私の思いと技術的覚え書き

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クルマの安全神話の誤解

2011-11-14 | 技術系情報
 クルマ好きではあるけど、余りエンジニアリングとしてのクルマにクルマに詳しくない方と話していると、クルマの安全性を誤解をしていることに気付かされることがままあります。

 例えば、ベンツやボルボは衝突しても、車両損傷(潰れの量)が小さく安全であるかのような意見を聞くものです。

 これら意見に対しては、もし、衝突時の潰れ量を最小にしたクルマ、例えば戦車の様な厚板鋼板でクルマを作ったとしたら、消灯時の潰れ量は少ないが、内部に登場した人員に生じる加速度(減速度)は極端に高くなり危険を増す。また、内部人員の加速度重視で、潰れ剛性を低下させ過ぎると、車体の変形量が大きすぎて、乗員の生存空間が保てないという問題が生じる。この相反する要素をバランス良く設計しようと努力しているのが現在のクルマであるのだと説明しているのです。

 ですから、ベンツだから衝突しても大きく凹まないなんていう考え方は間違っているのです。なお、車両の前後ボデーの潰れ剛性をある程度低下させ、衝突時に積極的に潰すことにより客室空間の変形量を減少させ、加速度も小さくるというクラッシャブルボデーとして安全思想を世界で初採用したのは、ベンツ社でした。この辺りがベンツ社の安全神話の起源となっているのでしょう。

 なお、クルマの潰れ剛性を模式的に表す場合、サスペンションと同様にスプリングとダンパー(ダッシュポット)で表されます。この場合、大きさ乗用車は必然的にクッションストロークも長く取れ、小さなクルマでは有効なクッションストロークの確保が困難であり、小さなクルマ程堅いスプリングと高減衰力のダッシュポット、つまり高い潰れ剛性が必用になるのです。



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