私の思いと技術的覚え書き

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定期点検整備と分解整備のこと

2017-02-11 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 知り合いの若い者から、マイカーの定期点検ステッカー(丸いもの)を会社でチェックされ、定期点検切れてるから実施しろと注意を受けたとのことだった。細かいとこまで見て、小うるさい会社だなと思うと共に、そんな丸ステッカーは、そもそも法令で貼付が義務付けられたものじゃないと説明するも、会社に云えないと抜かす。まったく、現代風潮を表す如く、ヘタレなことだと思うのだ。そんな意味を込め、定期点検と関わる分解整備について、改めて意味を説明してみる。

 定期点検は道路運送車両法(以下法と記す)で、クルマの車種毎、定められた間隔で行わなければならないことになっている。一般の乗用車だと昔は6ヶ月と12ヶ月があったが現在は12ヶ月点検のみで、その翌年が24ヶ月点検(車検)ということになる。これら点検は、法の定めによれば「使用者」が行わなければならないとなっている。つまり、クルマを運転している者が行うと定めているのだが、点検の中には場合によれば「分解整備」に該当する内容となる場合があったり(ほとんどないが)、そもそも点検するスキルがない等の場合は、整備工場へ委託できることになっている。なお、法の定めに、検査標章(車検期限の四角ステッカー)の規定はあるが、丸ステッカーのことはない。

 それでは、丸ステッカーは何処が発行しているのかということだが、発行は定期点検(車検を含む)を行う認証もしくは指定で区分される整備工場、いわゆる分解整備事業者だ。なお、分解整備事業者は何処から丸ステッカーを入手しているかといえば、各地にある整備振興会なる組織体からなのだ。この丸ステッカーは、定期点検の確実な実施のためとして、国土交通省と整備振興会との打ち合わせにより行われているのだが、なんか不透明感といったものを感じさせるところもある。

 以上記した通り、定期点検は使用者自ら行うことができ、丸ステッカーを貼付する必用は必ずしもないことを、知らぬ方は認識しておきたい。なお、定期点検を実施した場合は、同記録簿(NETで幾らでも入手可)を記入し保存することが定められている。

 ここで、先に記した「分解整備」のことに話を移す。法では、クルマのいわゆる安全に関わる部分の分解を行った場合は、国で行う検査を受けなければならないとしている。なお、先に記した分解整備事業者は、検査主任者もしくは検査員を専任することで、国の検査をパスできる規定がなされている。それでは、どの様な作業が分解整備に該当するかだが、詳しくは写真の内容で知って欲しいが、制動装置なんかはかなり広範囲(ほとんど全ていってよいだろう)が分解整備に該当してくる。例えば、ディスクブレーキパットを交換するには、キャリパーを外す必用があるので、これは分解整備に該当する。一方、エンジンだがエンジン本体を脱着する作業は分解整備だが、それ以外は何やっても分解整備には該当しないことが判る。サスペンション(走行装置および鑑賞装置)だが、ストラットを除くとかコイルバネおよびトーションバースプリングを除くとか記してあり、なんか不整合だなと思わないだろうか。これらカッコ書きは昔はなかった内容が追記されているのだ。そう、時は80年代だと思うが、日米貿易摩擦が頂点に達した頃だろう。外国製ハーダーサスペンションキットの輸入を阻む非関税障壁だと追記されたのだ。という訳で、自分で車高調キットに組み替えても、分解整備に該当しないことになる。但し、ブレーキ、ステアリング、サスペンション、当然ホイールも、しっかり当たり面の管理と締め付けボルトもしくはナットのトルク管理をくれぐれも用心されたい。安易な作業は、極めて重大な事故に結び付く可能性がある。

※FeseBookに「ILOVE.MINI」という、主にクラミニがメインのグループがあり参加している。そこに以前、車検整備完了して程なくフロントタイヤが外れてしまったという記事があった。その際、複数の参加者からコメントされており当方もコメントしたが、どうやらフロントセンターのクラウンロックナットの割りピンが貫通した残部の処理が悪く、ハブとホイールの当たり面に割りピン半面を挟み込んだままホイール締結ボルトを締め付けたのが原因と推定される。つまり、ハブとホイール当たり面が密着しないで浮いた状態で、回転過重でアルミホイールが座屈して締結ボルトの垂直抗力を急速に低下させたということだ。幸い、事故にもならず、フロントフェンダーの板金程度で済んだ様だが、プロの整備屋(こういうのをプロとは呼べないが)でも、こういう凡ミスをする。


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