れた国は、断絶をさらに広げる選挙に直面している。
英国の有権者が繰り返し投票所に呼び出されている。おまけに毎回、選挙で示される選択肢が悪くなる。
かつては中道左派と中道右派の政党だった労働党と保守党は、過去4年間の3度の選挙で、着実にお互いの距離を広げていった。
有権者はまもなく、これまで以上に厳しい選択を迫られる。
欧州連合(EU)の関税同盟からも離脱する「ハード・ブレグジット」を公約する保守党のボリス・ジョンソン氏か、急進的な社会主義の方針に沿って「経済のルールを書き換える」ことを計画している労働党のジェレミー・コービン氏か、どちらかを選ばなければならないのだ。
ジョンソン氏は記録に残る限り、最も不人気な新政権を運営しており、コービン氏は最も不人気な野党リーダーだ。
13日の金曜日、不運な英国民は朝の目覚めとともに、2人のおぞましい候補者のどちらが首相になるかを知ることになる。
今から2年前、政治的には一昔前の前回の総選挙で、本誌エコノミストは政治が過激化していく流れを残念に思っていた。今回の選挙のマニフェスト(政権公約)はさらに極端になっている。
2017年には、労働党は欧州主流派より左寄りの左派政党だった。
それが今では、大企業の株式の10%を接収して基金に保有させ、その株式への配当金は受益者であるはずの労働者よりも主に国庫に支払われるようにするという。
また、給料を据え置きながら、週休3日制を段階的に導入するとしている。
国有化される産業の候補者リストは、長くなる一方のように見える。
医薬品の特許について強制実施権(編集部注:非商業目的であれば、政府や政府機関などが特許権者の承諾なしに特許の技術を利用できるとする権利のこと)が発動される可能性もある。
歳出急増のツケは富裕層と企業に回され、主要7カ国(G7)で「最も軽い」法人の税負担は「最も重い」に様変わりする。
労働党は、20世紀に失敗した政策を使って21世紀の諸問題に立ち向かおうと考えているのだ。
また、コービン氏は自分の世界観に対する懸念を鎮めようともしていない。
西側諸国の外交政策を批判する一方で、これに反対するイランやベネズエラの独裁者には理解を示すコービン氏は、ロシアが2014年にウクライナを侵攻したのは北大西洋条約機構(NATO)のせいだと批判した。
昨年には、英国のソールズベリーでロシアの元スパイに対して使われた神経剤のサンプルをモスクワに送ってみてはどうか、そうすればウラジーミル・プーチン大統領がロシアのものかどうかチェックできると語っていた。
このような人物が首相になったら、英国は米国からの機密情報の提供を頼りにできなくなる。
おまけにコービン氏は、自分が党首である間に労働党に根づいた反ユダヤ主義への対策を講じていない。
EU残留派の中には、コービン氏がようやく公約した2度目の国民投票を実現させる対価として、この点に目をつぶる向きもあるかもしれない。
本誌は再度の国民投票をかなり前から求めてきた。だがそれでも、コービン氏による国内での破滅的な計画と国外に対する破綻した見方を考えれば、本誌として労働党を支持するわけにはいかない。
保守党も2017年の選挙以降、恐ろしさを増している。
ジョンソン氏は、テリーザ・メイ前首相が交渉してまとめた離脱協定案を捨て、それよりも悪い協定案をまとめた。
英国がEUの関税同盟から抜け出すために北アイルランドを事実上切り捨てる内容だ。
国民はブレグジットをめぐる政治の大失態にほとほとうんざりしており、「ブレグジットをやり遂げる」というジョンソン氏の公約に支持が集まっている。
だが、ジョンソン氏はそんなことはしない。
来年の初めに英国がEUを離脱した後に、新しい貿易協定の厳しい交渉が始まる。ジョンソン氏はこの交渉を2020年末までにまとめるか、さもなくば、協定なしでEUを離脱すると言っている。
つまり、「合意なき離脱」の可能性はまだ残っている。協定を1年以内にまとめるのは困難だと思われることから、これはまさにリアルな可能性だ。
最も信頼性の高い推計によれば、合意なき離脱が行われた場合、10年後の平均所得は、合意なき離脱が行われなかった場合よりも8%少なくなるという。
ジョンソン氏の率いる、装いを新たにした保守党にとって、ブレグジットは唯一の問題ではない。
ジョンソン氏は穏健派を追い出し、経済的、社会的にリベラルな政党から、経済的には介入主義で文化的には保守の政党への変身を加速させている。
離脱派の多い労働者階級の選挙区を北部で手に入れるために、国からの追加的な支援策、政府調達における英国製品購入方針、大ざっぱでつじつまも合わない徴税・歳出計画などを打ち出している。
ジョンソン氏はさらに、ブレグジットをめぐる選挙活動の致命的な教訓を吸収した。嘘をついたりルールを破ったりしてもペナルティーはない、という教訓だ。
同氏は議会を休会させることはないと約束しながら休会させ、ブレグジットの交渉は延期しないと約束しながら延期した。このようなごまかしは、民主主義に対する信頼を損なう行為だ。
コービン氏と同様に、ジョンソン氏は自らの偏見をあらわにしたり党内の偏見を調査しなかったりしたことにより、偏見を常態化させた(今では有権者の30%が、両氏とも人種差別主義者だと考えるようになっている)。
こうした理由から、本誌は保守党も支持できない。
その結果、自由民主党(自民党)のハードルが低くなり、同党はこれをクリアしている。本誌は2017年にも自民党を支持したが、その後は同党でも主張が少し極端になっている。
ジョー・スウィンソン新党首のもとで、2度目の国民投票を行うという主張から、一方的な離脱撤回という無責任な公約に転じている。これが裏目に出たのも無理はない。
しかし、自民党の経済へのアプローチ――歳出を適度に増やす一方、その財源は広く薄く課す税の引き上げでまかなう、というもの――は主要政党の中では最も分別があり、高齢化社会のコストについて唯一率直に論じている政党でもある。
気候変動問題や社会政策についても、理想と現実のバランスの取り方が最も優れている。
前回の総選挙と同様、保守党の主張するハード・ブレグジットと労働党の主張するハード・レフトな計画の両方を拒む有権者にとっては、自民党が唯一の選択肢だ。
しかし、同党が勝利することはないだろう。
では、なぜそのような政党を支持するのか。実利的な理由を挙げれば、それが誰であろうと、次の首相官邸の主を抑制するためだ。
自民党を推せばコービン氏の思うつぼではないかと心配する有権者もいるが、本誌のモデルでの試算によれば、自民党には労働党と保守党の両方から、票と議席がかなり均等に流れ込む見通しだ。
コービン氏はスコットランド民族党(SNP)と連立政権を組む準備をしており、そのSNPは、スコットランド独立の是非を問う住民投票の再実施の見返りとして、コービン氏のプログラムのほとんどを支持するだろう。
そのため、自民党の議員が増えれば、この計画を抑制できる。
同様に、自民党はジョンソン氏にも歯止めをかけることになる。
保守党の一部には、獲得議席が過半数を大幅に上回ればジョンソン氏はポピュリスト的な行動を止め、自由主義の本能を再発見するだろうという望みに賭ける人もいる。そういう人は幻想を抱いている。
もしジョンソン氏が、国からの支援拡大の公約によって獲得しようとしている離脱派の選挙区の議席を勝ち取れば、その後、規制の緩い「テムズ川のシンガポール」を築く奇抜なアイデアに戻るとでもいうのだろうか。
正解はその逆だ。保守党が選挙で大勝すればするほど、同党の変化はより激烈なものになるだろう。
信念に基づく理由を挙げれば、本誌創刊の礎だった自由主義に最も近い存在が自民党だからだ。
自民党が勢力を伸ばせば、開かれた市場と自由な社会を望む有権者に対し、中道派は生きているというシグナルを送ることになる。
ここ数年の動きにより、党の過激さを理由に保守党を離れたサム・ジーマ氏や、同じ理由で労働党を去ったチュカ・アマナ氏のような善良な人々を議会が必要としている理由が明らかになった。
ブレグジットに向かう道はこれまでにも、独立心のある議員が音頭を取ることで良い方向に変わるケースが何度もあった。
来年1月に英国がEUを離脱する場合には、自民党の議員が、緊密な貿易協定の最強の支持者になり、合意なき離脱の最強の反対者になるだろう。
今回の選挙の悪夢に良い結果がもたらされることはない。しかし、英国が抱くことのできる最善の希望は、中道が踏みとどまれることなのだ。
EUの関税同盟からも離脱する「ハード・ブレグジット」を公約する保守党のボリス・ジョンソン氏か、急進的な社会主義の方針に沿って「経済のルールを書き換える」ことを計画している労働党のジェレミー・コービン氏か、英国の有権者はその選択を迫られる事態に至っていると。
ジョンソン氏は記録に残る限り、最も不人気な新政権を運営しており、コービン氏は最も不人気な野党リーダーだと酷評。
コービン氏による国内での破滅的な計画と国外に対する破綻した見方を考えれば、本誌として労働党を支持するわけにはいかないと。
返す刀では、保守党も2017年の選挙以降、恐ろしさを増していると。
ジョンソン氏は、テリーザ・メイ前首相が交渉してまとめた離脱協定案を捨て、それよりも悪い協定案をまとめたと。
また、ジョンソン氏は穏健派を追い出し、経済的、社会的にリベラルな政党から、経済的には介入主義で文化的には保守の政党への変身を加速させているとも。
ジョンソン氏はさらに、嘘をついたりルールを破ったりしてもペナルティーはない、という教訓を吸収したとまで酷評。
同氏は議会を休会させることはないと約束しながら休会させ、ブレグジットの交渉は延期しないと約束しながら延期した。このようなごまかしは、民主主義に対する信頼を損なう行為だとし、保守党も支持しないと。
保守党の主張するハード・ブレグジットと労働党の主張するハード・レフトな計画の両方を拒む有権者にとっては、自民党が唯一の選択肢だと。
二大政党の支持者の渡り鳥的宿泊所として機能(保守党支持者が保守党に不満を持った時、労働党支持者が労働党に不満を持った時の批判票の受け皿として機能)してきた(by Wikipedia)と言われる自民党。
なぜそのような政党を支持するのか。実利的な理由を挙げれば、それが誰であろうと、次の首相官邸の主を抑制するためだと。
ブレグジットに向かう道はこれまでにも、独立心のある議員が音頭を取ることで良い方向に変わるケースが何度もあった。
自民党の議員が、緊密な貿易協定の最強の支持者になり、合意なき離脱の最強の反対者になるだろう。
今回の選挙の悪夢に良い結果がもたらされることはない。しかし、英国が抱くことのできる最善の希望は、中道が踏みとどまれることなのだと。
英国の繁栄を支えた二大政党が、中道からそれて対立を深め混迷を促進している。そこで、その両党へのけん制になる、中道色のある自民党を、英エコノミスト誌は支持するというのですね。
日本の野党は、いずれも一桁の支持率しか得られていないのに、延々と「モリカケ」で政局混乱を狙ってきて、ネタが尽きたところで、今度は「桜を見る会」。激動する世界の情勢への日本が臨むべき政策議論はなし。偏向オールドメディアも明けても暮れても連日その話題を延々。
英国は、ブレグジットという国の運命に係る政策をめぐる混迷ですが、日本は、蛸壺の中の政局ネタ。
ブレグジットはどのような形で決着するのかは未明。
どんな形にしろ、離脱した英国は、新たな世界戦略が必要。メイ首相はその選択肢の一つに、発展するアジア市場への進出に着目、英連邦の豪加が参画しているCPTPP(TPP11)や、「インド太平洋戦略」への関与を挙げておられました。
中国が札束と軍事力で覇権を拡大するアジアで、自由主義陣営の雄国としての参画は、歓迎ですが、ジョンソン氏などの英国のあたらしい首脳陣は、離脱後の展望はどのように描いているのでしょう。
# 冒頭の画像は、保守党のボリス・ジョンソン首相
この花の名前は、ペンタス
↓よろしかったら、お願いします。