映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

コソボ紛争「ノーマンズ・ランド」

2011-05-11 18:25:36 | 舞台は東欧・北欧
およそ日本人で、バルカン半島の民族紛争について、正確・まともな意見を言える人は少ないだろう。とにかく古くからの民族覇権争い、カソリック・ギリシャ・イスラム入り乱れての宗教紛争、異民族支配、共産主義支配・・・・・世界をややこしくする総てがある。


世界の映画関係者が絶賛したこの映画、我々は「とにかくよくできている、各種映画賞を総なめしたのもうなずける」というほか、下手なことは言えないし、言っても虚しい。

但し一言だけ。
映画の中にも出てくる「大セルビア主義」だが、セルビア人が自身をこの地バルカンの最有力民族だというふうに考えるのは以下の歴史による。

①セルビアは11世紀後半に王国を形成し、12世紀には「ステファン・ネマーニャ」なる英雄 が出て、ビザンツ王国からの独立を果たした。

②14世紀「ステファン・ドゥシャン」の時代には、セルビア教会が総主教座に昇格し、
 領土的にもバルカン半島南部を平定し「セルビア人・ギリシャ人の皇帝」を称した。

③その後、王国は振るわず分裂、やがてオスマントルコの支配に服するが、
 その過程で、一時オスマン帝国に勝ったことがある(1389年コソボの戦い)。


 彼らは結局はオスマントルコに屈服するのに、この一時勝利を宣伝し自らを奮い立    たせる。コソボという地名が独特の響きを持つのだろう。

 そこに、その後の事情がいろいろあったとはいえ(ハプスブルグ時代の民族移住策、ユー ゴスラビア時代のチトーの政策など)、アルバニア人が大きな顔をして住んでいるのが気 に入らなかったのだろう。

1 コメント

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Unknown (やっくん)
2011-05-16 18:14:02
初めまして!
サラエボ紛争を題材とした映画は、この作品がはじめてでしたが、やりきれない結末でしたね…
アカデミー外国語映画賞受賞作品だけあって、見ごたえのある作品でした。
TBしていきますね。
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