私の思いと技術的覚え書き

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アルミ材へ多用への疑問

2015-04-05 | 車両修理関連
 最近は走る曲がる止まるというクルマの基本以外を除外して、車体を大きく、過剰装備が盛り沢山というクルマが増えていると感じます。そんな中、切削加工も困難な程硬い超高張力鋼板やアルミ材もしくはマグネシウム材が使用される様になってきているのご存じのところです。ところで、私見ではありますが、ボルト系のフタ物パーツのアルミ材は特別の問題は感じませんが、骨格部位へのアルミ材の採用は、修復という局面において困難を生じるもので、否定的な意見を持ちます。

 写真はエリーゼですが、アルミ押し出し(引き抜き)材が多用され、エポキシ系の接着剤(写真の赤色部位、他青色もあり)およびリベットで接合されています。タイヤに大きな入力を受け、各サスアームが引き千切られる様な衝突では、アーム取付部のアルミ骨格材も引きちぎれるということがままあることでしょう。一般のクルマでは、アルミ製のサスペンション・サブフレームが曲がるケースがありますが、部品費はそれなりに高価ですが、ボルト結合なので交換も容易なものです。

 それと、オールアルミボデーや一部の部分アルミ骨格車において、各サスアームの取り付け部位(以下ピボット部位と表現)だけが、ダイキャスト材を使用しているという場合が結構見られます。このダイキャスト材ですが、許容応力を越えるとクラックが生じますし、修理ということには馴染まない部材です。ピボット部位を狙い通りの寸法精度で作り、肉厚の自由度が高く、ジオメトリーと強度の最適値を追求出来るということが理由なのでしょう。R35でもフロントストラットタワー部のみアルミダイキャスト製で、サイドフレーム等と接着剤とリベットで接合されています。タワーにはアッパーアーム用ビボットも付きますので、鋼板製ですと1部3枚合わせのパートパーツのプレス鋼板の重ね合わせとなるのを、ダイキャスト材の肉厚コントロールで、一体部品を製造しているのでしょう。但し、メー-カーの部品供給はタワー部単体では出さず、サイドフレームとタワーが接合された状態でのみ供給されるということの様です。

 BMWの5シリーズ(E60)では、ダッシュパネル前をすべてアルミ製として、接着剤とリベットで接合する手法で登場しました。聞くところによると、BMWの板金修理の認定店になるには、このリベット接合工具やその他認定工具、使用塗料や塗装設備などを含め結構多額の投資が必用となるそうです。しかし、E60が登場してから既に10年は経ますが、アルミ接合用のリベット工具は一度も使ったことがないという工場もあるやに聞きます。それは、そこまでのダメージ車もあるのでしょうが、見積段階で修理はなされないという実態が現実の様です。なお、ついでに現行の5シリーズはF10にFMCされていますが、プラットフォームは7シリーズ(F01)を流用しており、相も変わらず前部のアルミ骨格を踏襲している様です。


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