今朝みた夢。
どこかの温泉旅館に缶詰になっている。
今日、チェックアウトだというのに、資料の本はまだ段ボールに詰め終わっていないし、
なんと、大きな植木鉢(まだ花がついていない牡丹)が5つもある。
これ、どうやって、家に持ち帰るんだ?とわたしは荷物を前にして呆然と立ち尽くす。
「すみません、チェックアウトの時間が過ぎているんで、そろそろお掃除に入りたいんですけど……」
と、廊下で掃除機をかけているおばさんがドアから顔を覗かせる。
「すみません、出ます……荷物が……これ、ひとりじゃ持ち切れなくて……もうすぐ迎えの車が来るはずなんで、もうちょっと待ってください」
と言ったそばから、迎えの車なんて来るわけないじゃん、とわたしは思う。
そうだ、隣の部屋に泊まった男性二人組が宿の前に車を停めていた……
わたしは、フロント前の長椅子に座って、会計が済むのを待っている男性に、
「すみません、最寄り駅まででいいので、わたしと荷物を乗せて行ってくれませんか?」
と、頼んでみる。駅前ターミナルまで連れて行ってもらい、段ボールと植木鉢をひとつひとつホームに運び、横須賀線にひとつひとつ運び入れるのは大変だろうけれど――。
「お願いします!」わたしはもう一度頭を下げる。
男性は怪訝そうな顔で、フロントで支払いをしているもう一人の男性に視線を送る。
いい、とも、駄目、とも、言わない。
「部屋から荷物を持ってくるから、ちょっと待っててください!」
わたしは、浴衣の裾をはためかせて、スリッパで廊下を走る。
部屋は、散らかっている――、パッキングに30分はかかる――。
隣の喫茶店で待っていてもらおう、と再びフロントに走ると、もう二人の男性は車を出してしまったあとだった――。
わたしは部屋に戻る。
掃除係のおばさん二人がドアの前で待機していた。
「わたしたちは従業員ではなく、パートなんです。10時から12時の間に掃除を済ませなければならないんで、こんなダラダラされちゃあ困るんですよ!」
と尖った声で叱られる。
わたしは、慌てる。
こ うなったら、もう鎌倉の自宅にいる村上くんに電話をして、ここに来てもらって、いっしょに荷造りをして運び出すしかないか、でも電車賃がないかもしれない、 とにかく来れるかどう訊いてみよう、と携帯電話で番号を押してみるが、電話料金を払っていないのか、コール音も通話中の音も聞こえない――。
はたと、わたしは気づく。
これは、夢だ、と。
この八方塞がりの状況から逃れるためには目覚めるしかない、と。
わたしは掃除係のおばさんたちに、「すみません、ちょっと、ドアしめます」と言って、強引にドアを閉めて鍵をかけ、部屋の真ん中に敷いてある布団に横になり、
いったん目をつむってから、目覚める努力をする。
そして目覚めて、自分の部屋だということを確認して、ほっとしたという夢でした。
あぁ、疲れた……