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ダイハツフューエルポンプリコール余録

2023-05-27 | コラム
ダイハツフューエルポンプリコール余録
 昨日付け(5/26)でダイハツは、2019/5-2019/9までの製造期間の35型式車、総計14万7千台のフューエルポンプリコールを届け出た。これは、既に2019年9月頃に始まったトヨタ、ホンダ、マツダ他一連車種とまったく同一原因のデンソー製(現在は愛三工業へ譲渡移転)のフューエルポンプのポンプ核心部となるポンプインペラの樹脂(ポリフェニレンスルフィド:PPS)の成形時の温度管理が不十分で、燃料浸漬中で膨潤することで、インペラが外周のケーシングと接触し回転がロックしてしまうというものらしい。

 そもそも、2021年にリコール公示されたトヨタ車での同リコールの場合、製造期間が2013年ー2019年までの製造車でリコールを生じたのだが、製造後5年程も経てリコールになると云うのは、製造後の品質保証の管理手法に問題があるのではないかという意見がある。つまり、もっと少数台数の不具合が認知された段階で、十分な品質検査をしていれば、これ程の長期間におよぶ対象期間とならず、リコール台数も少なくて済んだろうという意見だ。

 ところで、2021年トヨタリコール公示段階で、デンソーは納品サプライヤーとして、今回のダイハツの対象も把握していたはずだろうに、何故それから2年後にリコール公示するのか。考えられるのは、リコール対象件数があまりに膨大で、対応改善部品の製造が間に合わず、かといってリコール公示したら、一定期間後にリコール完了済の報告を監督官庁に求められるので、あえてリコール公示を遅らせたこも想像できるのではないか。こうなると、リコール制度は、車両の安全性として事故とか火災と云った、人の人災に絡む不具合を、認知したら速やかに報知し、なるべき早期の回収改善を図るという理念であろうから、企業モラルとしてどうなのかという問題と絡む様に想像できる。

 想定も含むが、エアバッグで世界でリコール対象台数が1千万台(運転席と助手席もあるので個)とも云われるタカタは倒産し、リコールで回収交換されているのは他のサプライヤ製のものの様だ。タカタエアバッグの場合は、チッ素ガス発生剤の物質そのものに物性としての不適合が内在していることや、同社のエアバッグが同社の売上に占める占有率が極めて高かったので倒産する他なかった。一方、今回のデンソーフューエルポンプも、ほぼ世界で1千万台程度になるんだろうが、そもそもデンソーにとってフューエルポンプの売上ごときは微々たるもので経営にはいささかも問題はない。しかし、デンソー経営人は、元々外注制作させていたのであろう愛三工業にフューエルポンプ事業を譲渡し、デンソーブランドの毀損を逃れたとも取れる。




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