kisetsunokazeni

ときには空を見上げて深呼吸。無駄と思える時間も必要な時がある。

空蝉

2018-08-14 20:34:32 | ひとこと
公園の片隅に


ひっそりと横たわった


蝉の亡骸


せいいっぱい羽ばたき


せいいっぱい鳴いたその蝉は


思い残すことなく力尽きたように見える


けれど


本当はどうなのか


その蝉が土の中で生を享けたとき


まだ地上は温暖化の影響をそれほど受けておらず


過ごしやすかった


それが


地中でゆっくりと育っている間に


気候はどんどん変化してゆき


その頃からは考えられないほど


残酷な季節に変わった


蝉にどれほどの心があるかはわからないけれど


地中で空を飛ぶ日を夢見てた長い年月と


空は飛べるし思い切り鳴くこともできるけど


生きるには厳しすぎる地上の数日の


いったいどちらが幸せだったのか


ゆがんだ空間の向こうで


何を思うのか


もう動かない骸を見ていて


ふとそんなこと考えさせられた


盛夏のゆふぐれ


そのはるか向こうの空で


三日月はなにもなかったかのように


微笑んでいた





遊びに来てくださって、ありがとうございました
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする