終日現場のプロジェクトの作業。階段のディテールを現場に確認する。ここ何回かの現場インスペクションのことをレポートにまとめる。昼休み、ダニエルと待ち合わせて昼飯。3月のイベントDが14日に確定したので、その準備の打ち合わせ。日本の文化に関する一時間ほどのセミナーで、僕らは建築にフォーカスした回を担当、テーマの設定と講演者の手配をしている。以後、ブログ上ではセミナーDと呼ぶことにする。午後も引き続き現場のプロジェクトの作業を進めるが、ホールデンとビリーから今月末締め切りの別プロジェクトの作業についてもブリーフをされる。夜は堀田くんいつかさんと待ち合わせてアランさんの事務所へ。House Hの計画案について構造的なアドバイスをもらう。堀田くんはHouse Oを総括しつつ、その延長線上で試せることをカランバで探している。僕はそれとは少し違った視点から見つけたことを持ち寄る。次回までに整理し試すべきことがわかったところで終了。パブで夕食をとりながら、近い将来のことなどもいろいろ相談させてもらったり。帰宅後、今朝父から送られてきていたコンペTの資料を読み始める。要項に加えて、現場の写真と父の所感が添えてある。最後に「心を引き締めて頑張ろう」と。まずはスケジュール感を共有しつつ、週末にかけて資料の読み込みと類似事例の分析をしよう。
朝8時に現場へ。内装のインスペクション。そのあと共有部分で作業中のサブコンといくつか打ち合わせ。敷地の周りを歩いて、取り付けられつつある外装をチェックしてから昼過ぎに会社に戻る。午後は現場からの質問に対する回答。デザインチームのメンバーからいくつかのアワードへのエントリーを勧められたので要項を読む。
夜はEnglish National Ballet(ENB)でバレエ『海賊』を観る。たけさんも誘った。まきこさんもいらっしゃっていた。会場には芸術監督のタマラ・ロホの姿も。ロホの芸術監督就任後にロイヤル・バレエから移籍してきたアリーナ・コジョカルが主役を踊る回である。話題に事欠かないENBはロイヤル・バレエのオルタナティブとして存在感を増している。こうして実際僕のような新規客を呼び寄せているのだから戦略は成功だろう。2幕3幕は特にコジョカルの見せ場がたっぷりで楽しめた。
母から連絡があり、3月末のロンドン旅行には父も参加することになったとのこと。素晴らしい。
夜はEnglish National Ballet(ENB)でバレエ『海賊』を観る。たけさんも誘った。まきこさんもいらっしゃっていた。会場には芸術監督のタマラ・ロホの姿も。ロホの芸術監督就任後にロイヤル・バレエから移籍してきたアリーナ・コジョカルが主役を踊る回である。話題に事欠かないENBはロイヤル・バレエのオルタナティブとして存在感を増している。こうして実際僕のような新規客を呼び寄せているのだから戦略は成功だろう。2幕3幕は特にコジョカルの見せ場がたっぷりで楽しめた。
母から連絡があり、3月末のロンドン旅行には父も参加することになったとのこと。素晴らしい。
終日現場のプロジェクトの作業。午前中図面情報の整理をしたあと、昼過ぎから現場で外装のサブコントラクターとのミーティング。そのあと外構のミーティング。夕方まで。会社に戻り同僚とディレクターに報告したあと、要旨をメールと図面にまとめて各位に送信。明日朝の内装インスペクションの時間を確認してから10時前に帰宅。帰国のための荷造りをしようと思うがなかなか進まない。本は全部日本に送るとして、残りはどうしたものか。荷物を最小限にしたあとは、2-3月はしばらくドイツへ行って、そのあとひとりでアイアンブリッジとかイギリス国内の鉄造建造物も見て回ろうと思っているのだけど、3月末に来る奥さんとはギリシャかポルトガルに一緒に行こうかなあと思ったりしている。Skypeで奥さんと話して旅行先のことなどを話したあと、House Hのアイデアをスケッチしつつ就寝。
午前中、現場のプロジェクトの作業。ここ数日のあいだにスケッチで指示をした種々のディテールを図面上に記録して現場に発行。
昼過ぎにトットナムコートロードのThe Building Centreへ。The Building Centreは、1931年に設立された独立のフォーラム。以来、建設された環境(Built Environment)にまつわるすべての職能(建築デザイン/エンジニアリング/コンストラクション)のために情報とインスピレーションの提供を行ってきた。僕が3年来携わってきた木造七階建て集合住宅のプロジェクト(ブログで言う「現場のプロジェクト」)が、建築として世界で初めて木材のサステイナビリティに関する認証を受けることになり、今日はその認証式典がここで行われるのである。ホールで式典のオーガナイザーと待ち合わせて、プレゼンテーション資料のチェック。確認を終えてから近くで昼食をとり、ディレクターの到着を待つ。開場時間の4時になると徐々に招待客が集まり始め、構造エンジニアやCLTサブコンの技術者らプロジェクトの初期に参画したデザインチームの面々と久々の再会。4時半に式典が始まり、僕はCLTサブコンの人たちと並んで席につく。
PEFC(The Programme for the Endorsement of Forest Certification)とは、その木質製品および森林の生産物が、環境的社会的倫理的にサステイナブルなソースから提供されていることを審査する世界最大のNPO/NGO認証機関。本部はスイス。商品のパッケージなどでPEFCのロゴを見覚えのある方もいるかもしれない。我々のプロジェクトがCLT(Cross Laminated Timber 直交集成板)を構造としふんだんに木材を利用していること、外装材を含め建設に使用された木質建材のほぼ100%がPEFCの認証を受けたものであること、(そしておそらく優れたデザインとプログラムを持った注目プロジェクトであること)、にPEFCが着目し、認証制度自体のアピールの意味も込めて、世界で初めて建築プロジェクトそのものにPEFC認証を与えることになった。エレメントをデザインし建材を選定したのは我々建築家であるが、施工業者が現場でしっかりと確認し書類を揃えてくれていたおかげでもある。今日は招待された建築家/エンジニア/メーカー/ディベロッパー/行政からの総勢100人超の聴衆が集まるなか、認証制度関係者、HCLA(僕の上司であるディレクター)、施工業者それぞれの代表からのスピーチにつづいて、認定証の授与式があったのであった。
授与式後のレセプションでは、木質材料を扱うメーカーのひとといろいろ話すことができた。PEFCを筆頭に木質材料のサステイナビリティを認証する制度はいくつかあるが、いずれもその存在が十分に社会に認識されていないこと、メーカーとしてはそれらに積極的に取り組んでいるのだが、部材選定の際にそれがアピールポイントになることが少ないこと、をみな口々に言っていた。木質材料のサステイナビリティはこの木造集合住宅プロジェクトで考慮された多くのことのうちのひとつにしか過ぎないが、総体としての建築を、こうした世界で初めての試みのためのモデルケースとして選んでもらえるのはありがたいことである。
昼過ぎにトットナムコートロードのThe Building Centreへ。The Building Centreは、1931年に設立された独立のフォーラム。以来、建設された環境(Built Environment)にまつわるすべての職能(建築デザイン/エンジニアリング/コンストラクション)のために情報とインスピレーションの提供を行ってきた。僕が3年来携わってきた木造七階建て集合住宅のプロジェクト(ブログで言う「現場のプロジェクト」)が、建築として世界で初めて木材のサステイナビリティに関する認証を受けることになり、今日はその認証式典がここで行われるのである。ホールで式典のオーガナイザーと待ち合わせて、プレゼンテーション資料のチェック。確認を終えてから近くで昼食をとり、ディレクターの到着を待つ。開場時間の4時になると徐々に招待客が集まり始め、構造エンジニアやCLTサブコンの技術者らプロジェクトの初期に参画したデザインチームの面々と久々の再会。4時半に式典が始まり、僕はCLTサブコンの人たちと並んで席につく。
PEFC(The Programme for the Endorsement of Forest Certification)とは、その木質製品および森林の生産物が、環境的社会的倫理的にサステイナブルなソースから提供されていることを審査する世界最大のNPO/NGO認証機関。本部はスイス。商品のパッケージなどでPEFCのロゴを見覚えのある方もいるかもしれない。我々のプロジェクトがCLT(Cross Laminated Timber 直交集成板)を構造としふんだんに木材を利用していること、外装材を含め建設に使用された木質建材のほぼ100%がPEFCの認証を受けたものであること、(そしておそらく優れたデザインとプログラムを持った注目プロジェクトであること)、にPEFCが着目し、認証制度自体のアピールの意味も込めて、世界で初めて建築プロジェクトそのものにPEFC認証を与えることになった。エレメントをデザインし建材を選定したのは我々建築家であるが、施工業者が現場でしっかりと確認し書類を揃えてくれていたおかげでもある。今日は招待された建築家/エンジニア/メーカー/ディベロッパー/行政からの総勢100人超の聴衆が集まるなか、認証制度関係者、HCLA(僕の上司であるディレクター)、施工業者それぞれの代表からのスピーチにつづいて、認定証の授与式があったのであった。
授与式後のレセプションでは、木質材料を扱うメーカーのひとといろいろ話すことができた。PEFCを筆頭に木質材料のサステイナビリティを認証する制度はいくつかあるが、いずれもその存在が十分に社会に認識されていないこと、メーカーとしてはそれらに積極的に取り組んでいるのだが、部材選定の際にそれがアピールポイントになることが少ないこと、をみな口々に言っていた。木質材料のサステイナビリティはこの木造集合住宅プロジェクトで考慮された多くのことのうちのひとつにしか過ぎないが、総体としての建築を、こうした世界で初めての試みのためのモデルケースとして選んでもらえるのはありがたいことである。
昼前起床。奥さんとSkypeでしばらく話してから、バスでWillesden Greenの元大家さんの家へ。僕が初めてロンドンに来た当初からお世話になり、奥さんの渡英に合わせて広い部屋へ引っ越すまで、三年半ほど住んでいた家。大家さんのエビイは、インドネシアから単身イギリスに渡りキャリアを築いた先達として、仕事におけるいろいろな局面でアドバイスをくれたし、一方ではロンドンにおける母のように、僕を息子のように気にかけてくれて助けてくれた。奥さんが渡英してからは、僕らをたびたび家に招待してはいろいろと元気になる言葉をかけてくれた。しばらく会えていなかったが、ロンドンを去る前にいろいろ話しておこうと思ったのである。

バス停から大家さんの家へ続く道。この道を何度歩いたことか。
エビイと犬のロリに迎えられ、昼食をご馳走になる。僕からは緑茶をおみやげに。いまエビイが部屋を貸している日本人テナントたちの話や、再来年に現在の職場を引退したら会社を興そうと準備しているという新しい賃貸ビジネスの話を聞く。相変わらずバリバリ行動している、意思の強い人である。僕はここしばらく会社でやって来た仕事が竣工間近であることと、いかにしてディレクターたちに退社の意思を伝えたか、会社が上り調子の時に辞めることになるので多少は心が楽であること、日本に戻ってからまずはどうしようとしているかなどを話す。

エビイからは、短・中・長期的にいろいろとアドバイスをもらう。いわく、会社の3人のパートナーたちは良い時も悪い時も全部一緒に経験してきた唯一の僕が去ることを悲しんでいるに違いない、これまでこれだけ大切に僕を扱ってきてくれた会社の人たちには礼儀を尽くしてロンドンを去らなければいけない、そしてこれからも連絡を取り続けなさい、と。いわく、これだけ苦労して手に入れた英国の永住権は保持し続けるべきだ、英国の住所はここにしてくれていい、二年ごとに訪ねて来なさい、と。いわく、人生かけて自分が進む道はよく考えて自分で決めなければいけない、そのときはおそらく2-3年後だろう、どこにいても井の中の蛙になってはいけない、広い視野を持ち続けなさい、と。そして、奥さんとの時間を大切にしなければいけない、と。
さて、久しぶりに会った犬のロリくんは13歳、人間で言えば93歳のおじいちゃんである。はじめは恥ずかしがって僕を遠目に見ていたが、すぐに昔を思い出したらしく、いろいろとじゃれてきて相変わらず子犬のようだった。



すっかり話し込んでしまったが、6時前にお暇して、3月末に奥さんが渡英してきたときの再会を約して、市内に戻る。
夜はCitizen Mで堀田くんいつかさんとPython勉強会。机も電源もWiFiもあるし、気持ちがいいし、ご飯もおいしいし、24時間開いているし、勉強にはぴったりな空間。

今日は教科書の第5章後半まで読み進めた。ここまではプログラミングの基礎理解のための模式的なコードの紹介が多かったので少々退屈であったが、3人で読み合わせてやってきたので乗り切れた。次々回くらいから3Dモデリングに直結したコードに入っていくので、1月末までに一通り教科書の内容は終えてしまいたい。23時過ぎに解散し、帰宅。

バス停から大家さんの家へ続く道。この道を何度歩いたことか。
エビイと犬のロリに迎えられ、昼食をご馳走になる。僕からは緑茶をおみやげに。いまエビイが部屋を貸している日本人テナントたちの話や、再来年に現在の職場を引退したら会社を興そうと準備しているという新しい賃貸ビジネスの話を聞く。相変わらずバリバリ行動している、意思の強い人である。僕はここしばらく会社でやって来た仕事が竣工間近であることと、いかにしてディレクターたちに退社の意思を伝えたか、会社が上り調子の時に辞めることになるので多少は心が楽であること、日本に戻ってからまずはどうしようとしているかなどを話す。

エビイからは、短・中・長期的にいろいろとアドバイスをもらう。いわく、会社の3人のパートナーたちは良い時も悪い時も全部一緒に経験してきた唯一の僕が去ることを悲しんでいるに違いない、これまでこれだけ大切に僕を扱ってきてくれた会社の人たちには礼儀を尽くしてロンドンを去らなければいけない、そしてこれからも連絡を取り続けなさい、と。いわく、これだけ苦労して手に入れた英国の永住権は保持し続けるべきだ、英国の住所はここにしてくれていい、二年ごとに訪ねて来なさい、と。いわく、人生かけて自分が進む道はよく考えて自分で決めなければいけない、そのときはおそらく2-3年後だろう、どこにいても井の中の蛙になってはいけない、広い視野を持ち続けなさい、と。そして、奥さんとの時間を大切にしなければいけない、と。
さて、久しぶりに会った犬のロリくんは13歳、人間で言えば93歳のおじいちゃんである。はじめは恥ずかしがって僕を遠目に見ていたが、すぐに昔を思い出したらしく、いろいろとじゃれてきて相変わらず子犬のようだった。



すっかり話し込んでしまったが、6時前にお暇して、3月末に奥さんが渡英してきたときの再会を約して、市内に戻る。
夜はCitizen Mで堀田くんいつかさんとPython勉強会。机も電源もWiFiもあるし、気持ちがいいし、ご飯もおいしいし、24時間開いているし、勉強にはぴったりな空間。

今日は教科書の第5章後半まで読み進めた。ここまではプログラミングの基礎理解のための模式的なコードの紹介が多かったので少々退屈であったが、3人で読み合わせてやってきたので乗り切れた。次々回くらいから3Dモデリングに直結したコードに入っていくので、1月末までに一通り教科書の内容は終えてしまいたい。23時過ぎに解散し、帰宅。
昼前起床。RIBA図書館が閉まる前に、と慌てて家を出たのが悪かったらしく、財布と鍵を部屋に置き忘れてしまったことに途中で気づく。すぐに家に戻ったが、フラットメイトも家を出てしまっている様子で連絡も取れない。現金もカードもない状態で家から閉め出されてしまった。
図書館の入室用に身分証だけは携帯していたことを思い出し、銀行の窓口で事情を説明して緊急対応として£50を引き下ろさせてもらう。携帯電話に紐付けしてあったプリペイドカードが使えたのでスタバでコーヒーを飲みつつ奥さんとSkype。心配させてしまったが、日付が変わり奥さんの誕生日になる瞬間を一緒にお祝い。筆箱の中にTate Modernの会員証が入れっぱなしであったことに気付き、今日は行きそびれていた展示を観て回ることにする。現金で地下鉄の一日券を購入。
無料で入館できるScience Museumで『3D Printing the Future』を見ているときにフラットメイトと電話がつながり安堵。Citizen M Hotelのラウンジで夕食をとりながら携帯電話の充電をしてから、土曜日なので22時まで開いているTate ModernでMira SchendelとPaul Kleeの展示を観る。絵葉書を購入して奥さんにしたためたりしたあと、フラットメイトに迎えられ帰宅。図書館で勉強してから会社に行くつもりだった予定が狂ったが、歩きながらいろいろ考える時間が持てた。非常事態で物事の優先順位が入れ替わったのはむしろよかったのかも。
Science Museumは、プロダクトデザインや産業技術に関する展示も充実しているのだけど、そんな展示室の一番奥のギャラリーで『3D Printing the Future』展は行われている。600超の3Dプリントされた物体を白い壁にところ狭しと並べ、4つのテーマからそれぞれ数人が3Dプリントの実践について語っている。4つのテーマはそれぞれ、「PRINT IT」「PERFECT IT」「HEAL IT」「TRY IT」。600超の物体には一切製作者のクレジットなどはなく、データがあれば誰もがマニュファクチュラーになれる3Dプリントの特徴を示しているよう。ただしTunblrに設けられた特設サイト上では、物体ひとつひとつに作品名と提供者名が付けられている。

「PRINT IT」では、3Dプリントのポテンシャルを紹介。個人でも安価に購入可能or組み立て可能な3Dプリンター(例として展示されているのは、溶けたプラスチックを歯磨き粉のようにひねり出して物体を成形するHipsterbot)から、鉄粉を高エネルギーレーザーで固める工業用の高価なプリンタまで。
「PERFECT IT」は、デザイン/エンジニアリング分野での3Dプリントの実践。軽量で安価なものづくり、速いプロトタイピング、複雑で多機能な形状、を紹介し、それらが金型を使った今までの制作では実用的ではないか不可能であったことを説明。
「HEAL IT」は医療分野における3Dプリントの可能性。すでに550万人の患者が3Dプリントされた医療部品を使って治療を受けたこと、それぞれ異なる個人に対してカスタムメイドな移植片を制作することが3Dプリンタに期待されていること、そのために生体物質や薬品、生きた人間の細胞を材料として使う3Dプリンタが現れるかもしれないという予測を展開。複数の錠剤を飲まざるを得ない患者が効率よく一度で薬剤を摂取できるよう、患者それぞれのニーズに合わせて3次元的にデザインされた錠剤を薬剤を射出してプリントアウトする技術を開発している研究者の話が印象に残った。
「TRY IT」は、3Dプリントの用途の広がり。安価に個々の制作物をつくれることから、アーティストや愛好家、起業家によってイギリス国内だけで年間480万点のモノが3Dプリントによって制作されていることが実例とともに紹介され、事故で指を失った南アフリカの大工が金銭的問題から義手の購入を諦めるも北アメリカのデザイナーと共同してつくったロボットハンドのデータを南アフリカでプリントアウトして利用している事例、同じく南アフリカで荒野の真ん中に暮らすアーティストがデータだけをつくって顧客自身にプリントアウトしてもらう手法で世界を相手にビジネスしている事例、GPSを自転車に取り付けるマウントを3Dプリンタで自作したことが自転車乗りの間で話題になり、好きな自転車に好きなガジェットを取り付けるためのホルダーを一品生産する会社を立ち上げた起業家の事例、が挙げられている。特に最後の事例は、クローズドシステムで互換性無くつくられた(というか組み合わせることを前提とせずにそれぞれの目的のためにデザインされた)プロダクト同士が、利用者の発想とニーズに合わせて制作された一品生産のジョイントによって、アンオフィシャルながら精緻に組み合わせられてしまうという、面白いし実効性のある3Dプリントの可能性を示している。
展示の最後には、3Dプリントされた拳銃も展示されていた。ロンドンのV&Aミュージアムがそのプロトタイプ群をコレクションに加えたことで話題となった「Liberator」である。Science Museumに展示されているのはそれとは別にフォンランド人のジャーナリストによってプリントアウトされたもので、弾丸は撃ち出されたが、オリジナルとは異なり本体は発射の衝撃で分解してしまった、とのことである。

V&Aはエキシビションロードを挟んでScience Museumと向かい合っている博物館で、Albertopolisを構成する博物館群のひとつ。Liberatorをコレクションに追加したキュレーターの弁によれば、「Ugly and sinister objects demand the museum’s attention just as much as beautiful and beneficial ones do. Museums should be topical, responding quickly to world events when they touch our areas of expertise.(醜くて邪悪なモノも、当博物館の注意を必要とするのです、美しく有益なモノに対してのそれと同じだけ。博物館とは、世界の事象に迅速に反応し時事的である必要があります、それが我々の専門分野に関するものであった場合は。)」
Guardian紙の記事では、V&AがLiberatorのオリジナルをテキサスに住む製作者の大学生から手に入れようとしたが失敗し、コピーを展示することになった経緯を次のように解説している。V&Aがプロトタイプ群をコレクションに追加することを決めたものの、製作者の大学生が銃の輸出許可証の取得に手間取り展示に間に合わなかった。デジタルフォーマットであれば違法に世界中どこにでも送れるものがカタチを持った途端に遭遇する問題である。大学生はテキサスで銃を製造する許可証は取得済みであったが、その制作方法を他人に配布することが合法的に許可されているかどうかは不明確であった。そのため彼は逮捕を警戒して、展示に際してV&Aの招聘に応じることができなかった。V&Aは手に入れた製造データをもとにロンドン市内の3Dプリントサービスに制作を依頼したが、銃の製造はテキサスからその大学生に対して許可されているのであるからという理由で、銃全体の製造は拒否される。そのため、大部分を3Dプリントで制作するが残りは石膏で制作する、という方法で折り合いをつけたとのことである(機能しない不完全なかたちで制作する、ということだろう)。
図書館の入室用に身分証だけは携帯していたことを思い出し、銀行の窓口で事情を説明して緊急対応として£50を引き下ろさせてもらう。携帯電話に紐付けしてあったプリペイドカードが使えたのでスタバでコーヒーを飲みつつ奥さんとSkype。心配させてしまったが、日付が変わり奥さんの誕生日になる瞬間を一緒にお祝い。筆箱の中にTate Modernの会員証が入れっぱなしであったことに気付き、今日は行きそびれていた展示を観て回ることにする。現金で地下鉄の一日券を購入。
無料で入館できるScience Museumで『3D Printing the Future』を見ているときにフラットメイトと電話がつながり安堵。Citizen M Hotelのラウンジで夕食をとりながら携帯電話の充電をしてから、土曜日なので22時まで開いているTate ModernでMira SchendelとPaul Kleeの展示を観る。絵葉書を購入して奥さんにしたためたりしたあと、フラットメイトに迎えられ帰宅。図書館で勉強してから会社に行くつもりだった予定が狂ったが、歩きながらいろいろ考える時間が持てた。非常事態で物事の優先順位が入れ替わったのはむしろよかったのかも。
Science Museumは、プロダクトデザインや産業技術に関する展示も充実しているのだけど、そんな展示室の一番奥のギャラリーで『3D Printing the Future』展は行われている。600超の3Dプリントされた物体を白い壁にところ狭しと並べ、4つのテーマからそれぞれ数人が3Dプリントの実践について語っている。4つのテーマはそれぞれ、「PRINT IT」「PERFECT IT」「HEAL IT」「TRY IT」。600超の物体には一切製作者のクレジットなどはなく、データがあれば誰もがマニュファクチュラーになれる3Dプリントの特徴を示しているよう。ただしTunblrに設けられた特設サイト上では、物体ひとつひとつに作品名と提供者名が付けられている。

「PRINT IT」では、3Dプリントのポテンシャルを紹介。個人でも安価に購入可能or組み立て可能な3Dプリンター(例として展示されているのは、溶けたプラスチックを歯磨き粉のようにひねり出して物体を成形するHipsterbot)から、鉄粉を高エネルギーレーザーで固める工業用の高価なプリンタまで。
「PERFECT IT」は、デザイン/エンジニアリング分野での3Dプリントの実践。軽量で安価なものづくり、速いプロトタイピング、複雑で多機能な形状、を紹介し、それらが金型を使った今までの制作では実用的ではないか不可能であったことを説明。
「HEAL IT」は医療分野における3Dプリントの可能性。すでに550万人の患者が3Dプリントされた医療部品を使って治療を受けたこと、それぞれ異なる個人に対してカスタムメイドな移植片を制作することが3Dプリンタに期待されていること、そのために生体物質や薬品、生きた人間の細胞を材料として使う3Dプリンタが現れるかもしれないという予測を展開。複数の錠剤を飲まざるを得ない患者が効率よく一度で薬剤を摂取できるよう、患者それぞれのニーズに合わせて3次元的にデザインされた錠剤を薬剤を射出してプリントアウトする技術を開発している研究者の話が印象に残った。
「TRY IT」は、3Dプリントの用途の広がり。安価に個々の制作物をつくれることから、アーティストや愛好家、起業家によってイギリス国内だけで年間480万点のモノが3Dプリントによって制作されていることが実例とともに紹介され、事故で指を失った南アフリカの大工が金銭的問題から義手の購入を諦めるも北アメリカのデザイナーと共同してつくったロボットハンドのデータを南アフリカでプリントアウトして利用している事例、同じく南アフリカで荒野の真ん中に暮らすアーティストがデータだけをつくって顧客自身にプリントアウトしてもらう手法で世界を相手にビジネスしている事例、GPSを自転車に取り付けるマウントを3Dプリンタで自作したことが自転車乗りの間で話題になり、好きな自転車に好きなガジェットを取り付けるためのホルダーを一品生産する会社を立ち上げた起業家の事例、が挙げられている。特に最後の事例は、クローズドシステムで互換性無くつくられた(というか組み合わせることを前提とせずにそれぞれの目的のためにデザインされた)プロダクト同士が、利用者の発想とニーズに合わせて制作された一品生産のジョイントによって、アンオフィシャルながら精緻に組み合わせられてしまうという、面白いし実効性のある3Dプリントの可能性を示している。
展示の最後には、3Dプリントされた拳銃も展示されていた。ロンドンのV&Aミュージアムがそのプロトタイプ群をコレクションに加えたことで話題となった「Liberator」である。Science Museumに展示されているのはそれとは別にフォンランド人のジャーナリストによってプリントアウトされたもので、弾丸は撃ち出されたが、オリジナルとは異なり本体は発射の衝撃で分解してしまった、とのことである。

V&Aはエキシビションロードを挟んでScience Museumと向かい合っている博物館で、Albertopolisを構成する博物館群のひとつ。Liberatorをコレクションに追加したキュレーターの弁によれば、「Ugly and sinister objects demand the museum’s attention just as much as beautiful and beneficial ones do. Museums should be topical, responding quickly to world events when they touch our areas of expertise.(醜くて邪悪なモノも、当博物館の注意を必要とするのです、美しく有益なモノに対してのそれと同じだけ。博物館とは、世界の事象に迅速に反応し時事的である必要があります、それが我々の専門分野に関するものであった場合は。)」
Guardian紙の記事では、V&AがLiberatorのオリジナルをテキサスに住む製作者の大学生から手に入れようとしたが失敗し、コピーを展示することになった経緯を次のように解説している。V&Aがプロトタイプ群をコレクションに追加することを決めたものの、製作者の大学生が銃の輸出許可証の取得に手間取り展示に間に合わなかった。デジタルフォーマットであれば違法に世界中どこにでも送れるものがカタチを持った途端に遭遇する問題である。大学生はテキサスで銃を製造する許可証は取得済みであったが、その制作方法を他人に配布することが合法的に許可されているかどうかは不明確であった。そのため彼は逮捕を警戒して、展示に際してV&Aの招聘に応じることができなかった。V&Aは手に入れた製造データをもとにロンドン市内の3Dプリントサービスに制作を依頼したが、銃の製造はテキサスからその大学生に対して許可されているのであるからという理由で、銃全体の製造は拒否される。そのため、大部分を3Dプリントで制作するが残りは石膏で制作する、という方法で折り合いをつけたとのことである(機能しない不完全なかたちで制作する、ということだろう)。
終日現場のプロジェクトの作業。朝、設備のエンジニアにいくつかの数値を確認をしたあとPowerpointのファイルを月曜日のイベント(イベントというかセレモニーか)担当者に送信。階段周りのディテールのスケッチを現場に送ったあと、家に一眼デジを取りに戻ってから現場へ。ファサードに最後のエレメントである太陽光パネルのルーバーが装着され始めた。帰社後、ホールデンと写真を見ながらレビュー。いくつかの指示を現場に送ってから帰宅する。
奥さんから絵葉書と年賀状が届いていた。僕が奥さんに送ったものも届いていたようで何よりである。
奥さんから絵葉書と年賀状が届いていた。僕が奥さんに送ったものも届いていたようで何よりである。
終日現場のプロジェクトの作業。月曜日のイベント(授賞式)に向けてプレゼンテーションの準備を進める。Powerpoint、サンプルの手配、など。ディレクターと二回ほど打ち合わせをしてPowerpointは完成。
終業後、SouthwerkのCitizen Mへ。堀田くんいつかさんとPython勉強会。冒頭にいくつかの例が載っていたテキストは、第三章から少し戻ってプログラミングの基礎とPythonの特徴を解説し始めた。ちょっと足踏み感もあるが読み進める。ローカル変数とグローバル変数、And演算とOr演算といったあたり。途中、休憩がてらHouse Hのブレスト。原理は単純ながらダイナミックな構造、小さな関係性が家全体につながっていくような空間、がつくれるかも。来週会う構造エンジニアの方が身を乗り出すような問いをたてよう。帰宅後、パソコンのセットアップをもう少し進めてから就寝。Time Macineのバックアップデータから緊急性のあるファイルを復旧する。故障したパソコンのOSが3世代も前だったのでそのまま復旧はできなかったが、個別にファイルを復元できる方法を見つけて一安心。
終業後、SouthwerkのCitizen Mへ。堀田くんいつかさんとPython勉強会。冒頭にいくつかの例が載っていたテキストは、第三章から少し戻ってプログラミングの基礎とPythonの特徴を解説し始めた。ちょっと足踏み感もあるが読み進める。ローカル変数とグローバル変数、And演算とOr演算といったあたり。途中、休憩がてらHouse Hのブレスト。原理は単純ながらダイナミックな構造、小さな関係性が家全体につながっていくような空間、がつくれるかも。来週会う構造エンジニアの方が身を乗り出すような問いをたてよう。帰宅後、パソコンのセットアップをもう少し進めてから就寝。Time Macineのバックアップデータから緊急性のあるファイルを復旧する。故障したパソコンのOSが3世代も前だったのでそのまま復旧はできなかったが、個別にファイルを復元できる方法を見つけて一安心。
朝、8時に直接現場へ。内装のインスペクション。昼前に終了し、内装の担当者といくつかの事項についてミーティング。昼過ぎに会社へ戻る。ディレクターと同僚に報告し、いくつかのディテールについてスケッチを現場へ送信する。夜からは月曜日のイベント(授賞式)のためのプレゼン資料製作。ディレクターと相談したストーリーボードを踏まえて、パワーポイントのプレゼンテーションにまとめる。2時過ぎ帰宅。
終日現場のプロジェクトの作業。共有エリア内装の天井ディテール、床タイル割のセッティングアウト。合間に月曜日のイベントの準備。会場と主催者に連絡しつつプレゼンテーションのフォーマットを確認する。昼は新谷さんと昼飯。一時帰国した際に見に行かれたJapanese Junction展の話や、日本にいる友達の近況などを聞く。終業後、RIBAの図書館に行くつもりだったが明日の現場ミーティングの準備で手惑い閉館時間を過ぎてしまう。帰宅して、昨日受け取ったMacbookProのセットアップに時間を使う。Dropboxに接続し、BootcampでWindowsも入れたところで一安心。サイズが変わったのでパソコンケースも買い替える。