
日本は、安倍政権により新政策が打ち出されていますが、ロシアのプーチン大統領、中国の習金平主席の新政権も停滞する国内経済の転換機を迎えている様ですね。
諸兄はご存知の方が多い話題ですが、産経がコンパクトに整理しています。
■成長率を下方修正/バラマキ原資なし
【モスクワ=遠藤良介】プーチン大統領の就任から1年余りが過ぎたロシアで、経済成長の鈍化が鮮明になっている。今年1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比でわずか1・2%の伸びにとどまり、経済発展省は通年の成長率予測を3・6%から2・4%に下方修正した。石油・天然ガス収入を再配分するだけのプーチン流経済モデルが、いよいよ限界を露呈してきた。
2008~09年の世界金融危機後、ロシアの経済成長率は10年に4・5%、11年に4・3%、12年に3・4%と漸減してきた。今年の予測成長率は、マイナス7・8%となった09年を除き、1999年以来で最低となる。
これは、プーチン氏が大統領復帰前に豪語していた「年6~7%の成長」からほど遠く、主要新興国の中でも見劣りする。ベロウソフ経済発展相は4月の政府会合で「今日の状況は相当な程度、世界経済でなく、国内要因に関係している」と率直に述べた。
2000年に1期目の大統領に就任したプーチン氏は、政治・経済の両面で国家統制を強化する一方、石油・天然ガス収入を公務員給与や年金の引き上げ、国策企業への資金投下などに振り向けた。就任時に1バレル=20ドルだった石油価格の急騰に助けられ、08年春までの前回大統領期には年平均約7%の成長を達成。
通算3期目には、強権統治と“バラマキ”というプーチン政権の性格がいっそう強まっている。医師や教員の給与増額、住宅供給、軍需産業支援といったプーチン氏の公約を全て実現すると、任期の6年間で4兆8千億ルーブル(約15兆3千億円)の支出増になると試算されている。
だが、経済減速が示すのは、従来の発展モデルが頭打ちになり、バラマキの原資を見いだすことも困難になっている現実だ。最大の問題は、国家予算に占める石油・天然ガス関連の収入が50%を超え、地下資源頼みの経済構造から脱却できていないことにある。
財政赤字の回避は不可能とみられており、国際資源価格の急落に見舞われた場合の影響は甚大だ。
政権のリベラル派は企業の税負担軽減や汚職対策、投資環境改善などによる産業育成を主張。だが、現実には治安・特務機関の出身者など国粋主義のシロビキ(武闘派)が影響力を増しており、政権が大胆な改革に踏み切る兆候はない。
「停滞の時代」と呼ばれる旧ソ連後半のブレジネフ政権期に、超長期化する「プーチン時代」をなぞらえる論調も目立ってきた。
ロシア経済が資源輸出依存から脱却しなければならないことは、プーチン氏と言えども認識はし始めています。
しかし、現実にはその資源輸出さえ主力ガス田の枯渇を控え、北極圏や極東での開発に迫られています。同時に、欧州での脱露依存が進み、新たな販路の開拓が死活的に求められています。
その台所の厳しさがあるからこそ、北方領土問題をちらつかせながら日本に接近してきているのでしたね。
軍事力を強大化し、ロシア極東国境に人口流入圧力を強めている中国を牽制するために、日本との 2 + 2 の会談設置も実現させました。
日本は、ロシアの台所事情をよく見ながら、あわてずにじっくり交渉すれば、国益の実利を獲得出来る環境が整っているのです。
民間企業が、あわてて目先の利益を追いかけるのを制御しながら、国益を見据えた展開が肝要です。
【北京=山本勲】中国国務院(政府)が従来の公共投資主導の景気対策から、民間活力重視の安定成長への転換を急いでいる。成長率かさ上げを狙った地方政府の公共事業が、不良債務激増や重化学工業などの生産過剰を深刻化させているためだ。今年の国内総生産(GDP)は「政府目標(7・5%増)に届かない」(内外エコノミスト)との観測も出る中、異例の転換といえる。
国務院は2008年秋のリーマン・ショック後に4兆元(66兆円)の景気対策を打ち出し、高成長を実現した。しかし、27日付の中国共産党機関紙、人民日報(海外版)は2面トップ記事に「中国は二度と新版“4兆元”(投資)を繰り返さない。刺激策は根本治療にならない」との見出しをつけた。
記事は「(景気先行指標である)4月の工業生産者物価指数は14カ月連続で下がり、(英金融機関HSBCが発表した)5月の製造業購買担当者景気指数が(好不況の判断となる境目の)50を7カ月ぶりに下回った」と景気の低迷ぶりを指摘した。
その上で「4兆元投資を再現すべきか否かの議論が起きているが、大方の専門家は反対している。旧来の刺激策では経済の構造矛盾は解決できず、工業の過剰生産や地方債務累積などの問題を深刻化させるだけだ」とし、「低迷脱却には改革を通じて企業の技術革新や資源の効率使用を促すべきだ」と提言している。これに先立つ24日、国務院は今年の経済改革方針を発表し、(1)政府機構の簡素化や投資・生産活動への審査・許認可業務の削減、撤廃(2)民間資本の金融・エネルギー・鉄道・電信など(従来の国有事業分野)への参入を推進-などの政策を打ち出した。
国務院は4兆元の景気対策で09年に9・2%、10年に10・4%の高成長を実現。しかし昨年は7・8%と13年ぶりに8%を割り込み、逆に過剰投資の弊害が深刻化している。
地方政府が採算の疑わしい公共事業を乱発したため、地方債務の合計は「20兆元に達した」(項懐誠・元財政相)。昨年のGDPの約4割の規模で、“中国発金融危機”に警戒が強まっており、成長方式の転換が急務となっている。
近隣のアジア諸国はもとより、太平洋島嶼国や遠いアフリカ諸国まで、札束外交での平圧を展開し、最近では、貧する先進諸国それも大国の米独に至るまで、札束を駆使しひざまずかせる勢いの中国。GDP 2位とはいえ、世界経済の実質の牽引者となっています。
ところが、輸出大国となった基盤の「世界の工場」のビジネスモデルは、賃金上昇、環境破壊、人権問題の台頭でこれまでの競争優位性を失い始めています。
更に、外国からの投資を集めている内需も、公共投資という財政出動がけん引役を果たしてましたが、財源の裏打ちの怪しい地方政府の乱開発が進み、自転車操業状態に陥り、地方政府の財政破綻が近いとは、数多い評論が指摘しています。
そこで、上記の記事の様に、政府機構の簡素化(日本で言う行政改革)、審査・許認可業務の削減・撤廃(日本で言う規制緩和)、民間資本の国営事業への参入(日本では民営化)を進め、財政健全化への転換が求められています。
先進国と同じ悩みの世界に、破竹の勢いで進撃した中国も突入してきた様です。
台頭する新興国の核をなす中露両国が、先進国がいつか通ってきた転換期を揃って迎えている現状。
少子高齢化も含め、先進国への道の壁を乗り越えてきた日本が、アベノミクスの成長戦略を成功させ、再びけん引役の一角に復帰活躍できるか。中露の道と相対的に、世界各国と相互メリットを追求しながら発展する新しいモデルをアジア、アフリカや世界に広められるか、期待を込めて注目です。
# 冒頭の画像は、アフリカ会議のマラソン首脳会談で、リベリアのサーリーフ大統領と握手する安倍首相
【アフリカ開発会議】首相、マラソン首脳会談スタート エチオピア首相と - MSN産経ニュース
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