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弁護士特約を受任拒否する弁護士話

2022-02-28 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
弁護士特約を受任拒否する弁護士話
 筆者は、過去に損保調査員としての実務を20年を超えて従事してきた。その中で、個別損保の顧問と称する弁護士(自社や中には対峙する相手方損保の弁護士)と触れ合って来たが、この弁護士という職種だが、端的に云って、その能力、正義感、社会的使命への理解など、月とスッポン、平均すればとてもじゃないが信頼するに値する人物は希だと思い続けて来た。それは何故かと云えば、弁護士報酬の基本は成功報酬と云うもので、相手の要求から減額出来た額の20%程度が報酬となるもので、訴額という相手の要求額が小さい案件程、やる気のなさを露骨に表す弁護士の何たる多さに呆れて来たからと云えるだろう。

 それと、損保の顧問弁護士となったところで、顧問料そのものは年間10万かそこらの低額なもので、後は損保から受ける個別案件に関わる成功報酬に弁護士報酬は関わる訳だが、物損事故など訴額自体が少額であるし、金しか頭になく、損保以外に仕事のない弁護士以外は、損保の顧問弁護士をやりたがる者は少ないのが現状なのだ。つまり、優秀な弁護士は、そもそも損保の顧問弁護士にならないし、今回の記事にある弁護士特約の案件を受けたがらない者が多いのも頷ける話しだ。

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自動車保険、弁護士が受けたくない損保を実名暴露「アクサ、SBI、ソニーはお断り」
FLASH 2/28(月) 6:00配信
 突然、事故に遭う。自分に過失はないはずなのに、加害者側の提示してきた賠償金は雀の涙……。そんなとき、保険を使って無料で弁護士に相談できるのが「弁護士特約」だ。

「いまやほとんどの自動車保険につけることが可能です。自分が事故の被害者になり加害者側に賠償を請求する場合や、互いに過失のある交通事故で過失割合に納得できない場合、弁護士に相談します。その際の相談料や着手金など、弁護士費用を最高で300万円まで負担してくれる特約です。年額2000円程度のオプションなので、契約者は年々増加しています」(業界紙記者)

 法律のプロに実質無料で任せられるなら、これほど心強いものはない。ところが「一部の保険会社の案件はお断わりしています」と明かす人物がいる。年間30件以上の “弁護士特約案件” を受任するという弁護士・X氏だ。

「具体的には、アクサ損保さん、SBI損保さん、ソニー損保さんですね。実際に何件もお断わりしています」

 そもそも、弁護士特約を利用する際は、保険会社に弁護士を紹介してもらう場合と、自分で弁護士を探す場合の2つがある。そして後者の場合、弁護士に支払われる報酬は、事件がすべて解決した後に各保険会社が定めた基準に従って算定されるため、事前に弁護士にはその額がわからない。弁護士が仕事を “お断わりする” というのは後者の場合だ。

「正直、この3社は弁護士報酬が安いんです。特に、少額の物損事故の場合、弁護士が赤字になる場合もあります。腕が立つ人気の弁護士ほどこうした “安い” 損保からの案件は避けるため、仕事がない独立したての弁護士などが受任することになります」

 弁護士特約が使われた場合、損保側が弁護士に支払う報酬には、日弁連が定めた「LAC基準」と呼ばれる基準が存在し、法曹界では最低限度の目安として扱われている。

「LAC基準には、2つの料金体系があります。ひとつは、着手金と報酬金を合算するシステム。もうひとつはタイムチャージと呼ばれる時間制報酬システム。前者の場合は、まず最低着手金として10万円いただきます。そして報酬金は、少額事故の場合は『経済的利益』の16%です。

『経済的利益』とは、たとえば加害者側が20万円の賠償金しか提示してこなかった場合に私が弁護士として活動をして30万円にできたとすると『10万円を勝ち取った』といえますが、この10万円が『経済的利益』になります。

 この16%なので1万6000円が報酬金になります。着手金とあわせ税抜き11万6000円が総合的な報酬です」

 手紙一通ですむ案件なら十分な報酬だが、実際には被害者への聞き取りや、場合によっては事故現場の検証など、膨大な手間暇がかかる。

「その場合はタイムチャージで報酬を計算します。1時間2万円が基準額とされているので、先ほどの例でいえば、6時間以上かかればタイムチャージのほうが “得” になるんです。何千万円の高級車を壊されたとか、高額な案件なら前者でもいいですが、低額であればあるほどタイムチャージが必要です」

 だが、前出の保険会社のなかでもアクサ損保と、SBI損保では、タイムチャージが設定されていない。

「そうなると、お受けできませんよ。それに、たんなる料金設定の問題だけじゃないんです。アクサ損保はタイムチャージがないだけですが、SBI損保やソニー損保は経済的利益の設定額まで値切ろうとしてきて揉めることがあります。担当者にもよるとは思うのですが、弁護士仲間のあいだで、よくない評価です」

 一方、逆に弁護士への支払いが充実していると評判なのは、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、チューリッヒ保険だという。

 実際、三井住友と、チューリッヒはタイムチャージを認めており、東京海上日動は経済的利益が125万円以下の少額事故でも、最低報酬額は20万円と定められている。着手金10万円と合わせれば30万円の報酬が約束されているかたちだ。

 月々せっせと納めている保険料。いざ事故が起きた際、せっかく特約を活用して弁護士に相談しても、断わられたり、実力のない弁護士に依頼することになっては元も子もない。

 だが、こうした考え方に異を唱える弁護士もいる。佐々木好一弁護士はこう話す。

「確かに東京海上日動は支払いがいいしトラブルもないです。でも、そもそも少額の物損事故は利益というより、新たな顧客を開拓するとか、困っている人を助けるという意味で依頼を受ける弁護士がほとんどです。それに、アクサはそのぶん保険料が安いともいえます。結局総合的に判断するしかないと思います」

 弁護士から名指しされた3社は、批判をどう見ているのか。ソニー損保は「事故の内容や金額の高低にかかわらずLAC基準に準拠しており、これにより業務運営に支障を来すようなことにはなっていない」と回答。アクサ損保も「社の基準がLAC基準より一概に低いという認識はない」と答えた。なおSBI損保は、期日までに返答がなかった。

 弁護士から高評価の東京海上日動は「充実しているかは当社が評価することではありませんが、当社は全案件において報酬規程に沿って、経済的利益の額に応じて適切に保険金をお支払いしています」と戸惑っている様子だった。

 ぜひ、保険見直しの参考にしてほしい。朝日新聞 週刊FLASH 2022年3月8日号


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