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アジャスターと云う業務についての間違った説明とか理解

2022-09-08 | コラム
アジャスターと云う業務についての間違った説明とか理解
 Youtubeは良く見るメディアの一つであるが、あくまで個人の情報発信であり、その発信レベルにより、甚だその信憑性に疑義を生じるコンテンツも多い。今回見たのは、以下のコンテンツだが、どうやら損保関係に10年ばかり在籍した関係者の様だが、元アジャスターではないようだが、アジャスターに対して過大な理想としての能力を述べていると感じるので私見として訂正しておきたい。

【車好きは必見⁉︎】自動車保険のアジャスターを徹底解説! 2020/12/14(約8分)
https://www.youtube.com/watch?v=qgM2tW9t-dM

 元アジャスター(勤続25年ほど)として記す。アジャスターの使命について、損保本来の理念としては、事故が生じた場合の損害額が公平妥当でアルトが求められると云うことがある。これは、突き詰めて云えば、保険会社側にも修理する工場もしくは事故を生じた保険契約者のどちらにも組みしない、公正妥当なものであるということが理想としてあるということがあるのだ。これは何故かと云えば、そもそも損害保険とは、善良な契約者の加入を前提として、不慮に生じた事故に備え、いざという時高額な保険金を適正に払うことにより、無用の保険金支払を防止し、適正な保険料の負担を契約者に求めると云う公平性から求められるという論理からあるものだ。

 昨今あまり聞かれなくなったが、そん外保険会社の損害額査定部門では、アジャスターに限らず、「査定正義」という言葉がある。つまり、事故が生じた時、過小でも過大でもない適正な保険金を認定すると云う思想で、ましてや偽装事故や保険金詐欺など、保険金詐取を目的とした犯罪を除外すると云うものだ。

 今回の説明で明らかに間違ってる説明として以下を記しておきたい。アジャスターの資格には技術アジャスターと特殊車アジャスターの2種があるが、特殊車は大型トラックやバスなどの特殊車両を査定する資格と説明しているが、明らかに間違いだ。ここで云う特殊車とは、主にクレーン車とか建設用装置を備えた特殊車両のことを指し、大型トラックやバスなどは通常の車両の区分に入るものである。

 それと、アジャスターの資格制度がそれなりの難易度があるという説明で、2級アジャスターの資格はさも難しくその数も少ないかの印象を与える説明がなされているが、私の理解として異なると判じている。現在、アジャスターの総数は約8千名程度と想定されるが、これはやく20年前からほとんど増えていない。その中でアジャスターの技能ランク別占有率を比べると、最上位の2級資格者が最も多いと云うことになる。これは2級が最上位資格であり、これ以上の資格がないことから、最終的にここで打ち止めされることと、そもそも先に述べたようにアジャスター総数が増えておらず、定年退職者の補充程度の新人しか採用されていない実態からその様なことになるのである。

 なお、アジャスターの資格制度がさもハイレベルで、自動車の復元修理に関する知識を網羅しているかの説明があるが、元実務担当者としては甚だ疑問な実態であると認識している。そもそもアジャスター資格制度は、国家資格でもなく損保協会が管理している民間資格であり、2級アジャスター資格を取得してから10年を超えて何ら研修などの補充教育を受けていない者も多いのである。そうなると、属人的な自助努力にもよるが、例え2級アジャスター資格を持っているからと云え、古い知識しか知ることもなく、日頃の業務でも何ら新しい技術とかに感心を持たず業務を行っている者が多数いるのが実態であるのだ。

 それと、アジャスターの業務だが、説明にある様に損害額の妥当性と事故の技術的因果関係の調査とされていることはアジャスター規則で記されていることなのだが、特に後者の技術的因果関係とは端的に云えば保険金詐欺に類する不正事案の排除のことを指すのだが、このことを頭から忘れ去ったアジャスターのなんたる多さかということに呆れ果て嘆いているのが実態なのだ。つまり、これらアジャスターは自他共に見積屋であり、損害保険の使命である不正事案の排除という面で欠落している者が多数占めているのである。


#アジャスターの業務と能力 #単なる見積屋はアジャスターではない


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