私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

ダイハツSTホイール取付ナット締め付け不良リコール

2020-03-12 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 本日(3/12)に報じられたダイハツのリコール(対象台数47千件弱)だが、内容を見て驚いた。ステアリングメインシャフトにステアリングホイールを取付締め付けているナットの締め付け不良が生じており、不具合件数3件が生じているというものだ。

 該当ナットの締結部は、メインシャフトがテーパー形状かつセレーションが設けられ、万が一にも空転することない構造になされている。しかし、該当ナットの締め付けが甘く、ガタが生じる様だと、セレーションの刻みに剪断力が働き、何れは空転する状態に陥ることだろう。旧来の一定のセンシティブな運転者なら、操舵時のガタツキを感知し、これは異常だと自分で調べるなり自動車屋へ持ち込むだろうけど、現在の家電と同様の視点でしか眺めないユーザー(運送業のプロドラにも居るだろう)では、何ら意識せず使用し続け、最終破壊の時を迎え、回避が不能で重大事故が生じる恐れがある内容となろう。

 しかし、拙人思うに、今回の締め付け不良(締め付けトルク不足)が生じたのは具体的にはどのような要因だったのだろうかと云うことが気に掛かる。つまり、昨今の車両組み立てライン(艤装行程)では、インストルメントパネル、ステアリングホイール付きコラム、空調ユニットやメインワイヤーリングハーネスなどを、予めサプライヤーもしくはメーカープラントサブラインで組み立て済みのユニット状態で、車体に組み付けている。従って、今回問題となるナットの締め付けは、最終組立ラインで締め付けられるものでなく、しかもホーンパットなりエアバッグ機構が付くがため、最終完成検査でも発見するとは不可能となる。

 リコール対象の車台番号と製造期間のリストからは、昨年2月から7月に掛けての5ヶ月間となっている。この期間において、何処かのサプライヤーラインにおいて、締め付け工具のリミットトルクのセットが不適正だとか、そもそも工具自体の不良に気付かず使用し続けていたのか・・・。

 世の超重要製造物(具体例としては原子炉とかジェットエンジンなど)では、完成状態では点検困難な部位は、中間検査として半完成状態で検査を繰り返しつつ、製造を継続することまでが行われている様子を聞く。しかし、その製造台数だとかコスト要件から、中間検査までを取り入れ厳密化するなんてことは困難なことだろう。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。