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【書評】失敗の本質 戦場のリーダーシップ編

2021-09-02 | コラム
【書評】失敗の本質 戦場のリーダーシップ編
 この本は戦場のリーダーシップと記してあるが、その対象は戦場に限らず、また企業とか組織体の各部門長(マネージャー)などにも、そして単独の闘いにおいてさえ周辺外野をどう導くかという点でも、リーダーシップとしての能力は共通要素は多いと感じる。

 そもそも、拙人も特にサラリーマン時代は、民間企業であったが戦闘部隊の階級に例えたすれば、最下級士官か最上級下士官程度で、部隊行動する地位に就き悩んだ経験を持つ。また、軍隊では階級だけでなく、指揮官と参謀に分離出来るが、参謀としての10年弱を過ごしつつ、情報分析と戦略的な情報発信だとか教育という立場で過ごした。

 そんなこともあり、リーダシップ論というものに予て感心を傾けつつ、今回の書籍に限らず様々な該当本を読みあさって来たという思いだ。だから、この本で紹介されている、大東亜戦争(公式には太平洋戦争とされている)の各軍人の伝説に類したことは、既知の事柄が多いと感じた。ただし、筆者が違えば、その評価も違って来るのは当然で、そういう意味では、リーダーに求められる能力だとか思考という部分が巧くまとめられていて、参考とすべき点はあったというべきだろう。

 それと、私のブログで読書論的なもので、池波正太郎の記す「鬼平犯科帳」とか「剣客商売」は、何度も何度も繰り返し読んでも面白く感じるのだが、このことはだいたいの巻末に付されている書評を記す論者も同様の読み返しを繰り返していることを記しているので、私だけがそうしている訳でないことは確かだ。では、あらすじも何もかも判っている小説を繰り返し読んで、何が面白さを感じさせるのかということが、核心のところと思える。

 それは、これら小説が、全編を貫いてリーダーシップ論に満ちているからと思っている。世の大多数の方は、強い優秀な部下思いのリーダーの下で活躍して報償の言葉を受けたいと願うし、自分がリーダーの立場になったら配下からその様な思いで見られたいと思っているということが起因となっているからだろう。

 この本の序章で作者は優秀なリーダーを6つに区分される能力と定義している。それは以下の通りだ。
①善い目的を作る能力
②場をタイムリーに作る能力
③ありのままの現実を直感する能力
④直感の本質を概念化する能力
⑤概念を実現する政治力
⑥実蹟知を組織化する能力

これをもう少しシンプルにしたのが以下の3つだという。
①刻々と移り変わる局面(場)のミクロの状況を理解する「現場感覚」 ※先の②と③に相当
②それとは対象に、局面(場)をマクロに把握する「大局観」 ※先の①と⑤に相当
③先の2つを基に適宜・的確な指示を下す「判断力」 ※先の④と⑥に相当


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