自動車検査登録事務所でもポスターを見ましたが、大型バスの床下の腐蝕により既に何件かの事故が生じているそうです。また、大型4社では、それぞれ自車両の点検と補修要領などを出している様です。何れにしても、高速走行中にサスペンションアームが脱落でもしたら、転覆事故もしくは路外逸脱などにより、あの新潟での事故を上回る死傷者を生み出しかねない大惨事が起きる可能性があると思えます。
国土交通省プレスリリース H26/12/2付け
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/press/date/1412/cs_p141202.pdf
国土交通省の事例(2件)は、いずれもフロントサスペンションおよびステアリング関係の部品が腐蝕が原因で脱落し、ハンドル操作が不能となり事故を生じたというものです。
また、メーカーのリコールなどでは、タイロッドの中空内部の腐蝕減肉のことなども記されています。これらは、保守点検で点検しようもない部位であり、製造時の表面処理(防錆)の不足となるのでしょう。
これらの要因を考察してみますと以下の様な事柄が想定されます。
・車両単価の高額なバスは、従来より20年以上という長期間が使用されて来ています。
・20年くらい前より、トラックの様に前部から後部までのフレームを持たない、いわゆるスケルトンボデーという車体構造となり、主な上下曲げ荷重は側面パネルに負担させ、補助的な補強材として比較的細い角パイプでトラス状の骨組みを行っています。
・上記の車体構造の変更と合わせ、フロントサスペンションを、従来のリジットサス(Iビームアクスル)からダブルウッシュボーン式独立懸架+ラック&ピニオンステアリングが使用される。
・リヤサスは、デフ一体のリジットサスに変わりはないが、エアサスペンション+トルクロッドなどの補助アームから構成される。
以上のサスペンション関係は、従来のフレーム付き構造であれば、各サスペンションの構成要素は、肉厚のフレームに直付けされていたが、独立懸架では、そうはできないという宿命を持っています。
バスの車体下部が腐蝕し易いという理由ですが、一つは乗用車のカチオン電着塗装が当初はなされていなかったと想像される。また、水捌けの悪い部位や走行時の石跳ね等条件の悪い部位は、本来なら亜鉛メッキ鋼板が乗用車では使用されるが、ほとんど使用されていないと思われる。また、袋状部や水捌けの悪い部位の防錆ワックスや飛び石など悪条件部位へのチッピング塗装も不足していたものと想像が出来ることです。
なお、冬季寒冷地の場合、融雪剤(塩化カルシウム)が散布されるが、車体の大きさの割りには車高が低くユーザーサイドで十分な洗浄を実施するのは困難だという現実も想定されるのです。
整備関係者は、これらのことを十分意識し、定型的な車検整備でなく点検整備を行う必用があるでしょう。また、車両保険事故を調査担当者は、通例的な運転操作の不適当だと思い込むのではなく、車両自体に問題はなかったのかという視点での調査が求められるのでしょう。
国土交通省プレスリリース H26/12/2付け
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/press/date/1412/cs_p141202.pdf
国土交通省の事例(2件)は、いずれもフロントサスペンションおよびステアリング関係の部品が腐蝕が原因で脱落し、ハンドル操作が不能となり事故を生じたというものです。
また、メーカーのリコールなどでは、タイロッドの中空内部の腐蝕減肉のことなども記されています。これらは、保守点検で点検しようもない部位であり、製造時の表面処理(防錆)の不足となるのでしょう。
これらの要因を考察してみますと以下の様な事柄が想定されます。
・車両単価の高額なバスは、従来より20年以上という長期間が使用されて来ています。
・20年くらい前より、トラックの様に前部から後部までのフレームを持たない、いわゆるスケルトンボデーという車体構造となり、主な上下曲げ荷重は側面パネルに負担させ、補助的な補強材として比較的細い角パイプでトラス状の骨組みを行っています。
・上記の車体構造の変更と合わせ、フロントサスペンションを、従来のリジットサス(Iビームアクスル)からダブルウッシュボーン式独立懸架+ラック&ピニオンステアリングが使用される。
・リヤサスは、デフ一体のリジットサスに変わりはないが、エアサスペンション+トルクロッドなどの補助アームから構成される。
以上のサスペンション関係は、従来のフレーム付き構造であれば、各サスペンションの構成要素は、肉厚のフレームに直付けされていたが、独立懸架では、そうはできないという宿命を持っています。
バスの車体下部が腐蝕し易いという理由ですが、一つは乗用車のカチオン電着塗装が当初はなされていなかったと想像される。また、水捌けの悪い部位や走行時の石跳ね等条件の悪い部位は、本来なら亜鉛メッキ鋼板が乗用車では使用されるが、ほとんど使用されていないと思われる。また、袋状部や水捌けの悪い部位の防錆ワックスや飛び石など悪条件部位へのチッピング塗装も不足していたものと想像が出来ることです。
なお、冬季寒冷地の場合、融雪剤(塩化カルシウム)が散布されるが、車体の大きさの割りには車高が低くユーザーサイドで十分な洗浄を実施するのは困難だという現実も想定されるのです。
整備関係者は、これらのことを十分意識し、定型的な車検整備でなく点検整備を行う必用があるでしょう。また、車両保険事故を調査担当者は、通例的な運転操作の不適当だと思い込むのではなく、車両自体に問題はなかったのかという視点での調査が求められるのでしょう。