プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

「水俣条約」の実効性と水銀汚染

2013-10-29 10:55:27 | 日記
 水銀の鉱山開発を禁じ、輸出入や工業利用、排出などを包括的に規制する「水銀に関する水俣条約」が採択され、91カ国とEUが署名をしました。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)日本史不の提案で「水俣」の名が使われ、条約全文には「水俣の教訓」を生かすことも盛り込まれました。只、教訓とは、ある事件や事故が終結し、解決した後に、その被害を二度と繰り返さない為のものですが、「胎児性水俣病」など、その痛みは癒えずに未だに続いているのが現状です。

 こうした状況で、安倍首相が、「水銀による被害と、その克服を経た我々」と発言したことに、違和感を感じた方は多かったと思います。それどころか、被害が分かっても尚、排水規制を怠った国、また被害の実態調査すら一度も行なわなかった国が、克服という言葉を使うことには納得できません。「水俣病被害者互助会」の佐藤会長は、「今も被害者が補償を求め裁判が続き、患者認定を求める人も何百人もいる。問題が続いているのに『克服』とは言えない」と述べられています。

 熊本大学の富樫教授は、「水俣の教訓は予防原則の重要性」、「被害が出てから・・・対策を講じても手遅れ。如何に事前に食い止めるか」だと指摘されています。ただ、この「水俣条約」に実効性があるのか、(予防どころか)水銀の利用と排出を本当に止めることができるのか、その影響が懸念されているのです。例えば、大気中に(2010年)全世界で排出された水銀は1960トン、その25%(約500トン)が石炭などの化石燃料の燃焼だそうです。(ちなみに、最大排出源は金の小規模採掘で、全体の37%です)

 (日本もこれまで膨大な量の石炭を燃やしてきましたが)現在は、中国が世界の水銀排出の3分の1を占め、その影響(水銀)は既に(富士山頂、乗鞍岳、屋久島など)日本に達していることが(滋賀県立大の永淵教授らによって)確認されています。勿論、中国をはじめとする国々が、石炭利用を止めることはないでしょうから、今後もその影響が非常に危惧されているのです。2006年に(米国で)開かれた水銀国際会議では、大気中の水銀が「雨と共に湖や海に落ちると、微生物の働きで猛毒のメチル水銀に変わる。プランクトンから小魚、大型魚と食物連鎖を介して濃縮・蓄積され、妊婦や胎児に健康被害が及ぶ恐れがある」と警告されています。

 しかし、その後に環境省が設置したモニタリングポイントは沖縄の(本島最北端の)辺戸岬1ヶ所だけ、やっと来年度はもう1ヶ所増やすとのことで、全国規模での(大気だけでなく、河川や海の)モニタリングが必要だと思います。中国からのPM2.5の汚染とその飛来もしばしば報道されますが、水銀による汚染、そしてその影響(被害)は今後ますます深刻になっていくのではないかと思われます。また、日本自体がこれまで、大量の水銀を消費し、水銀汚染されているのも知られています。(私が関わった)今治市桜井の処分場直下の海では、環境基準の5,400倍の水銀が検出されています。(残念がら)今も垂れ流され続けています。日本全国の何百という最終処分場が、こうした状態であると「ゴミ弁連」会長の梶山先生は警告されています。「水俣」は「克服」どころか、依然として懸念される状況にある、ということだと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年10月29日)

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