魔女として母を火刑にされたユダヤ人のハンナは父と英国へ逃れてきたが 将来を予見する力を権力をふるう公爵の息子ロバート・ダドリーに知られ 彼の為の仕事に就く
それは宮廷で道化として最初は病気のエドワード王に 次にはメアリー・チューダーに仕えその動向を探るというものだった
ハンナの婚約者ダニエル・カーペンターはその身を案じるが
ロバート・ダドリーに憧れる彼女には通じない
メアリーを廃そうとするダドリー父子が捕らえられてもハンナのロバートへの想いは消えずー
しかしメアリー女王にも敬慕の情抱くハンナは その命により今度はエリザベス・チューダーの事をスパイする為 その傍へいくこととなった
そうしてエリザベスの人柄にも魅せられたハンナは彼女を救いたいと思うようになる
イングランドの民から反対と反乱を受けながら メアリー女王はスペインのハンサムな年下の王子と結婚
子供を身篭る
メアリーはヘンリー8世とスペインのキャサリンとの間にできた王女
エリザベスはヘンリー8世とアン・ブーリンとの間にできた王女
それでもメアリーは幼い頃 世話をしたエリザベスを愛しくは思っていたのだが
エリザベスは母アンがメアリーとその母にした仕打ちを知っており 自分もいつかは殺されるのだと思い込み 異母姉メアリーの死を願っていた
メアリーは愛する夫の子を身篭ったと思い込むも出産はできず
若い夫の心は魅力的な異母妹エリザベスへ動いていく
メアリーの母キャサリンは エリザベスの母アン・ブーリンに奪われ淋しい死を迎えた
自分もそうなるのかとメアリーは苦悩する
イングランド女王メアリー1世はブラッディメアリーとも呼ばれる
ハンナは行き過ぎた宗教弾圧から異端者として逮捕されるも旧知の人物の機転で救われる
やっと身に迫る危険と恐ろしいさに気付いたハンナはイングランドを離れ 婚約者と父の住むカレーに行き結婚をすることを決意する
だがユダヤ教とユダヤ民族としての暮らしを一軒の家の中で強要するダニエルの母と好奇心旺盛なダニエルの妹達との暮らしは甘いものではなかった
夫との夜の生活まで薄い壁隔てただけで監視を受けているようだ
孫を待つダニエルの母親は ハンナとの結婚の前に ダニエルには交際した女があり間に男の子もいるのだから 今だに身篭らないのはハンナの体がおかしいか 何かふしだらなことをしているだろうと責めた
ダニエルの愛と誠実さを信じていたハンナは打ちのめされ イングランドへ帰りたいと思い詰め ダニエルに別居を切り出す
ハンナの気持ちを認めながらもダニエルは彼女を思い切れない
遠くから見守る
やがてメアリー女王が夫に唆されフランスと戦争に入った為 カレーの住人は フランス兵に蹂躙される
ハンナは死にかけたダニエルの愛人からダニエルの子供を託され フランス軍と戦う為にカレーに来ていたロバート・ダドリーの船でイングランドへ戻る
暫くロバートの妻エイミーのもとに身を寄せるが彼女は異様に嫉妬深く心を病んでいた
今やエリザベスの寵愛を受けているロバートの命でメアリー女王に会いに行ったハンナは彼女が何の希望もなく死にかけていることを知る
ロバートはハンナにダニエルがフランス軍の人質として生きていることを知らせてきた
メアリー女王はハンナにフランスが請求してきた身代金を支払うことを約束する
ハンナが最初にエリザベスを見た時 養母の夫と性的に戯れ まだ少女だったのに誘惑していた
それから異母姉の夫にしてスペイン国王
ロバート・ダドリー
エリザベスが相手にするのは いつも人の夫なのだった
奪うことに愉しみを見出だすのか
遂に孤独のうちにメアリー女王は逝去し
断頭台の露と消えたアン・ブーリンの娘エリザベス女王1世の時代がやって来る
ハンナはダニエルと再会し互いの誤解を解き 家族として暮らしていくことを選択した
物語の語り手ハンナは著者が創作した人物
エリザベスを著者の前作でのその母アン・ブーリンを彷彿とさせる個性の女性として描いてあります
真実はともかく これは小説ですから
前作「ブーリン家の姉妹」の感想↓です 読んで頂けると嬉しいです
http://blog.goo.ne.jp/yumemi1958/d/20080928
小説を翻訳した加藤洋子さんが あとがきで参考にしたと触れた本にも興味をそそられます