ミュンヘンなんて、どこ吹く風

ミュンヘン工科大留学、ロンドンの設計事務所HCLA勤務を経て
群馬で建築設計に携わりつつ、京都で研究に励む日々の記録

史料をどうみるか

2014-10-28 22:19:49 | 群馬/東京・設計と博論
昼前から大学へ。先日のJIA MAGAZINEの記事をホールデンに送るべく院生室で手紙を書く。昼過ぎから歴史研月例会。都市史の伊藤研留学生の方が、博士論文の構想と途中経過を発表される。去年の1月から3度のゼミ発表を通じて練り上げてきているらしく、レジュメの「これまでの発表機会」と題された項目を見るとテーマが徐々に明確になってきていることがわかる。建築分野では扱われてこなかった史料を都市史的に解釈して利用した研究内容のようで、建築分野にとっては新しい発見であると同時に、その情報の建築史的価値をしっかりと述べることがこれから書き加えるべきこと、のようだ。ひるがえって自分の研究分野である19世紀英国の鉄骨造建築は『Builder』『Engineer』はじめ比較的読みやすい史料が揃っているので、この方の研究のように誰も手を付けていない史料自体を発掘することになるかはわからない。それら技術や構築ど真ん中の史料で基礎体力と視力を身につけた上で、これまで構築的に読まれてこなかった史料を構築的に読み直すことが僕のとるべき道なのかなと思ったりする。月例研終了後、ひきつづき加藤研の定例ゼミ。僕より入学が半期早い博士課程の同僚が、来月末のシンポジウムのテーマ「時間のなかの建築」に関連させつつ、修士論文と博士論文のブリッジのような発表をする。この方の研究はまさに既知の史料を読み解く新しい視点を持つもので、見慣れた図面のこれまで見過ごされてきた構築的な側面に着目して魅力的な謎を提起するものだ。僕と扱う国も時代も違うが、それぞれの出発点から延長線を引いたらどこかに合流点がありそうで僕も興味深く聞き質問できた。終了後、お茶を飲みながら先生や研究室メンバーの留学時代の話をしてクールダウン。夕飯のあとしばらく院生室に残り作業をしてから帰宅。
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