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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

冷え切った北方四島・領土と日露平和条約交渉の行方

2021-02-09 01:22:33 | ロシア全般
 戦後75年以上たってもロシアの不法占拠が続く北方四島。
 歴史を遡ると、日本とロシア帝国の間で最初に締結された条約は、1855年2月7日(安政2年12月21日)に伊豆の下田(現・静岡県下田市)長楽寺において、で締結された条約。日本(江戸幕府)側全権は大目付格筒井政憲と勘定奉行川路聖謨、ロシア側全権は提督プチャーチン。
 択捉島と得撫島の間に国境線が引かれ、樺太においては国境を設けず、それまでどおり両国民の混住の地とすると決められたのでした。
 その後、日露戦争でのポーツマス条約での領土交渉で樺太の南半分と千島列島が日本領と変更されましたが、太平洋戦争の末期に、ソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄し攻め込み、北方四島を不法占拠。今日に至っています。
 1956年10月19日 鳩山首相とソ連のブルガーニン首相がモスクワで署名した、日ソ共同宣言以降続けられてきた、北方四島の返還と平和条約締結の交渉は、安倍政権下で、返還ゼロ島となり、冷え切っていることは諸兄がご承知の通りです。
 2月7日の「北方領土の日」を機に、産経新聞が、専門家3氏に今後の展望をインタビューしています。
 
【論点直言 北方領土交渉】視界不良の領土問題を含む日露平和条約交渉の行方 グレンコ・アンドリー氏、鈴木宗男氏、袴田茂樹氏 - 産経ニュース 2021.2.7

 2月7日は「北方領土の日」。北方四島(択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島)は1855年2月7日に調印された日露通好条約で日本領土となって以来、他国に帰属したことは一度もないだが戦後75年以上たってもロシアの不法占拠が続く。菅義偉首相は北方領土問題について「終止符を打たねばならない」と意欲を示している。ロシアのプーチン政権とどう向き合うべきか識者らに聞いた

民主主義陣営の連帯強化で譲歩させよ」 国際政治学者 グレンコ・アンドリー氏
 
日本政府は「北方領土問題を解決して平和条約を締結する」というが、そのアプローチからして根本的に間違っていると思う。北方四島は不法占拠されているのだから、ロシアへの要求事項は「全島の返還」でしかあり得ない。「問題を解決する」などという課題設定では、「日本の4島放棄が解決策だ」といった主張もロシアに許しかねない。

 
安倍晋三前首相は事実上、色丹島と歯舞群島の2島に絞った交渉を行ったが、プーチン露政権の強硬姿勢に阻まれて失敗した。これはむしろ良かった2島返還で手を打って平和条約を結べば、国後島と択捉島について協議する機会は完全に失われる。日本人はお人よしなので2島返還ですら親露的世論が生まれ、安全保障面で悪影響が出る恐れすらあっただろう。

 
重要なのは、4島全ての返還を一貫して要求し、交渉期限を区切ったりしないことだこの原則を曲げてはならない。その上で、当面の日本は経済や軍事など総合的な国力の増強に邁進し、4島を返還させる機会を長い目で探るべきだ。

 
今後、プーチン体制のロシアが衰退するのは明らかで、経済や技術力での欧米との格差は広がる一方だ。結果として財政難や政治の混乱により、巨大な領土を維持するのが難しくなることは十分にあり得る。

 この意味では、
安倍前政権が対露経済支援と引き換えに領土交渉を進めようとしたのも誤りだった。ロシアが発展して国力をつければ、領土を手放す理由はなくなる。発展を手助けすればするほど、北方領土の返還が遠のくのは自明だ。

 ロシアに歩み寄ることで中国とロシアの間にくさびを打てるのではないか-との見解を聞くことがある。しかし、中露はともに独裁国としての「価値観」を共有し、ともに相手を必要とする互恵関係にある。
プーチン政権が中国と仲たがいする可能性は皆無である。

 日本が独裁国陣営のロシアと深い付き合いをする必要は全くない。逆に
ロシアを追い詰めて譲歩させるべく民主主義陣営の連帯を強めることが大事だ。(聞き手 遠藤良介)

          ◇
 
 グレンコ・アンドリー 1987年、ウクライナの首都キエフ生まれ。キエフ国立大卒。京大院博士後期課程指導認定退学。日本に在住して評論活動を行う。著書に『プーチン幻想』(PHP新書)、『ウクライナ人だから気づいた日本の危機』(育鵬社)。33歳。


「2島返還プラスαが現実的な解決策」 日本維新の会参院議員 鈴木宗男氏
 
菅義偉首相は1月18日の施政方針演説で「北方領土問題を次世代に先送りせず、終止符を打たねばならない」と決意を示した。「2018(平成30)年のシンガポールでの首脳会談のやり取りは引き継いでおり、両国間の諸合意を踏まえて交渉を進める」とも語った

 
自身の手で解決するという首相の強い意気込みを感じるが、1956(昭和31)年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速するとしたシンガポールでの「合意」が「やり取り」になっていることを、後退と見る向きもあるようだ。だが、交渉の経緯を全く知らない人の批判と言わざるを得ない。

 昨年8月31日に安倍晋三首相(当時)はロシアのプーチン大統領と最後の電話会談を行った。「シンガポールの会談では、こういうことも、あるいはこういうことも合意したよな」と一つ一つ確認し、プーチン氏も「そうだ」と答えた。

 
就任間もない菅首相とプーチン氏の昨年9月29日の電話会談で、首相が「日露の関係はしっかりと引き継ぐ」と語ると、プーチン氏のほうから「(大事なのは)シンガポール合意なんだ」と言ってくれた。外交交渉には表に出せないこともある。「やり取り」という表現には、対外的に発表された事柄だけでなく、首脳間の交渉内容が全て含まれるという意味がある。

 私が今月1日に菅首相と面会した際に「安倍前首相が築いた流れを継いで私自身の手で結果を残したい」と話していた。新型コロナウイルスの影響で首脳の往来はまだ難しい状況だが、
一度直接会って信頼関係を結ぶ必要がある。今年は共同宣言の署名から65年。「5年」を大切にするロシアにとって節目の年だ。

 平均年齢が85歳となった元島民らの願いは、1島でも2島でもいいから、早く返してもらいたいということ。
平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した共同宣言に沿い、この2島の返還と、残る2島の自由往来や共同経済活動などを組み合わせた「2島返還プラスα」しか現実的な解決策はない。(聞き手 力武崇樹)

          ◇
 
 すずき・むねお 昭和23年生まれ。拓殖大政経学部卒。58年12月の衆院選で初当選し、北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官などを歴任。平成22年に受託収賄罪などで実刑が確定し、1年間服役。令和元年7月の参院選で国政に復帰し、現在は参院沖縄・北方問題特別委員長。73歳。


「領土と経済の『拡大均衡論』に立ち戻れ」 青学・新潟県立大名誉教授 袴田茂樹氏
 北方領土をめぐり、
安倍晋三前首相はプーチン大統領に対し、両者の任期中に領土問題を解決し平和条約を締結する構想を示したが、外交交渉は期限を区切ったほうが不利プーチン氏に譲る意思はなく、交渉前進は極めて困難だろう。

 
日本は一方的な期待で譲歩を重ねてきた。経済協力を基礎に新しい解決のアプローチを提示したが、ロシア側は領土を棚上げして経済協力関係を構築する提案と理解した。

 1956(昭和31)年の日ソ共同宣言では平和条約締結後に歯舞、色丹両島を引き渡すことで同意した。さらに地道な交渉の末、
93(平成5)年の東京宣言で「4島の帰属問題が未解決」と両国は確認した。

 
プーチン氏もこれを認めていたが、2005(平成17)年に突然、北方四島は第2次世界大戦の結果、ロシア領となったもので「議論はしない」と宣言した。これに対し日本側は毅然と抗議しなかった安倍政権の外交交渉ではさらに、共同宣言に基づく「2島引き渡し」論にまで後退した。

 
ロシアは昨年の改憲でプーチン氏の長期政権を可能にした領土割譲を禁じ、それを説いた者は刑事罰に処す法律も定めた。日本を念頭にした意思表明ともいえる。

 G7(先進7カ国)の首脳間で存在感を示すなど
安倍氏の対外政策は一般に高く評価できる。ただ、対露政策では幻想や甘い期待から、長年、血のにじむ努力で築いた合意を自ら崩した。菅義偉首相はこの現実を理解すべきだ。

 日本政府の原則論は「歴史的にも法的にも北方四島は日本領」だが、
対露交渉の基本方針は東京宣言の「北方四島の帰属問題を解決して平和条約締結」だ日本は、領土交渉と経済協力の双方を均衡を取って発展させるという「拡大均衡論」に立ち戻るべきだ

 
国家主権の問題は単なる国の体面ではなく、独立国としての死活問題だ。日本の姿勢を世界は注視している。少しでもないがしろにすれば、外交や安全保障で連鎖的に深刻な結果をもたらしかねない甘い期待でなく、真剣勝負で臨まなければならない。(聞き手 中村昌史)

          ◇

 はかまだ・しげき 昭和19年生まれ。東大卒、モスクワ国立大大学院修了、東大大学院博士課程単位取得退学。米プリンストン大学客員研究員、東大大学院客員教授などを歴任。専門は現代ロシア論。産経新聞「正論」欄執筆メンバー。著書に『現代ロシアを読み解く』など。76歳。

 国際政治学者 グレンコ・アンドリー氏は、日本政府は「北方領土問題を解決して平和条約を締結する」というが、そのアプローチからして根本的に間違っている。北方四島は不法占拠されているのだから、ロシアへの要求事項は「全島の返還」でしかあり得ないと。
 重要なのは、4島全ての返還を一貫して要求し、交渉期限を区切ったりしないことだ。この原則を曲げてはならないとも。
 
 安倍前政権が対露経済支援と引き換えに領土交渉を進めようとしたのも誤りだった。ロシアが発展して国力をつければ、領土を手放す理由はなくなる。発展を手助けすればするほど、北方領土の返還が遠のくのは自明だと。
 今後、プーチン体制のロシアが衰退するのは明らかで、巨大な領土を維持するのが難しくなることは十分にあり得る。
 日本が独裁国陣営のロシアと深い付き合いをする必要は全くない。逆にロシアを追い詰めて譲歩させるべく民主主義陣営の連帯を強めることが大事だとアンドリー氏。

 平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した共同宣言に沿い、この2島の返還と、残る2島の自由往来や共同経済活動などを組み合わせた「2島返還プラスα」しか現実的な解決策はない。
 菅首相は、プーチン氏と一度直接会って信頼関係を結ぶ必要があると鈴木氏。
 これでは、憲法改定までして冷めきったプーチン氏側が、交渉に臨む理由が見つかりませんね。

 青学・新潟県立大名誉教授の袴田氏は、日本は、領土交渉と経済協力の双方を均衡を取って発展させるという「拡大均衡論」に立ち戻るべきだと。

 日本は一方的な期待で譲歩を重ねてきた。経済協力を基礎に新しい解決のアプローチを提示したが、ロシア側は領土を棚上げして経済協力関係を構築する提案と理解したと。
 1993年の東京宣言で「4島の帰属問題が未解決」と両国は確認した。
 プーチン氏もこれを認めていたが、2005年に突然、北方四島は第2次世界大戦の結果、ロシア領となったもので「議論はしない」と宣言した。
 これに対し日本側は毅然と抗議しなかった。安倍政権の外交交渉ではさらに、共同宣言に基づく「2島引き渡し」論にまで後退した。
 更に、ロシアは昨年の改憲でプーチン氏の長期政権を可能にした。領土割譲を禁じ、それを説いた者は刑事罰に処す法律も定めた。
 
 安倍氏の対外政策は一般に高く評価できる。ただ、対露政策では幻想や甘い期待から、長年、血のにじむ努力で築いた合意を自ら崩したと袴田名誉教授。
 日本政府の原則論は「歴史的にも法的にも北方四島は日本領」だが、対露交渉の基本方針は東京宣言の「北方四島の帰属問題を解決して平和条約締結」だ。日本は、領土交渉と経済協力の双方を均衡を取って発展させるという「拡大均衡論」に立ち戻るべきだと。
 
 国家主権の問題は単なる国の体面ではなく、独立国としての死活問題だ。日本の姿勢を世界は注視している。外交や安全保障で連鎖的に深刻な結果をもたらしかねない。甘い期待でなく、真剣勝負で臨まなければならないとも。

 韓国による竹島の不法占拠。中国による、尖閣諸島への侵略のエスカレートを抱える日本。
 国家の主権は、厳然として護る姿勢と行動を示さねば、侵略しやすい国だと、近隣諸国の侵略はエスカレートするばかりですね。



 # 冒頭の画像は、ポーツマス条約時の日露の国境




  この花の名前は、フロウバイ


2月 7日は、北方領土の日


政府広報(北方領土問題) - YouTube


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写真素材のピクスタ


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