ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

魍魎の匣の中の失楽園

2008-10-01 | 映画
魍魎の匣
DVDでやっと見ました。

原田眞人監督作品。
原田眞人といえば、「ガンヘッド GUNHED」くらいしか思い浮かばなかったが、「狗神 INUGAMI」と「伝染歌」も見ていました。そういえば本作は「伝染歌」のノリにも通じるところがありました。

京極堂シリーズとしては、前作「姑獲鳥の夏」が実相寺昭雄監督作品であり、いかにも実相寺らしい演出と、「名場面」で構成される、原作を読んでいる人間でないと筋がはっきりとはわからない、いわば動く挿絵映画であったのに対し、本作は時系列や人間関係の出し入れを大胆に前後させることで、原作のエッセンスを生かしつつ、これはこれで内容のわかる映画にしてのけた点は評価に値すると思います。

登場人物が軽くなりすぎたきらいはありますが、いわば演出上のアクセントであって作品を見せる力になってもいます。

京極堂の「禹歩」のシーン、フラメンコに至るまで冗談でなくぞくっといたしました。
フラメンコ→死の舞踏(ダンス・マーカブル)→赤い靴と勝手にイメージを広げれば、死ぬまで踊るのを避けるため=つまり生き延びるために足首を切断した(アンデルセン童話の)話と、「匣」の正体は通じているじゃありませんか!

後半の箱館内部のシーンも、「カリオストロの城」とか思い出して、ちょっと冒険映画っぽくて、わくわくしました。

最後に千鶴子夫人と雪絵夫人の会話で幕引きですが、さり気なく鎌倉という、原作では次の作品になる「狂骨の夢」の舞台・逗子にも程近い地名を出してどきっとさせるあたりもよいなぁと思いました。

*写真は後日アップいたします。