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夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「たわけ島異変」ー6ー

2009-09-30 17:21:29 | 自作の小説

辰彦を助けた海底人達の不思議な暮らし

海底人達は瀬戸内海に幾つかある島から 彼らの国 海底へ出入りしていた

知らずに入れば迷子になりそうな洞窟にある穴の一つが海底の地下トンネルに繋がっていた

蟻の巣穴にも似てややこしいが 迷わないようにあちこちに面白い看板や案内板が掲げてある

海底人は皆親切だった

外の人間との会話に飢えており 辰彦の話を聞いては喜んでいた

海底いいとこ 一度はおいでよ 酒はうまいしねーちゃんはきれいだ♪(「帰ってきた酔っ払い」より替え歌)

なのに怒れば鬼より怖い桃子さんが恋しくなってしまった

どつかれてもいい
殴られても踏まれても蹴飛ばされても突き倒されてもいい

そう思い詰めたのだから 辰彦はマゾの気が多少あるのかもしれない

彼の前には激しい嵐が待ち構えていた・・・

半日島を案内した麟子と真は馬車を返しにカメラ屋に戻ってくる

とカメラ屋の娘で小学六年の高倉ひずるが待っていた

封筒を持っている

「ひーちゃん? どうしたの 恐い顔して」ひずるの身長に合わせ真は膝を曲げる

「駄目よ マコお兄ちゃん 利用されちゃ 人の良いのもほどほどにしなきゃ
はい御者してくれたバイト代」

日本人形のように眉の上で切り揃えられた前髪
ポニーテールを三つ編みにしている

年齢にしては背が高い方だろうか

透き通るような白目とくっきりした黒目で 大きな瞳が凛々しく美しい

卵形の輪郭のすっきりした美しさ

成長した姿が楽しみな少女だった

「でもね 馬車代を半額にしてもらったんだし」
と真の方が ひずるの迫力にたじたじだ

「全く・・・」
真の手に封筒を押し付けひずるは腕を組む

「いい 半額にしたのは麟子お姉さんと連れのお客さんが美人だから 馬車の良い宣伝になるとお父さんは思ったの
マコお兄ちゃん 誰にでも使われちゃ駄目よ
うちのお父さんは今日の事で 当てにしちゃうわよ
いざとなればマコお兄ちゃんが御者引き受けてくれるって

コンビニや食堂の手伝いでただでさえ自分の時間が無いじゃない」

ひずるはよく見ているのだった

「判った 有難う
じゃ今度 神戸まで一緒に遊びに行こう」

「本当?!」
ぱっとひずるが笑顔になる

「うん 行きたい場所決めておいで
軍資金貯めておくから」

「有難う 楽しみにしてる
あ 麟子お姉さんの所も寄させて貰っていいですか」

「勿論 来てくれるのを楽しみに待ってるわ」

ペこりと頭を下げて「有難うございます」
湖美子の方を向いて 「島を楽しんで下さいね」微笑みかけてから一礼し 馬車をひいて去って行く

ラ・ライバルと固まる湖美子

「いい子ねぇ ひずるちゃんは
さてとこれからどうしよ」

「僕はおばあちゃんが気になるから店に戻るよ」

「ああ さっきお父さんが生きて戻って倒れたって言ったっけ
大丈夫?
お母さんは激しいから 竜巻かハリケーン」

店の方を額に手を翳して見た真は「建物は壊れてないみたい」と答える

怖ず怖ずと湖美子は姉弟の後ろからついて行く

店に入りカウンターの中にちょこんと座ってるイネばーさんに真は尋ねる
「二人は?」

「山へ行かせた
家の中で暴れられちゃかなわんがや」

「お父さん 今度は命無いかも」
呟いてから麟子はにっこり
「まぁ自業自得よね
惚れた女に命奪(と)られるなら男として本望ってもんよ」
と恐ろしい事を平然と言った

「たわけ焼き焼いちゃろう」
イネばーさんは店の奥の調理場に引っ込む

麟子も真も自慢の孫で その二人を産んだ働き者の嫁の桃子も今や自分の娘のように可愛い

辰彦が 戻って来ず 死んだよ 駄目だよ
そう知らされた時
「あの人は死んじゃいません
ただ迷子になっているだけです」
毅然と桃子はそう言った

たわけ焼きに入れるタコやイカを刻んでいると 真が「なんか手伝おうか」と入ってくる

「皿出して」

「婆ちゃんのたわけ焼き美味いから 楽しみだな」

海老・イカ・タコ・すじ肉・天かす・青のり・胡麻・竹輪・もやしなどの具にすりおろしたジャガ芋入れたタネ(生地)で焼く
山のように炒めた鰹節のっけて醤油かソースをかけて食べるのだ
冷めても美味しいけど焼きだちは絶品

大体直径18センチくらいにイネばーさんは器用に焼き上げる

味付けも全て長年の勘だ

真似をして桃子や麟子も焼いてみるが イネばーさんの味は出せない

孫達は島を出て行くかもしれないが イネばーさんは ご先祖様の墓を守ってずっと島にいるのだ

「これこれ この味よぉ
おばあちゃんの作るたわけ焼き大好き」 食べながら麟子が歓声を上げる

湖美子も頷いた「とっても美味しいです」

「でしょ でしょ おばあちゃんはたわけ島の財産なんだから」

店の窓際に置いてあるテーブルで向かい合わせに麟子と湖美子は座って食べている

真はレジ横のカウンターに皿を置くと「おばあちゃん 一緒に食べよ」
小皿にイネばーさんが食べやすいように取り分ける

その様子を見ながら湖美子は 何て優しい人だろうと真への想いを募らせるのだった

自分との年の差は考えていない

そこへ島の若者達が駆け込んできた

「山が揺れとるです」

「あ 麟子さんだ」
「大変なんす」

「それ多分 うちのお袋がさ 運動してるんだと思う
そのうちおさまるから」

「へ?!」と顔見合わす三人へ

「気になさらないで
家庭の事情なの」と微笑む麟子

麟子ファンの三人は どうして店に来たか忘れた

食べ終わった真は 「暫く店番してるから 休んでおいでよ おばあちゃん」

(「たわけ島異変」-5-は↓にあります 読んでいただければ嬉しいです)

http://blog.goo.ne.jp/yumemi1958/d/20090928


天気予報が当たり雨です

2009-09-30 08:20:52 | 子供のこと身辺雑記

天気予報が当たり雨です
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天気予報が当たり雨です
天気予報が当たり雨です
夜から降り続いております

もやし入り餃子スープ

昨夜 朝のお弁当おかずにしようと圧力鍋使用で作っておいた煮物
朝 温め直すだけなので楽です

お弁当には別容器でキウイフルーツ

夜おかずは有り合わせ野菜などで八宝菜もどきを作ろうかと思案中です