ゆきさんのブログ

元お祭りオヤジの周辺・・・

検証 福島民友新聞 日曜コラム (11月8日掲載)

2009年11月10日 14時11分00秒 | 祭人
((((二本松提灯祭り掲示板に書いたものをこちらにも記載します。)))

タイトル「時代に見合った伝統模索」 二本松支社長 安田 茂 

<約360年の伝統を誇る二本松のちょうちん祭りが”時代の流れ”から見直しを迫られて
<いる。

本当に見直しが迫られているのか?
そして、記者の言う「時代の流れ」とは何のことを言っているのだろうか?

<小学校も休日になるなど二本松市民にとって祭りは「特別な日」だったが、近年は
<深夜の太鼓台運行は「青少年の深夜外出を制限する県条例違反」に当たり、「祭りばやし
<がうるさくて眠れない」「振る舞い酒に酔っての太鼓台運行は危険では」などの苦情、意
<見が相次いでいるという。
年に一度、待ちに待った提灯祭りは、二本松市民にとって、確かに「特別な日」である。
ところで、太鼓台に乗っている子供(小若)や、太鼓台の綱に付いている子供たちは深夜
外出に当たるのだろうか。
「祭り囃子がうるさい」と言う人も確かに居るかも知れない。しかし、例えば、ブラジルの
リオのカーニバルのように、旧七町の子供たちはお囃子を胎内から聴いており、教えなくと
もリズムを刻むことができる、と筆者は思っている。囃子がうるさいかどうかは、個人の
感じ方の相違であろう。
かつて、筆者は郷土学習の講師として中学校で授業に参加したおり、第一中学校の校長より
「太鼓台のある学校とそうでない学校では、非行が少ないのが事実」と伝えられた。
若連や町内会により、日常(祭り当日ばかりではない)から、日本の少ない縦社会の規律で
青少年をすばらしい監督をしている結果であると認識している。

飲酒はどうだろうか。
酒に飲まれて、前後不覚になることは祭りだけではない。
酒に飲まれて「背中に背負った町内の大紋」に恥じない祭礼をしているかどうかは、これ
また個人の問題だと考える。会長や幹部になって、ベロベロで役職を全うできないのは
その人の人生の中で、そういうスタイルを甘んじているということに過ぎない。
酒を飲んでも見事にその年の祭礼を執行した歴代の先輩達は多いはずだ。

<一方、祭りを本来の姿で継承しようとする動きも本格化。戦後
<途絶えた「呼び起こし」の儀式を今秋、七町内の若連が再興した。
<「神霊は夜に降りてくる」とされ、ちょうちん祭りは本来、暁祭りだった。1,961
<(昭和36)年に夜祭りに変更され、現在の形になった。
この記述の一番の問題は、このあたりにあるのではないだろうか。
「呼び起こし」が時代に見合った、伝統文化なのだろうか。
青少年の非行と呼び起こしを一つの文章で伝えようとしていることに無理がある。
この二つには全く関係がない。
片や360年の伝統を語りつつ、囃子がうるさい、などと同じ枠の中で語っていることに
少々、二本松提灯祭りについての知識の浅さを露呈しているではないか。

そもそも、呼び起こしの復活は、古い形を残そうと始まったことと考える。
確かに、福島県民俗文化財の審議委員である懸田先生の指導によりスタートした、二本松
提灯祭りの文化財指定を目標としたプログラムである。
だいぶ昔、懸田先生より伺ったことに「二本松提灯祭りは何度か指定の動きがあったが、
文化財として指定するにあたり『特筆すべきところがない』のです」と。
周知のように、二本松提灯松の祭礼囃子は県の重要無形民俗文化財であるが、祭りそのも
のは二本松市の文化財の指定にもなっていないのが事実だ。

< 各町若連は祭典委員会や町内会と連携して、祭りばやしを夏から小中学生に指導。10
<月4日から6日までの祭りでは、道路使用許可に沿って太鼓台を運行している。今年は道
<路使用許可時間をオーバーする町内があり、苦情の原因にもなった。また、初日の人出が
<10万人に上り、駐車違反が相次ぐなど、今月6日の反省会で警察はハード、ソフト両面
<の改善を求めた。
道路使用許可をもらって祭礼は執行されている。
道路上で問題があれば取締りを受けるのは、たとえ伝統文化の提灯祭りでも同じである。
道路を使用している以上、交通法規を遵守しないとならない。
太鼓台も軽車両にあたる。大幅に執行時間が遅れれば、仕事とはいえ警備を担当してくれ
ている警察官の方たちに迷惑がかかることになる。
このあたりをしっかり押さえて行かないと「とんでもないこと」が起きる可能性がある。
許可を与える権限があちら様にはあるのだから。けが人を出したりしたら、祭礼そのもの
が実施できなくなる。取締りを受けるようなバカな二本松人ではないと思うが、事実、道
路工事の関係で曳き回しコースが何年も変更させられたり、大切な宮詰めができなかった
年があったことを忘れてはならない。

昭和50年代には、二本松提灯祭りは銀座祭りに招待されて出かけた。その時、築地警察
署からは「飲酒運転不可」「消火器設置」令が出されたことを覚えている。
まさか、二本松提灯祭りに飲酒禁止や消火器常備など、無粋な状態を考えたくもない(笑)

祭り囃子の指導は通年で行われている。夏だけのことではない。
お囃子の伝承は、ある意味で復活した呼び起こしよりも重要かも知れない。
どこで何を演奏するか、どんな掛け声か、大事なことなのだ。
例えば、亀谷坂で豊囃子を静かに演奏しているのに、ワッショイだの、○○一番!など
嬌声はないだろう。秋を彩るのは提灯の明かりばかりではない、情緒ある囃子がいいのだ。

< 時代の世情に呼応しながら続く祭りを、無形民俗文化財としてとらえようと昨年、二本
<松神社例大祭提灯祭保存会が発足した。祭り開幕を告げる「呼び起こし」が今年の祭りで
<再興され、計画通りに進められた。7日に保存会がビデオで検証したが、評価する一方、
<細部の改善点が多数指摘された。たすき、鉢巻きの徹底も架台に挙がるなど、伝統追及は
<熱を帯びる。時代に見合った伝統の模索はしばらく続きそうだ。
文章の最後も非常にまずい。
衣装のこと、などを引き合いにだして「世情に呼応した続く祭り」について記者さんは語り
たかったのだろうが、無理があるだろう。
人出の多さによる駐車違反や交通規制は行政の仕事である。若連や祭典事務の仕事ではない。

マスコミで語られることには注意が必要だ。
新聞に書かれていることを正しいことと受け止める人は多い。
この度の文章は間違いではないが、ややもすると「祭りを危うくする」ことになりかね
ないからだ。治安を司る警察や行政は、先の神戸花火大会の死傷事故から監督を厳しく
するようになっている。
いい加減に考えていると、二本松市民が心から愛して止まない「二本松提灯祭り」の
開催さえ横槍が入る可能性があるのだ。少なくとも、警備でお世話になっているという
意識を持ちつつ行くことが最低必要条件だろう。
さらに、駐車場やトイレが少なくて観光客に迷惑がかかるような祭りは最低だ。
またやって来たい、もう一度若連が「命がけでやっている」この感動の祭りを多くの人
に見に来てもらいたい。そして、後世にきっちり伝えて行きたい。

戦地にあっても、生きて祭りに戻りたい!そう思って難関を生き延びた人達。
戦争で疲弊し萎えた人心をゆさぶり、復興の原動力になったこの祭り。
簡単に無くなりはしない。

しかし、針の穴からダムも崩れるという。
日本一の祭りを目指して盛り立てて行こうじゃないですか、皆さん!


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