私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

FCV「MIRAI」の組立から

2019-09-30 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 トヨタ初の燃料電池車(FCV)たる「MIRAI」だが、この生産工程の様子が Youtube動画にあることを知り、感心を持って眺めた。感心を持つといってもFCカー自体にそれ程の感心はない。その実験的少量生産の様子から、ほぼ整備工場レベルの設備機器作業で行われており、現代量産車を流れ作業でなくやろうとすると、これだけの手間暇を要するということをだ。それと、クルマの組み付け順序が判り易く理解できて良い。

①およそ生産ラインと呼ぶに値しない設備。ベルトコンベアそのものがない。
②車体のリフトアップは整備工場が使う2柱リフトだ。
③前後ウインドガラスの取り付けでも、接着材の塗布から、ガラスの位置合わせセットまで人がやっている。
④タクト毎にチェックシートに記入し、生産時のミスを防止している。

 おそらく、航空機などに近い生産環境なのではないだろうか? もっとも、この意見はトヨタを揶揄しているつもりはない。まったく新しいエネルギー源を使うと云うことで、あくまで実験的な生産環境としてのものだろう。

【Toyota・MIRAI(トヨタ・ミライ)】-FCV製造現場- 2018/08/16
https://www.youtube.com/watch?v=J09b9KLozXI





追記
 FCVもEVもクルマとしては排気ガスを出さないという点ではエコカーだと云われているのだが・・・。
 しっかし、電気にしても水素にしても、エネルギー源として直ちに比較するのは大きな間違いだろう。石油、石炭、天然ガスにしても、採掘するにはエネルギーを要するのだが、電気や水素を作るのに、それ自体が持つエネルギーの少なくとも3倍のエネルギーを投入して出来るものだと云うことを明確に意識していなければならないだろう。つまり、原子力にしても火力にしても、熱出力(それ自体のエネルギー量)の3割ほどしか電気は出来ないのだ。水素も、石油とか水から作るとか種々の方法がある様だが、少なくとも3倍のエネルギーを使う必要があるという。ちなみに、太陽電池や風力も、発電システムを作るのに多大なエネルギーを要し、出来た後のエネルギーは必要なく取り出せるが、様々な自然条件で安定せず、何れは寿命を迎えてしまう。この辺りの論理は、武田邦彦氏が腹に落ちる説明をしてくれている。が、そんな3倍以上のエネルギーを投入するのなら、石油などの天然資源を直接動力に変えた方が余程効率(現在30%~40%オーバーまである)が良いだろうという話しを知れば心は冷める。現代の宣伝は、どこか狂っていやしないだろうか・・・。
 ただ、水素が必要なのは、別途酸素が必要だが、非大気依存推進という原子力に変わる軍事用潜水艦ぐらいしかメリットないんじゃないだろうか・・・。

追記2
トヨタ MIRAI の構造及び整備技術 (文部科学省委託事業)pdf
http://jisedai-jidosha.com/images/2contents/07/hyougo08.9.pdf


 Netより上記pdf解説を見つけたので紹介してみる。愚人はFCVなりが車両火災になった場合、どのようなことになるのか気がかりに思える。充填圧88MPaにもなるという高圧の純水素タンクだからして、もし爆発でもしたら大事になるだろうということだ。
 上記の資料によれば、水素タンクには溶栓弁110℃が装着されていて、それを越えると水素が放出されるとこと。栓の位置もあるだろうが、加温により水素放出が始まれば、一気に火勢は強まるだろうが爆発はしないことを実証実験していることだろう。
 なお、水素タンクは、初回4年、以降2年毎に容器検査を受ける必要があるとのことと、15年経過が使用期限だということだ。タンクは、GFRP+CFRP+樹脂ライナーの3層構造でコストも要する高額部品だろう。実質的に15年使用が限界となるのか・・・。

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