私の思いと技術的覚え書き

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ボルト締結のトルク管理は絶対か?

2020-04-27 | 技術系情報
 世の整備屋とか、ちょっと物知りであると思い上がった考え方の中には、ボルト締結はトルクレンチでの厳格な締め付けを守れば絶対見たいな考えを持っている者がいる。凡庸を自覚する拙人であるが、その様な者をいささか斜めに眺めて来たのだが、ここで最近図書館で借りだして読んだ本から、極めて有益な資料として記録した中から重要部分を抜粋して紹介しつつ、将来登場するであろう夢のボルトへの想像を記してみたい。

 今回の本の題名など奥付は写真1であるが、以下の通りである。
  自動車用ガソリンエンジンの設計の要諦  著者:石川巌 出版社:(株)山海堂

 この著者は存知あげないが、出版社の山海堂は惜しくも2007年に倒産したが、過去から極めて有益な工学系技術書を出版していた企業である。

 さて、本論だが、ボルトの締結はネジを締め込むことにより軸力を生み出し結合する機械的要素部品だ。(写真2)

 その締め付けトルクと軸力の関係は写真3の様に摩擦係数の値により大きく変化する。図では摩擦係数(μ)が0~0.35の間で、それぞれ、締め付けトルクと軸力の関係が変化することを示している。

 ここで摩擦力とは、ネジや座金フランジの滑りとか締め付ける母材の剛性により変化すると想定されるのだろう。

 従って、近年の重要ボルトでは、トルク法でなく、角度法(回転角度)締付け法へ変わって来たのはご承知のところだろう。この角度法には軸力を弾性域の中(降伏点以下)で管理するものと、塑性域(降伏点以上)で管理するものがある。何れも、軸力のバラツキを単なるトルク法より少ない範囲に収束させる工法だ。

 ここからは、拙人の勝手な空想話しだ。軸力のバラツキが摩擦力で生じるのなら、軸力を直接検出できるセンサーを埋め込んでおくことができれば、部品組み立て時の軸力管理も容易だし、使用中の何らかの軸力変位も検出できたとすれば、極めて信頼性の高い機構となるであろう。

 そんなことを思いながら、Net検索すると、写真4の「ピエゾ式軸力検出の試み」なる研究論文などがある。つまり、ピエゾに限らず何らかの歪みセンサーをボルト軸内にセットできれば、軸力を検出できるだろうと云うことだ。できうるなら、イモビ検出でキーにセットされたトランスポンダと同様に、配線レスで検出できれば、ボルトセットアップ時だけでなく、使用中の連続軸力検出が可能となれば極めて有益だろう。但し、課題はコストであることは容易に想像ができる。





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