プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

止まった原発は巨額な「不良債権」

2012-04-29 11:26:42 | 日記
 NHKの「日曜討論」を観ました。(以下、要約しながらご紹介します)原発は「不良債権」であるというのは、慶応大学の金子教授の言説です。同教授によれば、止めているだけで原発は維持費が(全国で思います)1兆2~3千億掛かるそうです。現在(泊原発の1基を除く)全国の原発は、外部から電気を送り込んで、炉内や燃料プールの冷却を行い、その他の装置を動かしています。多くの職員が運転時同様働いて、管理をしているわけです。動かさなければ、莫大な費用を食い続ける、巨額な「不良債権」となっているのです。

 電力需給や電気料金値上げ問題は、実はこの「不良債権」問題の表層にある、実は小さな問題です。関電は、その老朽化した原発に依存している体質で、高コスト構造、原発を止めたらお金がないというのが同教授の指摘です。つまり、その不良債権がダントツで多く、老朽化した原発を動かさないと赤字がどんどん膨らむ構造なのです。電力が足りても、値上げする必要がなくても、原発を動かしたい理由がここにあるわけです。

 この「不良債権」を、悪いものから損切りしていって、(事故を受け、危険な原発を動かすべきではないけれど)残った原発は(仕方なく)動かす、というのが同教授の主張ですが、私はそうした点を勘案しても、やはり原発を再稼働することは(私には何の力も権限もありませんが)容認できません。

 政府は、電力会社の燃料費を、23年度で2.4兆円、24年度で3.1兆円と見込んでいるようですが、(飯田さんが言われるように)電力会社は「高値で買っている」のです。スポットで購入しているわけですから、高いのは当然です。しかし、事故直後の混乱期なら兎も角、最早1年以上過ぎ、原発が停止していく状況の中、電力会社は長期的な手当てに積極的な対応を(意図的に)してきませんでした。推進側のパネラーの方が、(正確に聞き取れなかったのですが)米国では天然ガス100万BTSで2ドル、日本では(確か)8ドルと言っていました。原発を再稼働したいが為に、安い天然ガスを買う努力を怠っているのです。

 そのような中で、電気料金を値上げするなんてとんでもありません。その不良債権は、まずこれまで市場独占、総括原価方式で溜め込んできた内部留保を吐き出し、厳しいリストラを行なってから、初めて考えるべきことです。中小企業や生活の苦しい家庭に深刻な影響が出るというのなら、値上げではなく、必要最小限な分だけ、「不良債権処理」が終わるまでの間だけ、(中小企業が倒産しては困りますから、仕方がありません)政府が(飯田さんではありませんが)補填をすれば良いのです。

 電力会社は「節電」を強調しますが、(某友人Oさんも言われていましたが)節電により電力消費が減って、実は売り上げが減っているのです。確かに、電力は実際に足りているのに(再稼働の為に)節電を強いられた企業は昨夏非常に苦労されましたが、(無駄な蛍光灯を消したり、エアコンの設定温度を低くしたりして)無理のない節電を行い、コストカットができた企業も多かったそうです。どんどん節電して、消費が減ると、この不良債権はさらに膨らむ構造です。危険だけでなく、税金を無尽蔵に吸い上げる「体質」(システム)が、原発にはあるのです。

 この「不良債権」、戦後日本が、官民挙げて、国を挙げて突き進んできた結果生じたものです。どんなにコストが掛かっても、税金を入れていくしか仕方がありません。少なくとも、現在原子炉に制御棒が挿入されている状態を維持する為にも、電力会社の嘘を白日の元に晒した上で、血税突込み、原発を止めておかなければならないのです。そのコストが、どれほど国民の懐を直撃してもです。この原発の危険性とその被害とは、比べようがありませんから・・・

P.S. 昨日の、「フクシマの子供を守り原発を止める仏教者の会」の座り込みは、約25名ほどの参加を得て行ないました。通り過ぎる市民の方々も、多くの方が興味・関心を抱かれているように感じるのですが、形にするのは難しいのでしょう。また、そうした多くの市民の思いが、政治に反映されればと願うのですが、政府の「思い」は全く逆の所にあるようです。やはり、どんなに危険でも、この「不良債権」を顕在化させない為に、原発を動かし続けたい、それが本音のところのようです・・・

P.S.2 橋下さんは、再稼働しないなら「増税」するとの脅しを掛けてきましたが、余りにも振り上げた手を下ろすのが早過ぎる、いえ、関電に対して(ポーズとして)振り上げたその手を、(180度)振り返って市民、府民に向けるあたり、さすが「脅し」のスペシャリストたる所以です・・・(参りました)

P.S.3 一方、愛媛の中村知事、「白紙、白紙」、「国が国が」と国に安全の判断を丸投げし、国の方針がでれば「何色にでも染まる」(フレキシブルな)発言に終始していましたが、突然「再稼働について、需給問題とは連動しない。あくまで安全が優先」だと拳を振り上げた「真似」をしましたが、その本気度は覗われません。橋下さん(というより、ブレーンの飯田さんや古賀さん)が提言した、100キロ圏内の自治体との安全協定締結に関しては、「立地地域を重視すべき」だとして、やはり政府が決めた原発稼働に従う姿勢を鮮明にしています。橋下さんは、関電への影響力を持つ為に、戦略的な提言攻勢を仕掛けているのでしょうが、中村さんにそのような戦略眼も度胸もありません。ただおずおずと、兄者の真似をしてみただけ、そんな感じのようです・・・ちなみに、四電の言う今夏の電力不足、自家発電等の買取を行なえば、軽くクリアできるとの記事が、地元紙に書かれていました。中村さんが電力需給の問題ではないと言ったのも、(拳を振り上げたのではなく)足りるのが分かっていたからこその発言だったのかもしれません・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成24年4月29日)