〈川俳会〉ブログ

俳句を愛する人、この指とまれ。
四季の変遷を俳句で楽しんでいます。「吟行」もしていますよ。

拾い読み備忘録(39)

2016年02月06日 19時31分08秒 | 
 ……・
「殺害してからが問題なのです」と
イギリスの犯罪学者が語っている―
死体の始末
これくらい厄介なものはない
殺害そのもの これはいたって簡単だが
死骸の処分ですな
死ぬと重量は倍加する その物質から
血は流れる それに匂いと分泌物
腐敗して ゴムまりのようにふくれあがる
二十キロの重しくらいじゃ
水面に浮びあがってきますよ
土を掘るにしたって
並大抵のことじゃありません
焼く これがいちばん足がつきやすい
灰というものは「永遠」の分子でしてね 燃料を計算し
 たことがありますが
ある将軍などは
たったひとりの男を殺すために
大戦争を仕掛けて死人の山をつくったくらいです
……・
(「ぼくは夢を見なくなった」より)
「死語」田村隆一著 河出書房新社 昭和51年
                                    富翁
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拾い読み備忘録(38)

2016年02月06日 00時36分15秒 | 言語学
英語の語彙は文章語の面からみると、大部分ラテン語に基づいている。一つはラテン語から直接借入したもの、もう一つは知識階級の使うフランス語の語形を経由してきたものである。これに対して、教養のさほど高くない人々が日常用いる語彙は古期英語、いわゆるアングロ・サクソン語起源であり、また言語の文法的関係などを表わす屈折変化、数詞、代名詞、前置詞、接続詞もこのアングロ・サクソン語からきている。アングロ・サクソン語と並んで、これと同族言語の関係にある北欧諸言語から借入された語もかなりの数にのぼるが、これらの北欧系借入語は、当然ながらイングランド北部および東部の諸方言に最も顕著にみられる。英語の日用基本語彙の第三位を占めるものは、古期フランス語からの借入語である。古期フランス語というのは、ローマ軍の兵士やローマからの移住者が用いた話しことばのラテン語、いわゆる俗ラテン語(Vulgar Latin)から分化・発達した言語である。英語が他に類を見ないほど豊かな表現力をもつ言語となったのは、今のべたような語彙の複合的性格によっている。
「ことばのロマンス 英語の語源」ウィークリー著 寺澤芳雄・出渕博訳 岩波文庫 1987年
                         富翁
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