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ゴードンムーア亡くなる

2023-03-26 | コラム
ゴードンムーア亡くなる
 米intel社は1668年7月創業で、創業者はロバート・ノイスとゴードン・ムーアだが、そのゴードンムーアが3/24に94で亡くなったと報じられている。

 そもそも、世界初のマイクロプロセッサー(MPU)はintel4004(i4004)で1971年に発表されている。そもそもこの開発に日本の電卓企業ビジコン社の技術者である嶋正利氏が関わっていたことは有名だ。つまり、ビジコンでは年々機能を増加して行く電卓機能に、専用LSIというハードウェアでなく、プログラム可能なMPUを置き換えることで、プログラムにより昨日アップを図れるMPUの開発をintelに依頼し、開発されたのがi4004だったということだ。

 i4004は4bitMPU、16ピン(端子)DIP型のMPUでクロック周波数750kHz、内蔵トランジスタ数2250で、LSI内部の回路線幅(プロセスルール)は10μm(0.01m)というものだった。

 それから現在までMPUは大幅に進化を遂げたが、最新のintel Corei9ha2017年発売時仕様で、プロセスルール14nm(nmはμmの1/1000)、内蔵トランジスタ数131億個、外部接続ピン数はソケットLGA2066、LGA1151等の数値が外部接続ピン数に相当する。なお。クロック数は要求負荷により可変動作するが最大5.8GHz程度となっている。

 ところで、下記のムーアしの訃報にある、彼が提唱したムーアの法則であるが、毎年内蔵トランジスタ数が2倍になると予測し、後年2年毎に2倍になると変更された。MPUの駆動クロック数の増加とも相まって、MPUコア単体での演算速度も倍々になると予測されたが、結局はプロセスルールは、2023年現在で2nmクラスまで開発されているが、微細化に伴うリーク電流による損失などもあり、頭打ちになって来ている現状がある。
 ただし、マルチコアとか、2D回路から3D回路等の多層化により、マルチコア数とスレッド数は増加しつつあり、シングルコア、シングルスレッド演算では、数百倍から1千倍程度の向上の頭打ちがだが、プログラム処理によっては、演算速度は桁違いに速くなり、数万倍以上の性能を発揮できる。ただし、マルチスレッド処理を行う場合は、それに適したアリゴリズム処理を記述したソフトウェアに限られ、画僧のコード&デコードとか3Dベクトル処理とかに限られ、およそワードとかオフィスアプリでは関係しない。

 ちなみに、MPUでもモニター描画を専門に担うGPUと呼ぶ画像専用MPUでは、マルチコア数が数千とか桁違いに多く、一つ一つは単純モニター座標演算を同時並行に処理することで、高速描画処理を達成している。


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半導体の進化の速さ、半世紀前に予言 「ムーアの法則」提唱者死去
朝日新聞デジタル 3/25(土) 16:00配信
 米インテルを一代で世界的な半導体メーカーに育て上げた同社の共同創業者、ゴードン・ムーアさんが24日、亡くなった。スマートフォンから戦闘機にまで使われる半導体の発展に尽力し、米グーグルやアップルなどが台頭する基礎をつくった。半導体の微細化が進む速度を「ムーアの法則」として半世紀前に予言するなど、先見の明を持つ技術者でもあった。
 電気の流れを制御するトランジスタなどを一枚のチップにまとめる集積回路(IC)が発明された1950年代、ムーアさんはエンジニアとして半導体業界に足を踏み入れた。65年、業界誌に書いた一つの論文が、ムーアさんの名前を歴史に刻むことになる。
 ムーアさんは、チップに詰め込めるトランジスタの数が、技術的な進歩によって一定のペースで増えていくことに着目。チップに積載できるトランジスタの数は毎年倍増(後に2年で倍増と修正)し、コンピューターの処理能力も飛躍的に向上するという「ムーアの法則」を提唱した。
 1枚のチップにトランジスタを多く積載できれば、そのチップを組み込む電化製品の性能を高めたり、消費エネルギーを削減したりできる。半導体業界は半世紀にわたり、ムーアの法則を技術的・経営的なベンチマークにしながら、指の爪ほどの大きさのチップに、数百億個のトランジスタを載せられるまでになった。
 インテルによると、同社では40年以上にわたって、半導体の微細化はムーアの法則の通りに進んだ。その正確さをメトロノームにたとえる歴史家もいたという。だが、インテルもムーアさんも論文を載せた業界誌を保管していなかった。2005年、同社が保存状態のよい掲載紙を1万ドル(約130万円)で買い取ると告知し、英国人夫婦から原本を入手したという。
 ムーアさんが、インテルを盟友のロバート・ノイスさんと創業したのは1968年。集積回路の発明者の一人で、チップをつくるうえでの理論に通じるノイスさんとは対照的に、ムーアさんは地道に手を動かす技術者。長い時間をかけて部材を調整し、ノイスさんのアイデアを実現させ、インテルの技術の基礎を築いた。


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