由紀夫くんを抱く。

由紀夫くんも10歳。

由紀夫くんが死んだら、悲しい。
その悲しみに堪えるために、毎日何度も由紀夫くんの死を想像している。

朝起きたら、由紀夫くんが硬く冷たくなっている、という想像……

あんまり想像し過ぎて、まるで経験したかのように細部が蘇るから、毎朝目を覚ますのが怖いくらい……

由紀夫くん、死ぬな……

トラを抱く。

トラは10歳。
わたしは47歳。

お互い歳をとったね。

不意討ちみたいに、ぼうっとする。

ぼうっとすることなら、誰にでもあるでしょう。
食パンを焦がすことなら、誰にでもあるでしょう。

でも、違うんです。
トースターの前に立って、食パンの焼ける様子をじっと見ていて、焦がしてしまうんですよ。

う～ん……

見ているのに、見えていない……

なんか脳に疾患があるんじゃなかろうか……

最近、こういうことが多いんですよ。

なんだか、とっても、ふしぎ……

息子がよちよち歩きの頃は、だっこして横須賀線や江ノ電の運転席を見せてやってたんですよ。
小学生のときは、『鉄道ジャーナル』や『レイルマガジン』を購読していました。
鉄道イベントや、廃線跡に連れて行ってやったのも、その頃ですね。
寝台車に乗って旅したりね……

10年が経って、電車への興味はだいぶ薄れたようですが……
今でも、電車に乗ると必ず座席には座らず、運転席の後ろに立ちます。

でも、息子の後ろ姿が大きいんですよね。
身長183cm……
もう、すっかり大人です。
なにもかも、昨日のことのようなのに……
不思議……

(今日は、飯坂電車=いい電に乗りました。飯坂温泉で下車。珍念さんと合流し、「照井」で餃子とラーメンを食べ、公衆浴場「波来湯」に入って、南相馬に帰りました)