谷沢健一のニューアマチュアリズム

新ドメインに移行しました。

2008年の12の? カープ(その1)

2008-03-04 | プロ野球への独白
 ゴールデンイーグルスの項で書いたように、長谷部君の投球振りを確認させて貰ってすぐに本島に戻った。小原格さんがデスク業務で東京に帰り、翌日は高田黄門様と沖縄市の広島キャンプへ赴いた。
 早朝からの雨でグランドが使えず、野手は室内での打ち込みとなった。黒田投手のドジャース入りと新井選手の阪神移籍でマスメディアには目玉が見つけにくい。本部席もガランとして球団職員も皆無であった。誰もいないマウンド。静寂の空間に置かれた打撃ゲージ。
 そんな空気を一掃したのは、テレビ新広島の神田アナだった。彼は部屋に入って来るなり、「谷沢さん、よくいらっしゃいました!」と彼らしい澄んだ明るい声を発する。「いやいや、カンちゃんこそ父の葬儀の折には遠い所まで足を運んでいただいて。ほんとうに有難うございました」
 わざわざ広島から千葉にまで弔問に来てくれたのである。「こういう人の思いを大切にしなければ」とつくづく感じ入ったのだった。悲哀の時に慰安を与えてくれる人、有頂天の時に叱咤してくれる人を、ともに悲しむ人やともに喜ぶ人以上に大切にしなければならない。
 神田氏とはプロ野球ニュースは勿論のこと、G戦の中継では達川氏とコンビを組ませてもらい、神田氏の地元一色の話術に引き込まれて、いつの間にか広島サイドに立つ自分に困り果てる場面もあった。達川氏がカープ側なのだから、私はジャイアンツ側に回らねばならないのだが、熱い思いを柔らかい言葉でくるんだ神田アナの絶妙の語りには、抗すすべもなかった。