「SAYONARA JUPITER」「
さよならジュピター」
*海外版で見た。DVDを安く買えたのはいいが、日本語と英語の掛け合い部分では、英語を自力で聞き取らなければいけなかったのが、誤算だった。*
*三浦友和の提案で、コンパクトな自動翻訳機があるという設定なのだ。演技うまくないんだから、英語の方がよかったかも?*
特撮は、当時かなり話題になったが、専用のモーション・コントロールカメラの代わりに、国産のロボット・アームを流用して頑張って、それなりに見えるのである。
しかし、どうにもドラマが弱いんだな。
木星軌道衛星ミネルヴァはJS(木星太陽化)計画の要。その計画主任本田英二(三浦友和)と、反JS計画を掲げるジュピター教団のテロリストであるマリア(ディアンヌ・ダンジェリー)がもと恋人であるというドラマが縦糸なので、どうにも筋立てに力強さがないのだ。
回帰数が激減した彗星の秘密を探るため、その巣を目指した井上博士(平田昭彦)と、本田の友人のホジャ・キン。彼らの死が太陽系に急激に迫るブラックホールの存在を教える。その対策に、本田自らがJS計画の改変により木星を爆弾化して、ブラックホールのコースを逸らせることにする。
ジュピター教団の教祖(リーダー)はピーターというシンガー・ソングラーター。かなり怪しげな人物だが、自然と共に生き、自然な死を受け入れようという思想の人物。
彼らの住むビーチを本田が訪れたとき、湾内に極めて危険な人喰い鮫が侵入、子どもの危機を身を挺してジュピターという海豚(イルカ)が救う。ジュピターの死を悼み、ピーターが歌うのが(杉田次郎の歌う)「さよならジュピター」。
*本田の「楽園の外には思いもよらぬ危険がある」みたいな発言も、いかにも「楽園=太陽系」に迫る「危険=ブラックホール」をそのままなぞっていて酷く臭い!*
危険な人喰い鮫と人間を身を挺して守るイルカによって示されるわかりやすい寓意を認めないピーターの側近アニタ(小野みゆき)。マリアを伴ってミネルバにテロを仕掛ける。
結局爆弾化を期して核反応を促進された木星と、そのコントロールを司るミネルバには瀕死の本田とマリアのみが残されるという最後。
木星消滅の影響で軌道の安定を欠いた小惑星に、本田とマリアの墓碑が据えられる……。
まずいまずい、と思いつつも、見ている間はそれなりに楽しんでしまった。ストーリーさえ、あまり重視せずに見ていれば、特撮はそれなりに気分がいい。そういう見方ならば、まだまだ大丈夫な作品だと思う
*ユーミンの「Voyager~日付のない墓標」はいい曲だな。*
*紹介を端折ってしまったのは火星極冠を解かした後から出てくるナスカ絵と、木星の巨大古代宇宙船ジュピター・ゴーストの件。やっぱりストーリーからも浮きすぎ*
*日本語と英語の掛け合いといえば、後に「ガンヘッド」でも採用されていたな。*
*前後の時期にディズニーの「ブラックホール」や、木星が太陽化する「2010年」があるのも因縁だろうか?*