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メンタルチャットでおこるさまざまな非日常

結局

2020-07-07 08:53:20 | メンタルヘルス
仕事が無いのをいいことに 12日間でハードカバー7冊とソフトカバー3冊読んだ。まあ一番多く読んだのは 船曳由美の黒川能だが 都合5回読んだ。まあ4千円近くする上 待ちがいるので2週間しか借りれない・・というのもあったが 5回読んだのは初めてだ。
さて黒川能 amazonの説明によると半世紀前の庄内に、理想郷(ユートピア)はあった――。
月山の麓の黒川村で、500年以上続いてきた、悠久の王祇祭。
“神人相和す”祭りの全貌を、村の内側から初めて克明に、そして、哀惜こめて描き上げた、女性編集者による二度とない感動の記録。
東京オリンピックの喧騒の裏側で、本物の祝祭が行われていた!
■著者より、本書によせて
あれは、幻であったのだろうか――。
1964年、日本中が東京オリンピックに湧き立っていた。
私はグラフ雑誌「太陽」の編集者であったが、自らの神のもとに、老いも若きも一つに会して祭りをしている村を探して、山形の詩人・真壁仁の一篇の詩で「黒川能」を知った。
2月1日、2日、春日神社の御神体「王祇様」を上座・下座の2軒の当屋に迎え、夜を徹して能・狂言を奉納する。
幼童から少年、若者、長老まで、年齢ごとに場と役割がある。
誰もが喜びをもって生き生きとしているその姿に、私は魅せられていった――。
目 次
第1章 1964年東京オリンピックの年、黒川能に出会う
第2章 十一月、黒川村を訪ねる
第3章 十二月から1965年のお正月を迎える
第4章 王祇祭まで一か月・一月三日の「興行」
第5章 一月十七日、春日神社の「十七夜祭」
第6章 豆腐炙りと子供たちの能の稽古
第7章 榊屋敷の神事・原初の風景
第8章 振舞の準備が進み、当屋は神宿に整えられていく
第9章 二月一日、王祇様が春日神社から雪道を当屋に降る
第10章 稚児の「大地踏」、翁の「式三番」
第11章 「暁の使い」登場、明け方まで演能はつづく
第12章 王祇祭二日目、王祇様が春日神社へ還る
第13章 若者たちの尋常事の熱狂が祭りを盛り上げる
第14章 二月四日「解行」・王祇祭は終わり、そしてまたはじまる
第15章 黒川にめぐる季節・冬から春へ
第16章 黒川にめぐる季節・春
第17章 黒川にめぐる季節・春から夏へ
第18章 黒川にめぐる季節・秋
第19章 黒川人の一生を想う
となってる。最初3回ぐらいは ああ月山の麓の村にこんな祭があったのか・・すごいな・・という感じで読んでいたのだが
4回目あたりからなんか違うんじゃないか?と思うようになった。 その間に船曳由美氏の100年前の女の子を読んだので 視点が変わったということか・・まず タイトルは黒川能で春日神社の王祇祭という祭に奉納される神事の能・狂言の記録だと思ってた。一度行ってみたいな・・と思うのはあたしもミーハーだからであろう。でも100年前・・・を読んでから これは1964年当時の黒川村で暮らす人たちの記録なのだ・・と思うように読める。神事の黒川能というのはあくまでも切り口に過ぎない。まあ本自体が王祇祭の始まりから終わりまで克明に記録したものだが 3章~14章までは確かにそうだが 1,2章、15~16章と 重要なのは船曳氏のあとがきである。氏が描きたかったのは黒川村の人たちであって祭りはついで・・ではないか・・と。サブタイトルが全てを物語ってる。黒川能 1964年、黒川村の記憶である。船曳氏にとっては1964年の黒川村が理想郷であって 今の黒川村は忘れ得難い土地であるには変わりはないのだろうが理想郷では無くなってしまったことを嘆いていられるように読める。失われたユートピアである。幸いあたしのユートピアである京都はさほど大きく変貌せず今も昔の面影を残しているのであたしは戻りたいわけだが・・高度成長の中で消えて行った理想郷の記録 それが本書であろうと思う。が とにかく良書である。必読・・と言ってもいいだろう。
コメント
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