『今日の出来心』

シンガーソングライター&作詞家“久保田洋司”の365日書き下ろし公開日記です
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角島の迫門の稚海藻は~。今日の出来心2013年7月29日(月)

2013年07月29日 08時34分58秒 | Weblog

中西進先生のオーディオブック「万葉秀歌を旅する」は、素晴しい内容とボリュームで、中西先生の楽しくやさしいお話が聞けて、最高です。

僕が万葉集に興味があることを知った出版社の方が、昨年、送ってくださいました。

1巻ほぼ1時間の内容のCDが、10巻。丁寧な解説本もついています。

僕が「万葉集~ココロ・ニ・マド・ヲ」というインターネットの番組で万葉集の朗読を担当していたころ、何度も明日香村にかよって、「勉強会」として、中西先生のお話をうかがったものです。

毎回、数時間にわたる先生のお話を、録音させていただき、帰ってから、それを書き出して、表記や年代、作者のことなど、さらに本やインターネットで調べ、後日スタジオで朗読にあたる、というのは、それだけでも、とっても良い勉強になりました。

こういうと大変失礼なんですが、中西先生は、とってもかわいいおじいちゃん、という感じの方で、お洒落で、チャーミングで、お話が本当に面白くて、時々、お笑いになると、えへへ、とも、うふふ、とも聞こえる笑い声が、また、最高なんですよ。

80歳になられても、とってもお元気で、若々しく、僕たちのために、いつも、長時間、お話してくださるのでした。

大変幸せなことでした。

その、明日香村での勉強会を、思い出すような、オーディオブック「万葉秀歌を旅する」、もちろん、おちゃめなお笑い声や、時々話してくださる、先生の楽しいエピソードなどはCDには入ってませんが、中西先生が、楽しそうにお話されてる感じが、とっても良いです。

第5巻「海の回廊~瀬戸内海のうた~」では、僕なども、行ったことのある、鞆の浦のお話も出てきます。大伴旅人が、大宰府に赴任するとき、往路で、鞆の浦に立ち寄って、奥さんと見た「むろの木」、当時、旅人は、63歳ぐらいで、奥さんは、十代後半か二十代前半のとっても若い人だったそうです。

それが、大宰府で、奥さんは亡くなってしまいます。

任務を終え、都への復路、また、鞆の浦に寄って、「むろの木」を、今度は旅人1人で見て、静かにさめざめと歌うのです。

吾妹子が見し鞆の浦のむろの木は常世にあれど見し人そなき 【万葉集 巻三 446】

訳)わがいとしい妻が往路に見た、鞆の浦のむろの木は、長く命を保っているのに、見た妻は今はもういない。

中西先生は、大伴旅人が大好きだそうです。

「端然として姿をくずさない人でした。」と。

で、このCD第5巻の最後に紹介されているのが、

角島(つのしま)の迫門(せと)の稚海藻(わかめ)は人のむた荒かりしかどわがむたは和海藻(にきめ) 【万葉集 巻十六 3871】

訳)角島の瀬戸のわかめは他人といると荒々しかったが、私といっしょの時は和らかい藻(め)よ

解説)ワカメを刈ることは人々の日常の労働であり、大切な生活の糧でもあった。そこはかとない庶民の幸福感の中で願望を歌った集団歌の一つである。

稚海藻(わかめ)は、若女(わかめ)とかけてあって、

あの娘は、ほかの男といるときは、荒々しかったが、俺といるときは、やわらかなんだ、と、皆が皆、そう思いこんで、全員で、歌ってる、という、ちょっと楽しい場面ですね。

中西先生が、「この歌、大好きなんですよ」と紹介されるあたりも、とってもかわいくて、いいんですよ。

僕は、中西先生の、お話や、話し方がとっても楽しくて、余計に万葉集に興味を持つようになったと思います。

それで、自分でも、もっと勉強したくて、近くの講座に、申し込んで通うようになりました。

こちらの、講座の先生も、素晴しくて、なんと、誕生日が僕と同じ。

月に、二回、通うだけなんですが、毎回、すごく面白く、とっても勉強になってます。

本を読むだけでは、僕など、なかなか、理解しきれないことばかりですが、

先生方の、楽しいお話で、ますます、万葉集大好きです。

 

今、僕の弟が、奈良に住んでるそうです。すぐに明日香村に行けるわけです。

これが、非常に羨ましい。

名前は、修司、太宰治の本名、津島修治と同じ「しゅうじ」で、これも、羨ましい。

余談でした。

今日は、ファンクラブの会報の原稿書きを、一日、びっしりやるつもり。

がんばります。

素敵な一日になりますように。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司


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1 コメント

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そんなCDが! (nao)
2013-07-29 11:17:40
私も久保田君のブログを読ませもらうようななってから
万葉集に興味を持ち
中西先生の書籍は何冊か読ませて頂きました
もう少し詳しく万葉集の事知りたいな~と色々探してみましたが
万葉集の講座などはなかなか無くて
そんなCDがあるんですね
早速探してみます
私の家の近くには
因幡万葉歴史館という施設があるのですが
因幡守だった大伴家持の資料などが展示してある施設のようです
家からも比較的近くにあるので
今度行ってみようと思っています
そこでは万葉風?の衣装の体験コーナーなどもあるみたいなので
ひと時万葉人気分を味わって参ります(^^;;

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