写真は「宮大工と歩く奈良の古寺」小川 三夫 聞き書き 塩野米松 文春新書 905円 税別。勉強になった。今すぐこの本を抱えて奈良の古寺に行きたくなった。法隆寺管長の大野玄妙氏の対談部分から1部引いてみよう。
小川 たくさんの人が拝観に見えると思いますが、管長さんとして見てほしいという場 があれば教えてください。
大野 まず南大門をくぐって入っていただいたときの印象ですね。せっかく来ていただいたわけですから、何か違う世界というものを感じていただきたいのです。仏教の知恵の光というものがいつでも人々に対して発揮されている、私達はこれを和光同塵といいますが、そういう光を見つけてほしいのです。光を探し、光を求め、そのために巡礼をし、旅をするものですから、私達はその光が少しでも見つかりやすいような場所を、提供することに努力をしなければいけないと思います。ここの空気、雰囲気を感じて、違う自分の世界を見つけてほしいと思います。その中から仏様の、あるいは菩薩の光を感じとる、そういう旅をしていただきたい。これを真の「観光」と私は言っています。
小川 自分もそれは思いますね。千三百年建物が立ち続けている。いろんな修理があって建っているんですけど、立ち続けている。そのエネルギーとか、木の強さとかいろんなものが、ここでしか味わえないものがある。中門を入ったら、ただ知識で見たり確認するんじゃなくて、中門の柱を抱いて、千三百年前の人の力とか、木の不思議さ、強さを感じ取ってほしいと思いますよ。
一読をお勧めする。そして奈良に行こう。