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山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

国際障害分類試案をへて国際生活機能分類(ICF)へ

2013年07月17日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第41回目。

 国際障害分類の考えが国際障害者年に刺激を受けて、世界中に広まった。
 そういう意味で画期的なことであった。
 その後の事情も含めて、以下において説明している。
      
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

障害(者)観の変遷と古くて新しい課題
 
作成 2012.10.13
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障害(者)観の変遷と国際生活機能分類(ICF)

 国際障害分類の考え方は国際障害者年を契機に、
 世界的な規模で障害(者)観に大きな影響を与えることとなりました。

 そしてこの国際障害分類試案の考え方を
 さらに推し進めて作成されたのが、
 2001(平成13)年5月に世界保健機関(WHO)の第54回総会において
 採択された国際生活機能分類(ICF)です。
 この国際生活機能分類(ICF)の考え方は、
 障害をもつ人も障害をもたない人と同じ「生活者」であるという
 認識を促す意味では画期的であり、
 障害(者)をどう理解するかの指針となる最新のものといえます。
 
【引用終わり】

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 最初の国際障害分類は、医療・教育・社会といった各レベルにおける障がい者にとっての不利な面をいかに改善するかを考えたものである。
 障がい者のマイナス面をとらえた分類であった。

 改訂版の国際生活機能分類は、障がい者における生活機能はどうであるかといったプラス面から捉え直そうしたものである。
 障がい者にとってのプラス面は、いかなるものかを明らかにした。
 まず、「人が生きる」ことを3つのレベルに分類している。
 ①生命レベル=心身機能・身体構造
 ②生活レベル=活動
 ③人生レベル=参加
 さらに、それらに影響を与える環境因子・個人因子を加えた。
 「人が生きる」ことを総合的に捉えようとしている。
 また、①②③を総称して生活機能と呼ぶ。
 画期的なのは、人にはたくさんの能力、プラス面があり、障がい者もそういう視点で捉えている。
 障がい者もできることがたくさんあることを認識することの重要性を指摘している。
(ケー)

障がい(者)観は大きく変化

2013年07月16日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第40回目。

 1980年に国際障害分類試案の発表により、障がいのとらえがらっと変わった。
 その経緯が以下に述べられている。
     
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

障害(者)観の変遷と古くて新しい課題
 
作成 2012.10.13
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障害(者)観の変遷と国際生活機能分類(ICF)

 「障害」といえば、これまでは個人の身体的・精神的な欠陥の問題だ
 とする生物学的な不全や欠損という
 医学レベルの問題として捉えられてきました。
 それは専門的な治療の対象として治癒や改善がみられなければ、
 それは個人の問題であり、
 仕方がないとする見方や考え方であったといってよいでしょう。

 そうした人々の障害(者)観は大きく変化をし、
 現在は、障害者も同じ生活者であるということから、
 人としての“生活の質”や“生活のしづらさ”にも
 目を向けた見方や考え方がなされるようになりました。
 その背景には人権意識の高まりやノーマライゼーション思想の広がりにより、
 また障害をもつ人自身による自立生活運動の影響もあるわけですが、
 そうした変化を促す大きな転機となったのは世界保健機関(WHO)が、
 1980(昭和55)年に障害に関する世界共通の理解と
 科学的なアプローチを可能にすることを目的に
 作成した国際障害分類試案(ICIDH)を発表したことと、
 その翌年1981(昭和56)年の国際障害者年です。
 
【引用終わり】

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 「障害」に対する考えかたは、以前医療による治療が中心であった。
 そして、治療ができないものは個人の問題とみなされてきた
 しかし、医学レベルの治療だけでなく、教育による障がいの改善を図ることの必要も強調されるようになった。
 さらに、社会環境の改善によって、障がい者の生活をより良くできることも主張されるようになった。
 こうした障がい者観の変化が、障がい者も共生できる社会づくりに一歩ずつ近づくことになる。
 こうした考えかたの普及拡大によって、誰もが障がい者がいても違和感のない社会となるのだ。 (ケー)

共生の理念の定着化

2013年07月15日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第39回目。

 人権意識の高まりが、障がい者のとらえ方も大きく変わったことを、次において指摘している。
    
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

障害(者)観の変遷と古くて新しい課題
 
作成 2012.10.13
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 人権意識の高まりとともに、
 ノーマライゼーションの理念や
 障害当事者による自立生活運動などの影響もあって、
 障害のある人もない人も地域で共に暮らすという考え方が
 理念としては定着してきています。
 そして従来のような 「障害」 を
 単に個人の身体的・精神的欠陥の問題だとするとらえ方ではなく、
 生活環境条件や “生活のしづらさ” “生活の質” にも
 目を向けたとらえ方がなされるようになりました。
 
【引用終わり】

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 障がいのある人もない人も、地域で共に生活することの重要性が強調されるようなってきている。
 グループホームといった家庭的雰囲気の中で暮らすことができる方向性が試行される時代になった。
 しかし、そのために必要とする経費が十分確保できない。
 日中活動する仕事の場が十分といえない。
 さらに、ホーム建設に対する地域住民の反対があったりする。
 こうした課題があっても、必要性を地道に訴え課題解決につなげることだ。
 これこそが、共生(インクルージョン)社会の実現に向けた取り組むといえる。 
 (ケー)

福祉サービス充実の根拠

2013年07月14日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第38回目。

 障がいのある人たちが、福祉サービスを受ける権利を有する。
 それは憲法で保障されている。
 それは憲法の次のような条項によるものである。
   
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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福祉サービスの意味を理解する根拠

 憲法第11条「国民の基本的人権の永久不可侵性」
 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられないということ。
 人間は人間以外の何ものでもないわけで、
 人間として生まれたからこそ有する人間としての権利は誰もが有するということです。

 憲法第12条「自由及び権利の保持責任、濫用の禁止、利用責任」
 国民に保障する自由及び権利は、
 国民の不断の努力によって保持し、濫用してはならないし、
 常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うということ。
 自由や権利を保持するには、自分だけの都合ではなく、
 自分以外に対する配慮を要し、
 責任を自覚しなければならないということで、
 「公共の福祉」とは、社会一般に共通の幸福を意味します。

 憲法13条「個人の尊重」
 すべて国民は、個人として尊重され、
 生命、自由及び幸福追求に対する権利は、
 公共の福祉に反しない限り、最大の尊重を必要とするということ。

 憲法第14条「法の下の平等」
 すべて国民は法の下に平等であり、
 人種、信条、性別、社会的身分や門地により、
 政治的、経済的又は社会的関係において差別されないということ。

 憲法第25条「国民の生存権、国の保障義務」
 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有し、
 国は、すべての生活部面について、
 社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上と増進に努めなければならないということ。
 
【引用終わり】

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 以上、憲法で保障する障がい者の権利は、国民の一員として当然のものである。
 憲法第11条は、基本的人権が侵されることのないようにすると規定している。
 憲法第12条は、公共の福祉に寄与することを規定している。
 憲法第13条は、個人の尊重を規定している。
 憲法第14条は、法の下の平等を規定している。
 憲法第25条は、国の保障義務を規定している。
 障がい者は地域で普通の暮らしをすることを望んでいる。
 その実現に向けて福祉サービスの充実を図っている。
 憲法の規定が示すとおり、障がい者のより良い生活づくりを求めていく必要がある。
 (ケー)

障害者自立支援法の廃止

2013年07月13日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第37回目。

 障害者自立支援法は、不運な運命をたどった。
 障害者総合支援法に改定された。
 結局、障害者自立支援法は見切り発車だったため、実態にそぐわないことが露呈してしまった。
 それが致命傷になった。
 以下、その説明である。
   
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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「措置」から「契約」への理念と現実

 しかしこの障害者自立支援法は、
 成立から施行までが性急過ぎて、政省令の告示等も遅れ、
 さらに実際のサービスの内容やサービス提供の仕組みが
 障害者の実態に即していないことなどが問題となり、
 障害当事者や関係団体等による大規模な抗議集会や活動へと発展しました。

 改革という流れの中で法制度の改変があり、
 新たな法律が施行されてきましたが、
 日本の障害者福祉にかかわる施策の現状は、
 国家財政の問題とも関連し、
 理念や改革の趣旨と実際との間にギャップが生じ、混迷が続いています。
 特に、障害者自立支援法の施行は、いろいろな問題を噴出し、
 結局は廃止されることになりました。

 障害者自立支援法の廃止に関する詳細は不明ですが、
 「措置」から「契約」へというのはこのまま進展していくと思います。
 そこには今後の社会福祉法人経営にかかわる大切な課題があると思います。
 その前提となるのが
 「福祉サービスとは何か」 を再確認、再認識することだと思います。
 
【引用終わり】

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 「障害者自立支援法」を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」と改訂された。
 その基本理念は、「日常生活・社会生活の支援が、共生社会を実現するため、社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資する」としている。
 障がいのある人たちが、地域社会で普通の暮らしができることが法に規定された。
 この実現に向けて、日々の取り組みが求められている。
(ケー)

社会福祉事業法が「社会福祉法」に改正

2013年07月12日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第36回目。

 措置制度の弊害を改める社会福祉基礎構造改革が行われ10年が経過した。
 支援費制度という新制度は、導入時から財源確保の問題でつまずいている。
 以下、その経緯の説明である。
   
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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「措置」から「契約」への理念と現実

 従来の福祉基盤制度を見直し、
 措置制度の弊害を改めるという社会福祉基礎構造改革の趣旨を踏まえ、
 社会福祉事業法が「社会福祉法」に改正され、
 利用者本位の契約による福祉サービスの提供の仕組みとして
 2003(平成15)年に制定されたのが「支援費制度」という新しい制度です。

 福祉サービスを利用したい人が
 サービスを提供する事業者との契約によって
 サービスを利用するのに必要な費用を公費で支援するというのが支援費制度です。

 ところが支援費制度のスタートから
 1年も経たないうちにサービスの量も質も不十分なまま
 制度維持のための肝心の支援費の財源確保がむずかしいということから、
 その改革案として厚生労働省は
 「今後の障害者保健施策(改革のグランドデザイン案)」を発表しました。
 これをもとに制定されたのが「障害者自立支援法」です。
 
【引用終わり】

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 以上のように、財源確保の見通しの甘さからつまずいたため、何度も手直しを加えなければならなくなった。
 そのため、福祉施策は大幅な変更が続いている。
 「障害者自立支援法」は、「障害者総合支援法」(平成25年4月1日施行)になった。
 何がどう変わったのか、よい方向になっているのか、あまりわからない。
 じっくり勉強もできないまま振り回されているという印象が強い。
 ただ、わからないからじゃすまされない。
 自ら学習の機会が必要なことは確かだ。
 知らなかったことで、不利になったりすることもあるかもしれない。
 今回の改訂は、難病者にとって朗報である。
 (ケー)

地域における福祉サービス

2013年07月11日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第35回目。

 措置制度は、福祉サービスの公的意味合いを支えるものであった。
 現在の契約による支援費制度になったにしても、福祉という公的要素を忘れてはならない。
 以下、その指摘である。
   
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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行政主導の福祉サービスをめぐる変化と社会福祉基礎構造改革

 福祉サービスの事業は、
 一般の営利目的のサービス業と同じようなわけにはいかないところがあり、
 本来的には行政の責務として果たすべき事業であるわけで、
 そこに社会福祉法人制度の意味があり、
 措置委託制度(措置制度)が創設されたことの意味があり、
 それは福祉を考える上で忘れてはならない重要なことだと思います。
 
【引用終わり】

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 社会福祉法人は措置制度によって今まで維持されてきた。
 利用者本位の契約に変わり、支援費制度が生み出された。
 理念上は合理的な制度である。
 しかし、利用者が満足できるだけの福祉サービスがあることが前提である。
 地域の中にそうした資源が十分あるとはいえない。
 地域間格差を感じる。
 こうした声を一つ一つ拾い上げて、課題解消につなげていくのが育成会の仕事である。
 (ケー)

社会福祉基礎構造改革

2013年07月10日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第34回目。

 社会福祉基礎構造改革により、措置制度から契約制度への大転換が図られた。
 サービス利用者中心の改革がなされた。
 そうした経緯は以下のとおり。
  
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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行政主導の福祉サービスをめぐる変化と社会福祉基礎構造改革

 そこで厚生省(現:厚生労働省)は、
 有識者からなる「社会福祉事業の在り方に関する検討会」を
 1997(平成9)年8月から開催し、
 同年11月に検討会によって
 報告書「社会福祉の基礎構造改革について(主要な論点)」がまとめられました。
 これを受けて、これまでの福祉基盤制度を見直し、
 措置制度の弊害を改めるというのが社会福祉基礎構造改革の考え方です。

 改革の狙いには、戦後続いてきた行政主導の措置による
 福祉サービス提供の仕組みを改め、
 サービス利用者本位の契約による
 サービス提供の仕組みへの転換があるわけですが、
 それとともに社会福祉法人の行う事業についても
 行政措置に沿った事業の「運営」という考え方から脱却し、
 サービスの利用者との契約による事業の「経営」
 という考え方への転換が求められています。

 そして今、営利企業を含む多様な事業主体の福祉サービス事業への参入が促され、
 一般市場と同じような競争原理によって
 サービスの質の向上や量の拡大が期待されています。

 しかし福祉サービスは、一般の市場原理にはなじまない要素が多い。
 特に障害者福祉に関わるサービスは
 障害をもつ人の生活に関わるものであり、
 採算が合わないからやらなくてよいというものではない。
 社会福祉事業については、
 事業の継続性や安定性の確保等の必要性の
 特に高いものを第一種社会福祉事業とし、
 それ以外を第二種社会福祉事業として規定するとともに、
 「社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、
 国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。」
 ということが法律で明確に規定されているのもそのためであるはずです。

【引用終わり】

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 社会福祉基礎構造改革は、今までの措置制度といった温情主義的な型にはまったものからの大転換であった。
 個別に福祉サービスを選んで利用できる制度といった理想主義を掲げたものである。 
 今までのレディメイドで選択の余地がなかったシステムを、個に応じたオーダーメイドのシステムに変えようとするものだ。
 しかし、地域によっては利用できるメニューが不十分といった地域間格差が出ていることは確か。
 今後、こうした課題解消に向けた取り組むこそ、育成会としての仕事である。
 何が必要で、何が問題か、具体的かつ明確なものを関係者に働きかけ続けていくことだ。
 (ケー)

半世紀にわたった措置制度を基盤とする日本の福祉制度

2013年07月09日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第33回目。

 日本の社会福祉制度が整うのは、戦後の混乱期を経てからである。
 以下、その説明である。
  
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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行政主導の福祉サービスをめぐる変化と社会福祉基礎構造改革

 社会福祉に関わる施策は、
 時代の流れや文化の影響を受けるわけですが、
 現在に至る日本の社会福祉施策を概観すれば、
 その基盤制度が整うのは戦後になってからです。
 それは1945(昭和20)年に戦争が終結し、
 その戦後処理という特別な事情を反映したものでした。

 戦争による傷病者や戦災孤児があふれ、
 国民の生活が困窮していた状況下で、
 国の責任として国民を救済することは急務でした。
 したがって行政による「措置」という
 上から下への恩恵的な弱者の救済・保護が施策の中心となったわけです。

 こうした措置制度を基盤とする日本の福祉制度は
 戦後から約半世紀に亘って続くことになりますが、
 戦後から時が経つにつれ、
 人権意識の高まりやノーマライゼーション理念の広がり、
 障害をもつ人自身による自立生活運動の影響や
 社会・経済状況の変化とともに障害(者)観や障害者福祉の考え方も変化し、
 国民の福祉ニーズも多様化し、
 単に弱者の救済や保護のみでなく、
 広く国民一般を対象とする福祉制度が求められるようになりました。

【引用終わり】

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 以上、日本の社会福祉制度は、敗戦後に本格化する。
 それは、戦後の生活困窮化にあって、戦争犠牲者に対する救済施策であった。
 それが半世紀続いた措置制度である。
 今は福祉サービスを自ら選択できる時代になった。
 契約制度、支援費制度が導入された。
 制度改革によって、多くの混乱もある。
 しかし、この制度を大事に育てていく必要がある。
 利用者は賢い選択によってより良いサービスを得る。
 必要とするサービスがなければ、利用者・支援者が協力して行政も巻きこんで、新たなサービスをつくりだす。
 そうしたことが柔軟にできるような時代になってきている。
 まさしく、福祉の規制改革がもたらしたものである。
 (ケー)

社会福祉事業団が果たしてきた役割

2013年07月08日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第32回目。

 地方公共団体が設立した社会福祉事業団は、当時不十分であった社会福祉事業を進展する役目を果たしてきた。
 そうした事情が次に述べられている。
 
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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社会福祉法人と社会福祉事業団

さらに社会福祉法人の設立要件が厳しいこともあり、
 民間の社会福祉法人の設立が期待通りに進まなかったこともあったようです。
 そうしたなかで、昭和40年代に入って
 施設の設置がより一層強く求められるようになったため、
 都道府県や市は自前の社会福祉法人を社会福祉事業団という形で設立し
 施設の設置経営に当たったと考えられます。

 こうした社会福祉事業団を含めた社会福祉法人による
 施設経営が増えるにつれ本来の社会福祉法人の制度が形骸化し、
 いわゆる措置制度の問題点とともに、
 社会福祉事業団は単なる天下り先などという見方もされるようになりました。

 措置制度による福祉サービスの提供は、
 行政主導の措置という形で対象を特定した弱者の救済、保護を主とするもので、
 それは言わば上から下への恩恵的なサービスの提供であり、
 それが一定の基準に沿ったものであるにしても、
 その基準は遵守すべき最低の基準であって、最高基準ではないわけです。

 またサービスを利用する人がその内容を選択したり決定できるわけでなく、
 その内容の良し悪しには関係なくそれに甘んじるよりほかなく、
 さらに安易な施設中心のサービスに偏る弊害や
 社会福祉法人の行う福祉サービスは公の代行事業であるために
 柔軟性に欠けるなどの制約もありました。

 しかし社会福祉法人制度と措置委託制度の仕組みそのものは、
 社会福祉事業を進展させ、
 特に障害児・者施設の整備を図る上では重要な役割を担い、
 戦後からの約半世紀にわたって
 障害児・者の親や家族等の切実な願いを受け止め、
 その期待に応えるための施設運営を維持してきたことは確かです。

【引用終わり】

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 以上、「社会福祉事業団」運営の問題点も指摘している。
 まとめると次のとおり。
 1 天下り先となった
 2 最低基準を満たす恩恵的サービス提供
 3 供給側の都合が優先されるサービス
 4 公の論理による柔軟性に欠ける運営
 
 しかし、かつて不十分であった社会福祉制度定着に果たした役割は大きい。
 先導的な事業運営に努めてきたことは評価されて良い。
 今後利用者のニーズにあった運営をいかに図っていくことができるか。
 (ケー)

社会福祉法人と社会福祉事業団

2013年07月07日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第31回目。

 地方公共団体が設置した福祉施設がある。
 それを運営するのが「社会福祉事業団」である。
 以下に、その設置経緯が述べられている。
 
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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社会福祉法人と社会福祉事業団

 昭和40年代に入って社会福祉法人による福祉施設が急増します。
 特に知的障害を対象とする施設の設置が急増するなかで、
 1971(昭和46)年に、厚生省社会・児童家庭局長連名通知
「社会福祉事業団等の設立及び運営基準について」 が出されました。
 これを通称「46通知」といいます。
 この通知にある社会福祉事業団とは、
 地方公共団体が設置した福祉施設を運営するために、
 地方公共団体によって設立された社会福祉法人のことで、
 「46通知」とはその設立及び運営の基準を示したものです。

 社会福祉法人は、社会福祉事業法の規定に基づく認可を受けて
 設立される民立の法人であるというのが本来ですが、
 社会福祉事業団の場合は、都道府県や市によって作られた
 いわば公立の社会福祉法人ということになります。
 どちらも社会福祉法人ですが、社会福祉事業団の設立根拠は
 社会福祉事業法ではなく、いわゆる「46通知」によるものということになります。

 都道府県や市が設置した施設は、
 都道府県や市が直接経営すればよさそうなものですが、
 都道府県や市が設置して社会福祉事業団が経営する
 福祉施設の形態が増えた理由としては、
 社会福祉事業法の定めに、「社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は
 国、地方公共団体又は社会福祉法人が行うことを原則とする」
 とあることと、社会福祉法人と措置委託制度(措置制度)の仕組みが
 定着していたということがあったからだと思います。

【引用終わり】

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 以上、社会福祉事業団は、地方公共団体によって設立された社会福祉法人である。
 各地方における社会福祉施策の先導的な役割を担ってきた。
 ただ、設立当初と比べて福祉施策も大きく様変わりしてきている。
 それに柔軟に対応できているかが問われる。
 事業団以外の社会福祉法人も増えている。
 それと比較される時代である。
 そうなれば、事業団でなければできない福祉サービスこそ求められている。
 (ケー)

社会福祉法人は公を代行

2013年07月06日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第30回目。

 社会福祉法人は、法的に公の代行機関との位置づけだ。
 しかし、民間の組織で運営されている。
 自治体が公の中味を社会福祉法人に委託する形になっている。
 
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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社会福祉法人と措置委託制度(措置制度)

 社会福祉法人は、法的に公の代行機関として
 位置づけられた法人であるとはいっても民間の組織であり、
 そこに所属する職員は公務員ではない。
 その点で、社会福祉事業の担い手としての
 公務員を簡単に増員できない地方公共団体にとって、
 必要な社会福祉施設を設置経営していく上で
 行政措置として業務を社会福祉法人に委託する方式は都合がよかったといえます。

【引用終わり】

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 社会福祉法人は公の肩代わりをしている。
 障がい者等の社会福祉向上をめざす役割を担っている。
 そのためにも公的資金が融通される。
 社会福祉の向上といった趣旨に則った運営が求められている。 
 利用者にとって満足のいく法人施設運営に努力する義務がある。
 今は福祉サービスが多様化して、利用者のニーズにいかに対応するか問われる時代だ。 利用者がより良いサービスを選択する時代になった。
 待ちの経営では競争に取り残される。
 いかに攻めの経営でサービスをつくりだしていくか。
 人材・施設設備・資金といった制約の中で、より良いサービスづくりに精出すことが必要なのだ。
 利用者も声上げる時代になっている。
 (ケー)

第1種社会福祉事業

2013年07月05日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第29回目。

社会福祉法において、障害者支援施設は第1種社会福祉事業と規定されている。
 以下に、第1種と第2種の違いを記している。
 
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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社会福祉法人と措置委託制度(措置制度)

 社会福祉事業法(現:社会福祉法)の制定により、
 公の支配に属する「社会福祉法人」という民間の特別法人の制度を創設し、
 社会福祉事業については、事業の継続性や
 安定性の確保等の必要性の特に高いものを第一種社会福祉事業とし、
 それ以外を第二種社会福祉事業として規定するとともに、
 「社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、
 国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。」
 ということが明確に規定されました。

 そしてこの社会福祉法人に対して、
 本来的には国家的責務として実施すべき
 福祉事業を法律に基づく行政措置として委託し、
 その事業運営に必要な経費を公的資金から「措置費」として
 投入する仕組みが「措置委託制度(措置制度)」です。

【引用終わり】

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 「社会福祉法」第1章第2条(定義)は次のように規定している。

(定義)第2条 この法律において「社会福祉事業」とは、
 第1種社会福祉事業及び第2種社会福祉事業をいう。
 2 次に掲げる事業を第1種社会福祉事業とする。

 4.障害者の日常生活及び社会生活を
 総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に規定する
 障害者支援施設を経営する事業

 以上のように、障害者支援施設を経営する事業所は、第1種社会福祉事業とされ、「福祉サービス利用者の利益保護」に努めなければならない。

 
(ケー)

昭和26年社会福祉法人制度創設

2013年07月04日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第28回目。

 ブログ開設から1,001日目。

 社会福祉法人制度は、どのような経緯があって制定されたのか。
 それを次で説明している。
 
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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社会福祉法人と措置委託制度(措置制度)

 戦前の社会福祉事業の多くを担っていたのは
 民間の篤志家や慈善事業家といわれた個人的な事業者でした。
 そのため戦前からの社会福祉事業の担い手として
 大きな役割を果たしてきた民間事業の振興と活用を図ることが
 戦後処理・復興のためには必要でした。

 しかし戦前からの民間社会事業は、
 個人や任意団体、民法により規定された
 公益を目的とする法人によって経営されてきたものであり、
 それよりも強力な公共性・公益性を有する事業を推進する必要があった。
 また憲法第89条には、「公の支配に属しない慈善、
 教育若しくは博愛の事業に対し、公金を支出し、
 又はその利用に供してはならない」という定めがあり、
 民間の事業に対して公費を投入するわけにはいかないという事情もあった。
 そこで特別に公費で民間事業を助成する方策として厚生省(現在の厚生労働省)は、
 公の支配に属し社会福祉事業を行うことを目的とする
 特別法人の制度を新たに設けることを考えました。

 そして1951(昭和26)年に、社会福祉事業に関する共通的な基盤整備を図り、
 国及び地方公共団体と民間とが一体となって
 社会福祉事業に取り組むための社会福祉事業法(現在の社会福祉法)を制定し、
 この社会福祉事業法の制定により、民法で規定された公益を目的とする
 公益法人よりも公益性の強い特別法人として
 社会福祉事業を行うことを目的に創設されたのが「社会福祉法人」の制度です。

【引用終わり】

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 社会福祉法人には社会福祉事業推進という使命がある。
 公益性が高いということで、多くの公金が入っている。
 そうした公金を有効に使って事業の展開をなす責務がある。
 知的障がいのある人たちの生活を保障する上で、社会福祉法人の役割は大きい。
 経済状況の厳しい中で、経営基盤の安定を図ることも重要な課題である。
 そうした制約を踏まえて知的障がい者が満足できる生活を実現できる法人経営がのぞまれる。
 (ケー)

社会福祉法人制度

2013年07月02日 | 福祉用語
 浅井浩氏の以下のホームページに掲載している「福祉」にかかる論述を、ずっと連続して引用している。
 その第27回目。

 社会福祉法人制度とはどんな経緯により確立したのか、そのへんの事情が下記に述べてある。
 戦前の民間の篤志家による慈善事業が大きな役割を果たしてきたことがわかる。
 
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【引用始め】
   
http://www.asai-hiroshi.jp/newpage9.html

社会福祉法人制度と障害者福祉の施策
 
作成 2011.2.20/更新 2012.10.7

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 日本の本格的な社会福祉制度の基盤が整うのは戦後になってからです。
 それは戦後処理・復興を図るためにも急を要するところから始まりました。

 戦前の社会福祉事業の多くを担っていたのは
 民間の篤志家や慈善事業家といわれた個人的な事業者でした。
 そのため戦前からの社会福祉事業の担い手として
 大きな役割を果たしてきた民間事業の振興と活用を図ることが
 戦後処理・復興のためには必要でした。

 そこで本来的には行政の責務として実施すべき福祉事業を民間に委託し、
 その事業の運営に必要な経費を公的に助成する制度が
 社会福祉法人制度であり、措置委託制度(措置制度)です。

 昭和26年に制定された「社会福祉事業法(現:社会福祉法)」によって
 社会福祉事業の内容及び目的が規定されるとともに、
 社会福祉法人は、公的責務であるところの法に規定された
 社会福祉事業を担う公の代行機関として明確に位置づけられて現在に至っています。

 社会福祉法人とは、社会福祉事業を目的とする
 民間の非営利の特別法人ですが、
 社会福祉法人と措置制度の仕組みが戦後日本の社会福祉行政部門において
 果たしてきた役割とその意義は大きいと思います。

【引用終わり】

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 社会福祉事業に関する法ができたのは昭和26年。
 戦後の混乱から立ち直ろうとしていた時期である。
 制定から62年が経過した。
 人間でいえば、還暦が過ぎた。
 社会に定着した制度になっている。
 ただ、法人組織内でおきる不祥事がマスコミで取り上げられることもある。
 しかし、おおむね信頼の置ける制度であることは間違いない。
 国の財政のひっ迫化はこの制度に影響している。
 今後、将来に向けての安定した制度設計が必要である。 
 (ケー)