山の記憶 再び

「静岡のK」 山歩きの記録




コッフェル346 大谷嶺

2009-07-06 | Weblog
2009.7.5(日)

天気予報が不安定の中、
S君と安倍奥の盟主、大谷嶺(おおやれい、2000m)に登ってきた。

大谷嶺は日本三大崩れの一つ、大谷崩れの頭。
ちなみに日本三大崩れとは
「大谷崩れ」、「常願寺川鳶山崩れ」、「稗田山崩れ」を指す。
富士山大沢崩れは別格だ。

大谷崩れは
富士山の宝永火山が爆発した年(1707年)に崩落した。


幸田露伴の次女、幸田文がこの地を訪れて崩れに魅せられ、
全国の崩れを回って「崩れ」を著したことは知られている。

写真は、登山口に設置された幸田文の記念碑。












大谷嶺登山口。

十枚山、山伏同様、真新しい登山ポストが設置されていた。











登山口からしばらく行くと、
目指す崩れの源頭部が姿を現した。











何度か山を一緒に歩き、
明らかにS君は私より山に強いことを知った。

登りはじめは私のペースで登ったが、
道がしっかりしたあたりで、S君に先に行ってもらった。











高度を上げると樹木は少なくなり、
崩壊地は緑の草で覆われ始めた。

秋から冬の時期に登ると緑はなく
荒涼とした崩壊地を登ることになる。











稜線付近の露岩が迫ってきた。











間もなく主稜線との出合い「新窪乗越(しんくぼのっこし)」に到着する。
安倍奥では珍しいアルペン的な景観が広がる。











新窪乗越を右折し、主稜線の急坂を登る。

間もなく崖の渕を通過する個所が現われ出す。












ガスが出始めた稜線。

右はスッパリと切れ落ちている。

高所が苦手な人にとってガスは救いかもしれない。











大谷嶺山頂。青いシャツの人は、島田市から訪れたソロ男。

立派な山頂表示は山梨県早川町が設置したもの。しかし山名が削り取られている。

実は、山梨県ではこのピーク、
今は所在不明の三角点「行田(ぎょうた)」にちなみ行田山と呼ばれている。

しかし、静岡県側では「大谷崩れ」にちなんで、このピークを「大谷嶺」「大谷崩れの頭」と命名している。

早川町が設置した立派な山頂表示には「行田山」とあったのだが、それを気に入らなかった静岡側からの登山者が激怒して、
赤いスプレーで標識を汚しただけでなく、「行田」の文字を刃物で削ってしまった、と言われている。数年前初めて見たときは、標識はスプレーで真っ赤だった。

すでにスプレーの赤はほとんど色を失っているが、削った山名は失われたままだ。

この標識を見るたびに、静岡側から登った登山者の狭量が哀しくなる。











山頂から見下ろす崩れ。

落ちたらどこまで行くか分からない崩れ。

正面の不安定な岩が気になった。

アップしてみた。











アップしたらやっぱり不安定だ。

絶妙なバランスで立っているのか、
風雪により周囲をうまい具合に削られた奇岩なのか、
近寄れないので答えを得ずに下山を開始した。











下り始め、急峻な岩場でこちらを伺うカモシカに出合った。

「不安定に立つ岩の秘密を知りたければ、こっちへ来てみろ」

と言っているようだった。











ガスに包まれる登山口へ向かい
駆け足で下った。

4 コメント

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大谷嶺でしたか・・・ (賢パパ)
2009-07-07 04:28:28
Kさんは大谷嶺でしたか。

私は去年の11月に登りましたが草木は枯れていたので今の時期はずいぶん雰囲気が違いますね。

八紘嶺まで足を延ばすつもりで行ったのですが数㎝の積雪があり、危険はありませんでしたが靴下を濡らすのが嫌なので大谷嶺までで引き返して来ました。

山伏もそうですが山頂標の件は胸が痛みます。
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悲しい・・& 楽しい (弱足ママ)
2009-07-08 17:24:28
Kさん、こんにちは。

私は大谷嶺のこと知りませんでした。
そして 『日本三大崩れ』 なるものがあることも!
大沢崩れは入ってないって・・・
私は ”崩れ”っていうと大沢崩れしか知らないのに・・・・

山頂の標柱・・・悲しい話ですね。
山に登る人に悪い人はいない・・とかって話をすると
うちのパパが 「そんなことはない!」って
すぐに打ち消します。
確かに今まで登った中でも お花を育てているから
立ち入り禁止になってるのに
平気で入ってる人を見たし、
ゴミをポイ捨てする人も見ました。
注意できない自分が悲しかったけど
いろんな人がいますよね。
もっともっと大きな心で自然と向き合ってほしいな、って思います。
もちろん自分自身もそうしたいです。


でも、なんだか楽しい(おもしろい)箇所も見つけました。

>青いシャツの人は、島田市から訪れたソロ男。
 
の ”ソロ男” ってとこで何故か笑ってしまいました。
この表現、すごくストレートでいいですね。
それと・・・

>アップしたらやっぱり不安定だ

です。 
アップしたら不安定じゃなくなってたら
もっとおもしろかったけど
そんなワケないですもんね。(笑)

一つのお山のレポで いろんな感情を引っ張り出していただき、
ありがとうございました。

今週末もお天気良くありませんね・・・ガッカリ。
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今週末は竜爪山に登る予定ですが… (TO賢パパさん)
2009-07-08 19:45:09
いつもありがとうございます。

梅雨にもかかわらず、
このところ雨に降られることもなく、
S君と山歩きを楽しんでいます。

安倍奥の山頂標でよく話題になるのは「行田山」、「山伏岳」、「青笹山」ですね。

「山伏には『岳』はない!」という意思表示でしょう、
山頂標の『岳』が無残に削り取られているのを見るたびに、
「おいおい、そこまでやるなよ。気分が滅入るじゃないか!キミ」
という思いになります。

今週末は幼馴染みのS君、N君と
竜爪山に登る約束をしています。
が、予報は雨。
「雨でも登ろう」と言おうと思っていますが、
どうなることやら、です。

ところで、竜爪山の一等三角点の山「文珠岳」を、
ほとんどのガイドブックが「文殊岳」と表示しているのも面白いと思います。
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意外なところで受けていただきました (TO弱足ママさん)
2009-07-08 20:06:42
楽しいコメントありがとうございます。

ところで↓こちらに「日本三大○○」が一杯出ていますよ!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%B8%89%E5%A4%A7%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E8.87.AA.E7.84.B6

ちなみに私が登った甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根は「日本三大急登」の一つで、
あとの二つは、
烏帽子岳へのブナ立尾根、谷川岳への西黒尾根
ということになっています。

で、この夏
北アルプス三大急登の一つ
笠新道を登って笠ヶ岳、双六岳周辺を歩く計画が熟成しつつあります。
実現すれば、
燕岳・合戦尾根は登っているので、
北ア三大急登は、
烏帽子岳へのブナ立尾根を残すのみとなります。

山行を重ねるごとに新たな目標が現われてきますね。
「山の奥深さ」とでも言うのでしょうか。

話は変わり、確かにキュウリの成長は速いですね!
ミニトマトが色づき始め、楽しみが広がっています。




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