ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ピクニック』(1936年)を観て

2015年07月07日 | 戦前・戦中映画(外国)
『ピクニック』(1936年)を上映している。
デジタルリマスター版で戦後70年の記念公開とある。
監督のジャン・ルノワールは『大いなる幻影』(1937年)などの名作があり、あの画家ルノワールの息子でもある。
この映画は未完のため40分。
わずか40分のために、わざわざ名古屋まで出かけるべきか、どうか。
レンタルビデオ店にはたぶん置いてないだろうし、Amazonでは中古品の出品が52,000円となっている。
こうなれば、出かけるより方法がない。と、いうことで観に行った。

1860年の夏の日曜日。
中年を過ぎた夫婦と母親、それにその娘と婚約者の5人がパリから田舎にピクニックにやって来る。
場所は、川辺のブランコがあるレストラン。そこで昼食を取っていたアンリとロドルフ。
二人は若い娘アンリエットにアタックしようと相談する。
窓を開けると、母親と娘が乗っているブランコのシーン。
微笑ましくって、和やかな情景に、自然とこちらも幸せな気持ちに引き込まれていく。
舟遊び、そして、小鳥の鳴く岸辺の森に入るアンリとアンリエット。
恋が芽生える至福なひととき。
それと同時に、近づいてくる嵐。これが、それ以後の予感となって・・・・
十分に観客の気持ちを引きつけたところで、残念ながら幕。
もっと観たいのにと思って恨んでもしょうがない、後が作られなかったのだから。
それにしても貴重な作品である。
助監督には、若きルキーノ・ヴィスコンテイやジャック・ベッケルほか。
ヒロインには、哲学者・作家で有名なバタイユの当時の妻、シルヴィア・バタイユ。
その他、後のその道の大家がいっぱいである。
こういう作品は、大事に後世へ残していかなければいけないとつくづく感じた。

同じ題名と言えば、ジョシュア・ローガン監督の『ピクニック』(1955年)がある。
こちらの作品も思い出深いので、いずれは書いていきたいと思う。

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