ビッグモーターほんとに変わる? 新会社「ウィカーズ」不正の焼け野原からの出発 国交省幹部「期待している」
5/31(金) 16:12配信 乗りものニュース
まずは信頼を取り戻し、民間車検場の申請を目指す
“街路樹問題”もあったビッグモーターは新会社、ウィカーズへ移行した。2023年7月(中島みなみ撮影)。
あのビッグモーターを買収し、新会社を立ち上げた「ウィカーズ」の田中慎二郎社長が国土交通省物流・自動車局長と面談しました。約20分の意見交換後、囲み取材に応じた田中社長は何度も「企業風土改革」を口にしました。
【え、変わった…?】ビッグモーターのウェブサイトは今(画像)
2024年5月29日午後、「ウィカーズ」の田中慎二朗社長、山内 務副社長、伊藤忠商事の真木正寿執行役員が国土交通省に姿を現しました。自動車整備工場や自動車検査員の監査を行う立場の物流・自動車局の鶴田浩久局長、久保田秀暢次長、多田善隆自動車整備課らと会い、発足約1か月の進捗を伝えました。
約20分の面談後、取材に応じた田中社長は、こう話しました。
「(国交省には)新生ウィカーズとして期待しているとおっしゃっていただいて、我々もその期待に応えるべく一生懸命、組織風土改革、法令順守含めて頑張ってまいりたいということを申し上げる内容になりました」
ウィカーズは旧ビッグモーターとは真逆の「お客様第一」主義を掲げていますが、同社は子会社を含むすべての事業を継承しており、経営トップが新しくなることですべてが変わるのか、という厳しい見方をされています。この約1か月での重点についても、同じワードを繰り返しました。
「組織風土改革と法令遵守。これを会社の末端まで浸透するように、研修ですとか(田中社長からの)メッセージとか、そういう形で図ってまいります。(これを徹底しないと)また起こってしまうというか、せっかく良くなっていても、また崩れてしまう」
囲み取材に同席した合六 渉経営部長が補足します。
「新体制において技術・研修本部を設けて、新しいルールはこの本部が現場に落とし込む。それが守られているかを、言葉はきついですが内部監査、インターナルオーディットを行う体制を敷きました」
今年5月1日に発足したウィカーズですが、旧ビッグモーターの違法行為が問われ、自動車整備工場の指定(民間車検場)を取り消された状態が続いています。ほぼ車両の売買しかできない状態です。取り消された工場が顧客から車検業務を引き受けた場合は、ユーザー車検と同じように全国運輸支局の自動車登録検査事務所に持ち込まなければなりません。同社は将来的に、再び指定を申請する意向です。
「ただそれも一朝一夕ではできない。基本的に悪いところがあって取り消されております。改善報告書も出しております。その改善報告がちゃんと実行されて、我々自身が国交省さんに再度お願いできるという状態になったら適宜取得を目指したいと思っております」(田中社長)
夏までに全店舗面談、秋には改革プラン公表
国交省側(左)とウィカーズ側(右)の面談は約20分間続いた(中島みなみ撮影)。
「始まったばっかりでそこまで多くの方に会えていませんけども、皆さんプライドを持っておられて、もう一度新体制のもとに頑張りたいと。そういう方々の話を聞くと、何としても改革をやり遂げて社員の皆さん、社員の家族の皆さんが胸を張れる会社にしていきたいという思いを強くしています」(田中社長)
田中社長は就任以来、1度に3人ほどの少人数で、現場とのオンライン面談を重ねています。
「250店舗をすぐに回れないし、時間がかかってしまうのでZoomを利用しています。ただし大人数のZoomだと浸透度合いが低いので、今日は店長さん3人とか、明日は工場長さん3人とか、それをもう毎日やっていく形で、3か月程度で全店舗の店長さん工場長さんとは、最低でもZoomで1回じかにお話したという形をやりたいんです。実は今日これから帰ってからもそうなんです」(同)
法令順守に関しては、社員全員に対してコンプライアンスビデオを毎週異なるテーマで送り、意識改革を促しています。
「基本的に我々の会社の状態っていうのは組織風土改革、何回も言って申し訳ないのですが、それと法令順守をやってから、再びお客様に信頼されて支持される会社になると思ってます」(同)
ウィカーズは新正会社としての改革プランを、秋に予定しています。その評価はまだ先です。
国交省物流・自動車局の鶴田局長は、ウィカーズの田中社長へ次のように話しました。
「法令順守、社員教育を徹底されることで何よりまずユーザーの信頼を得て、この業界の発展にも貢献される。これを私としましても、心から期待をしております。先ほど社長から強い決意の言葉をいただきました。国交省としましても御社の生まれ変わった姿をみせていただくことを心から期待しております。ぜひ今後ご尽力をよろしくお願いいたします」
クルマとともに生きるすべての人々とWEでつながり、中古車のよりよい未来と、よりよい世界をつくることに貢献したい――というウィカーズ。伊藤忠グループの手がける自動車整備工場の再生も、今後の行方が気になります。中島みなみ(記者)
5/31(金) 16:12配信 乗りものニュース
まずは信頼を取り戻し、民間車検場の申請を目指す
“街路樹問題”もあったビッグモーターは新会社、ウィカーズへ移行した。2023年7月(中島みなみ撮影)。
あのビッグモーターを買収し、新会社を立ち上げた「ウィカーズ」の田中慎二郎社長が国土交通省物流・自動車局長と面談しました。約20分の意見交換後、囲み取材に応じた田中社長は何度も「企業風土改革」を口にしました。
【え、変わった…?】ビッグモーターのウェブサイトは今(画像)
2024年5月29日午後、「ウィカーズ」の田中慎二朗社長、山内 務副社長、伊藤忠商事の真木正寿執行役員が国土交通省に姿を現しました。自動車整備工場や自動車検査員の監査を行う立場の物流・自動車局の鶴田浩久局長、久保田秀暢次長、多田善隆自動車整備課らと会い、発足約1か月の進捗を伝えました。
約20分の面談後、取材に応じた田中社長は、こう話しました。
「(国交省には)新生ウィカーズとして期待しているとおっしゃっていただいて、我々もその期待に応えるべく一生懸命、組織風土改革、法令順守含めて頑張ってまいりたいということを申し上げる内容になりました」
ウィカーズは旧ビッグモーターとは真逆の「お客様第一」主義を掲げていますが、同社は子会社を含むすべての事業を継承しており、経営トップが新しくなることですべてが変わるのか、という厳しい見方をされています。この約1か月での重点についても、同じワードを繰り返しました。
「組織風土改革と法令遵守。これを会社の末端まで浸透するように、研修ですとか(田中社長からの)メッセージとか、そういう形で図ってまいります。(これを徹底しないと)また起こってしまうというか、せっかく良くなっていても、また崩れてしまう」
囲み取材に同席した合六 渉経営部長が補足します。
「新体制において技術・研修本部を設けて、新しいルールはこの本部が現場に落とし込む。それが守られているかを、言葉はきついですが内部監査、インターナルオーディットを行う体制を敷きました」
今年5月1日に発足したウィカーズですが、旧ビッグモーターの違法行為が問われ、自動車整備工場の指定(民間車検場)を取り消された状態が続いています。ほぼ車両の売買しかできない状態です。取り消された工場が顧客から車検業務を引き受けた場合は、ユーザー車検と同じように全国運輸支局の自動車登録検査事務所に持ち込まなければなりません。同社は将来的に、再び指定を申請する意向です。
「ただそれも一朝一夕ではできない。基本的に悪いところがあって取り消されております。改善報告書も出しております。その改善報告がちゃんと実行されて、我々自身が国交省さんに再度お願いできるという状態になったら適宜取得を目指したいと思っております」(田中社長)
夏までに全店舗面談、秋には改革プラン公表
国交省側(左)とウィカーズ側(右)の面談は約20分間続いた(中島みなみ撮影)。
「始まったばっかりでそこまで多くの方に会えていませんけども、皆さんプライドを持っておられて、もう一度新体制のもとに頑張りたいと。そういう方々の話を聞くと、何としても改革をやり遂げて社員の皆さん、社員の家族の皆さんが胸を張れる会社にしていきたいという思いを強くしています」(田中社長)
田中社長は就任以来、1度に3人ほどの少人数で、現場とのオンライン面談を重ねています。
「250店舗をすぐに回れないし、時間がかかってしまうのでZoomを利用しています。ただし大人数のZoomだと浸透度合いが低いので、今日は店長さん3人とか、明日は工場長さん3人とか、それをもう毎日やっていく形で、3か月程度で全店舗の店長さん工場長さんとは、最低でもZoomで1回じかにお話したという形をやりたいんです。実は今日これから帰ってからもそうなんです」(同)
法令順守に関しては、社員全員に対してコンプライアンスビデオを毎週異なるテーマで送り、意識改革を促しています。
「基本的に我々の会社の状態っていうのは組織風土改革、何回も言って申し訳ないのですが、それと法令順守をやってから、再びお客様に信頼されて支持される会社になると思ってます」(同)
ウィカーズは新正会社としての改革プランを、秋に予定しています。その評価はまだ先です。
国交省物流・自動車局の鶴田局長は、ウィカーズの田中社長へ次のように話しました。
「法令順守、社員教育を徹底されることで何よりまずユーザーの信頼を得て、この業界の発展にも貢献される。これを私としましても、心から期待をしております。先ほど社長から強い決意の言葉をいただきました。国交省としましても御社の生まれ変わった姿をみせていただくことを心から期待しております。ぜひ今後ご尽力をよろしくお願いいたします」
クルマとともに生きるすべての人々とWEでつながり、中古車のよりよい未来と、よりよい世界をつくることに貢献したい――というウィカーズ。伊藤忠グループの手がける自動車整備工場の再生も、今後の行方が気になります。中島みなみ(記者)