私の思いと技術的覚え書き

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神秘に包まれた潜水艦への関心

2012-06-26 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 映画の中で潜水艦が舞台となるもの、例えば「レッドオクトーバーを追え」等は好きな作品と感じます。それは、潜水艦自体も謎に満ち、その任務も秘密に包まれ、それが好奇心を生み出すからかもしれません。例えば、空中を飛翔する戦闘機であれば露呈せざるをえない機体の形状も、潜水艦では艦首の形状だとか、スクリューの形状は機密扱いとなっている様です。映画の中などでは、それらしい表現はされていますが、果たして本当はどんな形状なのか、最新型潜水艦の機密には関心が持たれてしまうのです。その様な中、最近関心深く読んだ軍事評論書「潜水艦vs潜水艦」(リチャード・コンプトンホール[江畑謙介訳])では、その機密のほんの極一部でしょうが理解を深めたところです。

 同書では、戦後その付加価値を高めてきた潜水艦について、次の様な文意として解説しています。
 東西冷戦の終焉と共に、覇権国の地下サイロに格納されたICBM(大陸間弾道ミサイル)は一定削減がなされて来た。しかし、原子力潜水艦に搭載された核弾道ミサイル(SLBM)は、増加の傾向にある。これは、潜水艦の核弾頭ミサイルの発射が、衛星により直ちに捉えられるものの、果たして発射国が何処の国か判らないという隠密性がある一方、ショートレンジのSLBMであっても、秘密裏に目的地に近づくことが潜水艦なら可能となる。そして、万が一のハルマゲドン(最終戦争)の際も、海中深く活動する潜水艦であれば、その生存性は高い。一方、その超強力な破壊力を持つ核弾道ミサイル搭載潜水艦を狙う目的を持って、攻撃型原子力潜水艦が生まれて来たのだ。

 潜水艦といえば、キコーン、キコーンと音波を発信してその反射波を捉えるアクティブソナーと、ただ静かに聴音するパッシブソナーがあります。アクティブソナーの連続的な発信は音源位置を補足されてしまうという欠点があり、一般的には使用が制限されます。しかし、、覇権国の静音化への技術開発により、今やパッシブソナーだけの探知は限界に近づきつつあり、アクティブソナーの積極的な活用の必要性が高まっている様です。

 対抗する潜水艦側でも、艦表面には吸音タイル(厚さ10cm程度)が張り巡らされ、反射音を極力少なくしますが、これは航空戦闘機におけるステルス技術と類似のことです。また、近年アクティブソナーの発信周波数を単純な音源でなく、環境音に混ぜ込んでしまい、発見され難くするという高度な技術も可能となって来ている様です。

 覇権国の潜水艦は多くが原子力を動力としています。その最大速力とか最大潜行深度は極秘扱いですが、最大性能の艦では、速力35ノット(約64km/h)、最大潜行深度1,000mになるものがある様です。また、艦の外殻は通常鋼板で作られますが、それをチタンで作ったものまでがあるそうです。こうして覇権国の原子力潜水艦は、高性能を求め金に糸目を付けない建造費となっている様です。その具体的なものまでは記されていませんが、9万トンの空母で乗員9千人と9千トンの原子力潜水艦で乗員100名では、原子力潜水艦の建造費は空母の半分にもなろうというから驚くべきことです。

 本では記しています、現在(執筆は約20年前)、世界の海には300程度の潜水艦と6万名程度の男達が暗黒の深海の中で、しのぎを削りあっていると。そんな潜水艦同士が人知れず海中でドッグファイトを展開し、殺し合いの結果としてどちらかの艦が沈没する様な映画の中での様な事態がもし起きたとしても、発表されることはないのでしょう。



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