原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

お、これが小焼けか!?

2009年12月08日 09時43分58秒 | 地域/北海道
10月6日のブログ(赤とんぼの詩)の中で、夕焼け小焼けの話を書いた。それを頭に浮かべながら、小焼けは確かこんな感じだったと思いながら写したのがこの一枚。説では、太陽が沈んでから10~15分ほど後に、再び西の空が明るくなる現象であった。10分に満たなかったと思うが、太陽が山の稜線に消えた後に見せてくれた茜空であった。日に日に寒さが増すこの時期は夕陽もまた日を追うように美しくなる。楽しみもまた増す。

道東の日没は早い。師走となると午後3時半には陽は沈みだす。山がある場所ではさらに時間が早くなる。冬至間近はとくにそう感じる。北海道の冬は雪に覆われて、あまりよい天気にならないのではと思う人が多いかもしれない。ところが道東の冬は意外に晴れが多い。札幌や道南、道北が吹雪の時でも快晴が続く。日本独特の冬型気候が太平洋側に太陽をもたらすのだ。東日本はおおむねそんな感じである。雪が少ない分、寒さが厳しいのも特徴。太陽がどんなに照りつけても、気温が上がらない。それが道東の冬なのである。

(ピンク、バイオレット、刻々色が変わっていく)

冬の夕陽は美しい。空気が凍る寒さの中では夕陽の赤い色が特に際立つ。「凍るようなレッド」とは、まさに道東の夕陽を表現するにふさわしい。さらにピンクから、幻想的なバイオレットの空へと変化する。オーロラを見るような華やかな夕空が堪能できる。
実は道東で私なりの夕陽のポイント場所が十ほどある。この12月にすべてを制覇してやろうと思っていたが、まだわずか一か所しか行けていない。このところの行動力の低下は著しい。歳のせいかと思ったが、どうも違う。最近の怠惰な生活がすべてそうさせているらしい。曇ってきたから、酒を飲んでしまったから、腹の調子がいまいちだから、などなど、できない理由が実に多くなっている。困ったことだ。

(真っ赤に染まる周辺。それでも厳しい寒さが身を包む)

夕陽を見ながら、大先輩を思い出していた。東京新聞の写真部長をやっていた大先輩は、私よりはるかに歳をめされているが、実に行動力があった。定年を過ぎてもその活動力は少しも衰えなかった。先輩は昔から標津の四角い太陽(これは日の出ではあるが)を追い求めていた。何度も標津へ足を運ぶのはもちろん、定年後も車一台で日本中を走り回って写真を撮っている。一度、日の出の撮影に付き合ったことがある。私がまだ三十代。先輩は定年間近であった。くたくたに疲れてダウン寸前の私に比べ、最後まで元気であった。あのエネルギーはどこからきているのだろうか。今も元気なのだろうか。便りがないというのはたぶん元気な証拠。いまもどこかでカメラを構えているにちがいない。

昔の漫談でこんなのがあった。
「昔、俺が夕陽だったころ、妹は小焼けで、弟はムネ焼けだった。イエーイ!」
オソマツながら、懐かしーイ。

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2 コメント

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出ましたね! (numapy)
2009-12-08 14:27:20
昨日、夕方空を見てたらいきなり本ブログの写真のようなドラマチックな夕焼けが展開され始めました。
少し気付くのが遅れたので、このブログのようにきれいに撮れなかった。
「昨日、貴兄が夕焼けだった頃、オイラは酒焼けだった。シマッター!」オソマツ君でした。
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ご同様です。 (原野人)
2009-12-08 14:55:16
最近、酒を飲む時間が早くなり、夕陽を見る余裕がなくなっています。これも日照時間が短くなったせいなのでしょうか。昨日はたまたまトライできたというわけです。
まだたくさん夕日ポイントがあるのに、さぼり癖がついてます。困ったものです、イェーィ!
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