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郡山・乗用車同士が出合い頭事故で被害軽乗用が横転火災で4名焼死

2023-01-04 | 事故と事件
郡山・乗用車同士が出合い頭事故で被害軽乗用が横転火災で4名焼死
 この事故だが、郊外の信号のない交差路での出合い頭事故であり、この出合い頭事故と云うのは最も多い事故形態だ。そして、乗用車(被害車両は軽乗用)同士の出合い頭事故で、1台が横転までする事故は珍しくもない。しかし、横転し炎上しつつ、当該車の乗員が脱出も救出もされぬまま4名全員が死亡していると云う点では特異な事故と云えるだろう。つまり、炎上の仕方が、正に急激であり、脱出も救出も出来ないとは、おそらく燃料の大量流出が事故直後に生じていた可能性を強く意識せねばならないだろう。

 当該事故の報道を下記に3つ転載するが、1番目の報で、「加害乗用車の運転者を自動車運転処罰法違反の疑いで現行犯逮捕した。男は容疑を認めているという」のだが、加害者は相手車の4名全員が死亡することまでを予見して認めている訳もなかろう。もし、担当検事が罪状求刑で、加害者の罪状を炎上の上焼死するに至らしめたなどと求刑したと仮定し、やる気のない国選弁護人と同じく早く結審して終わりにしたい一心の裁判官は、求刑通り4名も死に至らしめて情状酌量の余地なしとして最高刑となる禁錮7年の判決となるのかもしれない。



 ここで、もし私がこの事件の加害運転者の対物および対人調査に関わっていたと仮定して、どう行動し、どう判断して行くべきかを思考しつつ考えて見たい。

 まず、現状保存という視点で、双方事故現車および事故現場の状況を実際に検分し記録する。特に被害現車(軽乗用)については、火災の急速に燃え上がった要因として、燃料タンクの破壊もしくは給油口からタンクまでの配管と他の損傷変形物体との干渉についての観察を入念に行い記録する。

 警察では実況見分調書を作成するが、警察での調査が完了し検察への書類送検(送致と呼ぶ)すると、予め申し込んでおく必用があるが、実況見分調書の閲覧が可能となる。なお、コピー(謄写)は、弁護士には認めている場合もある様だが通常許されないないが、カメラで接写なりすることは可能だ。これを絶体入手する。もしくは、弁護士に依頼する。なお、合わせて供述調書や死因の解剖所見書なりも閲覧できれば当然行う。今回の事故だが、当然死亡診断書はある訳だが、解剖所見書があるか、日本の場合極少ないと云うのが、欧州諸国に比べ、人権保護意識が薄い些少でもあることがある。何れにしても、現状、報道写真などから焼死もしくは肺熱傷などによる火災起因の死亡原因の要素が大きいだろう。


 以上の情報入手をした上で本件事故の意見書をまとめるのだが、過失割合については、判例タイムスに該当例がある優先道路通行車との非優先路通行車との事故で、特段の双方に重過失(速度や飲酒)がなければ90:10(90が非優先路車)の事故だろう。問題は、火災の原因で、燃料タンクもしくはその接続部から、大量のガソリン燃料が流出する事故に至った原因であろう。このことは、冒頭でも記した通りこの様な出合い頭事故は比較的多い事故だが、火災になりその延焼速度が、搭乗者の脱出や救出者の手の施しようがないほど急速だったことが、車両の設計上止むを得ない程度のものと見なせるのかどうかという視点でのもので、対する相手はPLとしての車両製作者となる。

 今回、この記事を記すに際し、Netで収集した資料から、今次被害軽乗用車はスズキワゴンR・4WD仕様車であるが、その車両下部燃料タンク部付近の写真を添付しておくが、燃料タンク位置は、車両左後部のリヤアクスル前方の位置だ。加害乗用車とと被害軽自動車の衝突部位は、加害乗用車の左前部と被害軽自動車の左後部(おそらく左後輪付近)だと想定できるが、横倒しになった鎮火直後と思われる写真からは、リヤアクスルの右方向への移動が観察できる。もし、この移動により、該当車の左トレーリングアームが燃料タンクに当たりタンクが切断しているとか、燃料注入ホースの断裂が生じたと判断できれば、これは同様事故で類似の車両火災が起きえる構造上の問題として提訴しうる問題となり得ると云うのが私の問題意識だ。ちなみに、米国例を想像すると、弁護士次第のところもあるのだが、陪審員を頷かせて、巨額のPL賠償金を勝ち取る姿が脳裏をかすめるところだ。

 なお、車両の型式認定に際し、衝突事故で容易に燃料が漏れない構造であることとの保安基準は当然あるが、実際のところ、後方より車両を一定速で追突させて、一定時間に燃料が漏れない程度の試験しかしていないことが知られている。

補足
 報道の3例目に「コリジョン何たら」というものがあるが、これはまったく失投した意見というのが以下の私の意見となる。
 この報道だが、誰から仕入れたのか「コリジョンコース現象」なる言葉を使うが、元来この現象を発見しつつ解説したのは数十年前のJARI(日本自動車研究所)だが、左右の見通しの良い交差路を前提にして成立するものだ。つまり、今回の道路は、優先路を走行の横転炎上した被害車両と、非優先路から進行の加害車両の事故だが、加害者車両から見て、右側となる被害車側は比較的に見通し良いが、その逆方向である左側は見通し悪い。
 従って、非優先路側は優線路通行の進行妨害をしない前提で交差路に進入しなければならないが、まったく減速もせず当該交差路に進入していると想定できる事故であり、「コリンジョン何たら」など無関係で、加害運転者は自車が非優先路という認識が欠落していたと云えるだろう。
 加害者側の道路幅員はセンターラインこそないが、優先道路側と倍ほどの差もなく、もしかすると加害者は自車が優先路のつもりで当該交差路を通過しようとしていた可能性すら想像できる。なお、「コリジョン何たら」は警察が話したとは考え難く、ロクでもないエセ交通事故鑑定人を自称する輩からの入れ知恵だろう。

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車衝突し1台炎上 車内から4遺体 過失運転致傷の疑いで男逮捕 福島県郡山市
福島民報 2023/01/03 09:44
 2日午後8時10分ごろ、福島県郡山市大平町の市道交差点で、乗用車と軽乗用車が出会い頭に衝突し、軽乗用車が横転、炎上した。軽乗用車の車内から運転者を含め4人の遺体が見つかり、郡山署が身元の確認を急いでいる。
 同署は乗用車を運転していた福島市の会社員の男を自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕した。男は容疑を認めているという。同署は容疑を過失運転致死への切り替えも視野に捜査を進めている。
 同署によると、現場は十字路交差点で、信号機や一時停止の標識はなく、乗用車が北から南、軽乗用車が西から東に直進していた。軽乗用車側の道路が優先道路だったという。
 郡山地方広域消防本部によると、火は約20分後には消し止められたが、軽乗用車の車体は黒く焦げており、全焼とみられる。現場はJR郡山駅から東に約5㌔。
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死亡の4人は家族か 福島県郡山市の交通事故 漏れたガソリンに引火か
福島民報 2023/01/04 09:05
 福島県郡山市大平町の市道交差点で乗用車と軽乗用車が衝突し、炎上した軽自動車に乗っていた4人が死亡した事故で、4人は郡山市内に住んでいる家族とみられる。3日、関係者への取材で分かった。
 関係者によると、軽乗用車は市内の30代女性の所有で、女性と40代の夫、夫婦の子どもである20代男性と10代女性の4人と連絡が取れなくなっているという。
 郡山署は、軽乗用車から漏れたガソリンに引火した可能性があるとみて、事故原因を調べている。また、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で現行犯逮捕した福島市泉字長滝前、会社員の男の容疑者(25)を、4日午前にも容疑を同法違反(過失運転致死)容疑に切り替えて送検する方針。
 同署によると、容疑者の男の乗用車は軽乗用車の左後方の側面に衝突した。軽乗用車は反対車線の歩道側に進行方向と逆向きに横転した。助手席側が下になり、車の下部を交差点内に向けた斜めの状態だったという。現場は信号機や一時停止の標識はなく、軽乗用車側が優先道路だった。
 同署は遺体を司法解剖し、身元や詳しい死因を調べる。容疑者の男を立ち会わせた実況見分もする。
 現場はJR郡山駅から東南へ約4㌔の農地や住宅が点在する地点。3日は花を手向ける近隣住民の姿が見られた。60代男性は「正月にこんな悲しい事故が起きるなんて」と沈痛な面持ちで手を合わせていた。
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コリジョンコース現象が原因か 車衝突炎上4人死亡
テレビ朝日系(ANN) 1/4(水) 12:30配信
 福島県郡山市で4人が死亡した事故で、車同士が止まっているように錯覚する現象が事故の原因になった可能性があることが分かりました。
 2日夜、郡山市の交差点で乗用車に衝突された軽乗用車が炎上し、4人が死亡した事故で、乗用車を運転していた高橋俊容疑者(25)が過失運転致死の疑いで4日午前、送検されました。
 警察によりますと、現場にブレーキ痕がないことなどから、見通しの良い交差点で同じくらいの速度で走る車同士が互いに止まっているように錯覚する、コリジョンコース現象が起きて衝突した可能性があるということです。
 また、死亡した4人は、市内の30代女性とその家族3人とみられ、警察が身元の確認を進めています。


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