〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(49)

2016年02月16日 16時26分20秒 | 言語学
語が重要であればあるほど、ますますその意味は曖昧になるようであるということ、これである。もっとも当てにならない語が常に基調語となる。一切がその使用に基づいて廻転する語、すなわち中枢語となる。何となれば、神秘的で解説を許さず、宿命であり、逆運であり、あるいは明晰と相互の理解への努力に対して投げられた詛呪とも言うべき思惟の法則によって、われわれはもっとも緊要な場所に、もっとも誤解されやすい言葉を使用するからである。しかし、もしいっそう精密に注意するならば、どうしてそうなるかは容易に知ることができる。われわれが問題を知的に考究しようとする際には、われわれは手をつけうる処、すなわち当該問題のもっとも容易な部分からはじめる。そして、これらの部分を取り扱うにあたっては、困難な部分を隠し、あるいは跨ぎ越す言葉を使用する。われわれは、これらの語に何の困難も存在しないかのごとく、あたかも万人がつねに同じ解釈をくだすと決っているかのごとくに、これを取り扱う。そして、その研究がようやく進むにつれて、これらの言葉こそ、誰もはっきりそうとそうと気づかないが、人によりどのようにでも解釈できる言葉であることを知るのである。どんな研究でも、その初期の段階で、これらの言葉が有用なのは、種々の解釈が可能であるということ、すなわち実際は種々異った働きをしているのに同一の働きをしているかのごとくにみえる、この能力によるのである。…・
「意味の意味」オグデン/リチャーズ共著 石橋幸太郎訳 新泉社 1967年
                                富翁
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