昨日も、朝、楽しみにかよっている万葉集の講座へ。
巻二の挽歌。
昨日も先生のお話が素晴らしくて、ふるえました。
今日はその中から、
天智天皇挽歌群より、太后御歌。
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いさなとり 近江の海を
沖離(おきさ)けて 漕ぎ来る船
辺(へ)に付きて 漕ぎ来る船
沖つ櫂(かい) いたくなはねそ
辺つ櫂 いたくなはねそ
若草の 夫(つま)の 思ふ鳥立つ
【万葉集巻二 153】
訳)
(いさなとり)近江の海を
沖から離れて漕いで来る船よ
岸近く漕いで来る船よ
沖辺の船の櫂もひどくはねないでおくれ
岸辺の船の櫂もひどくはねないでおくれ
(若草)の夫(つま)の君が
いつくしんでいらした鳥が
飛び立っているではないの
***
この歌の「鳥」、通説では、
夫の霊魂の象徴、夫そのものとして、悲しみを述べた、と。
思えば、ヤマトタケルが亡くなった時に、魂が白鳥になって飛んで行ったみたいなことで、
白鳥をヤマトタケルそのもののように書いたものがあったことを、前にも書いた気がしますが、
(古事記、日本書紀)
しかし、
「鳥と霊魂をめぐる古代的観想が発想の基底にあったとしても、それをそのまま解釈に持ち込むわけにはいかない」と、
身崎寿という国文学者。(身崎寿「倭太后の歌」セミナー万葉集の歌人と作品1)
生前なれ親しんでいた景物には死者のおもいがこもっており、死後のいまもそれはかわらない(身崎)
湖上の鳥には死者のおもいがこもっており、死後のいまもおもいつづけている。その意味で死者と生者たる<われ>とは視線とおもいとを共有しているという確信をもつことができる。そのよりどころとしての「鳥」がとびさって共有のよろこびがうしなわれてしまうかなしみを、このうたはうったえているのではないか(身崎)
挽歌的抒情。
長歌形式の枠組みの中で歌われているが、その展開は稚拙ともいえる。
それが、なぜ、我々の心を打つのか、などなど。
これ以上書ききれませんが、
名歌と言われるだけに、通説もある中、
そこにとどまらずに、我々にもわかるように、
いろいろな資料をあげてお話してくださる。
本当に、いつも感動しています。
話は、かわって、
昨日夜は、FM MOOV「鼓動は三拍子」公開録音。
ゲストに映画「ひかりをあててしぼる」の坂牧良太監督をお迎えしました。
映画を撮り始めたきっかけや、この映画への思い、
深い話も、とっても楽しくおしゃべりしてくださり、
大変盛り上がった公開録音となりました。
坂牧監督出演の放送は、3月24日です。
お楽しみに。
FM MOOV「鼓動は三拍子」(金曜夜8:00~8:30)
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ミニライブでは、
「鼓動」
「届きそうで届かない」
「ボイジャーは還れない」
「ピエロ」
を演奏しました。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
今日も素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。
洋司
夏の京都も楽しみにしております。
琵琶湖は、近江の海と呼ばれていた、ということは、当時の人には、湖ではなくて、海だと思われていたのかな?と、思ったりします。海と間違えるほどに大きな琵琶湖を、いつか見てみたいです。
いたくな撥ねそ 若草の夫の思ふ鳥立つ
この歌を知った時、久保田さん、電流走りませんでしたか。「さざ波バードチャイルド」の詞世界と、とても通じるところがあると思います。
遠ざかる君 よみがえる日々
波とあそび さざ波バードチャイルド
もう呼ぶこともない
名も知らぬ夜へ 君は出ていった
この手に残る 君のぬくもり
風の中に まぎれてしまう
羽をとじて この手に眠れ
私はトンナンの曲の中で、ちょっと異質な
「もののあはれ」感漂う、とても大人っぽい
歌詞だと思ってました。
松本さん作詞のKinKi Kids「スワンソング」を思い出します。一番だけ聴くと、「硝子の少年」の延長上にある、遠距離恋愛の曲なのかなと思うのですが、2番詞に重要な、とても松本さんらしいメッセージが放たれています。
死にゆく鳥が きれいな声で
歌うように 波が泣いた
聞いて 私たち
生きてる重みは 自分で背負うの
手伝いはいらない
松本さんは優しい。「君をずっと想っていたよ」が松本さんの作詞だと知った時、三叉路で影のように、動けなくなった少年に、人を愛し続ける心の余地を与えてくださったのだと思いました。
そして「Tonight」で、その恋が実を結んだのなら… いいなと思いました。
「Tonight」の甘切ないメロディーが好きです。
14歳?中学生の頃、作った曲なんですよね。
このくらいの、ミディアム・スローなテンポが私は大好きで、一番心安まる感じなんです。
そして、「内心、Thank you」のre–flight バージョンを聴いて、三叉路は、またその先で三叉路に分かれ、また分かれ、そして樹形図のように、いつか道はひとつにつながる、そんな風にようやく思えたのです。