谷沢健一のニューアマチュアリズム

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今年の野村監督の思考(その3)

2007-02-22 | プロ野球への独白
 会話は変わって、「数年前に落合がキャンプ取材に来てなー、練習なんか見ずに、3時間も打撃の話をしたよ。あいつはバッティングが好きだな。話し出したら止まらんのだから」。そういうノムさんも打撃のこととなると職人気質が出てくる。「俺はなー、バットのヘッドを速く出すことを一番に考えていたよ。脇を空けて構えるなんてできなかったな。あとは身体の回転ばかり考えていたよ」野村-落合という三冠王コンビの対談なんて、スポーツ紙なら垂涎(すいえん)の企画だが、まだどこでもやっていないのはなぜだろう? キャンプでの立ち聞きしかできないのだろうか。
 この日も担当コーチが言っていた。「監督は打撃の形もうるさく指摘しますが、見逃しの三振を喫しても怒りませんよ。俺もあそこはカーブを待つ。逆が来たら諦めるしかない、と」。まさにノムさんは「読む」バッター、ITバッターだったのだ。
 捕手論も面白い。「ヤクルトの監督になった時、秦が正捕手なんだなー。よくもまー、前監督は捕手的才能がない人にやらせているなーと驚いたよ。飯田もなぜかミットを持っていたが、即コンバートしたよ。残りは新人の古田しかいなかった」
 「楽天も頭が痛いのではないですか」と訊くと、「藤井、長阪、中谷がいるけどな。新人の嶋(國學院大)はいいねー。送球も速いし、キャッチャーとして考えてプレーしてる」
 話は続き、昼食までご一緒させていただいたが、そこに楽天OBの戸叶君が挨拶に来た。ここで精神訓話が炸裂した。戸叶君が「楽天球団主催の野球教室で、子供たちを教えています」と言うやいなや、「おい、その髪はなんだ! 茶髪で子供を教えられるか! 人に物事を教えるというのは、己も人格を磨き模範を示すのが肝要なんだ。それが、長髪で茶髪とは! すぐに黒く染めてこい! 楽天は髭を伸ばすことも禁じているんだ!」