German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

何故Neumannコンソールは日本のスタジオに導入されなかったのか?

2014-03-14 14:18:12 | 日記・エッセイ・コラム
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価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2013-11-22



お客様からの質問でタイトルのようなお問い合わせを頂きます。

私は1980年代にレコード会社のスタジオ部門に入社しましたが、その頃はSTUDER A800 アナログ24chマルチトラックとSSL 4000Eが最新鋭の機材だった時期で、数年前のディスクリート最終期の機材導入事情や今ではビンテージと呼ばれる機材などは特に興味を持つ事もなく新発表される機材を追い求めて日々仕事に没頭していました。

今思えば、W444sta世代のNeumannやV672世代のTelefuken、W295b世代のSiemens等は、当時最新鋭と言われたSSL 4000Eと比較しても遜色ないどころか、遥かにクオリティーの高い機材が存在し、現在も人気を博しています。

録音スタジオ系に勤務していた側の印象では、設備に関しては今も昔も米国追従、アンプ系はNEVEやSSL等の欧州勢力がメイン、一部APIやQUADEIGHTの米国機材はあるものの、ビートルマニアに支持された機材もFAIRCHILDやV72のみでV72以外のドイツ機材にスタジオでお目に掛かった事は、ほぼ皆無と言って良い状況でした。

一方、米国のマイク群はSURE SM57やElectro Voice RE20はお馴染みでしたが、それ以外は稀でNeumann U87を始めとして、AKGやSENNHEISER、Beyer等の欧州勢力が大多数を占める状況でした。

今ではボーカルマイクの代表格に位置づけられたU47ですが、'80年代はU67/87が圧倒的に多く、録音スタジオで導入されたのは'90年代とか割と後年になってからです。

そこで、当時の代理店について記憶を辿ると、NEVEやSSLは業界大手の輸入代理店が扱っていましたが、Neumannに関しては矢来町の「名物社長」が経営する個人商店のような代理店が扱っており、Summing Mixerをラッキングした経緯で考えると、コンソールなどの大型機材は到底扱えるような規模ではなかった事に気付きます。

また、当時の現地価格を調べると、非常に高価だと言われていたNEVEと比較しても、N20等のNeumannコンソールやW482st等のDannerモジュールは非常に高価で、現地価格の3~4倍に設定されていた国内価格の利幅を考えると欧米機材に軍配が上がったのだろうとも思います。

一方、マスタリング系の機材はNeumann勢力が優勢で、RV75HT75OE duoU473を始め、既にレジェンドとなったNTP 179-120等のDannerフォーマットで構成されたコンソールが多かったと記憶しています。

レコーディング/マスタリング/PAの世界はアーティストを中心にそれぞれ密接に連携された関係のように思いますが、当時の印象ではエンジニア同士の関係性は希薄で深い話をしたような記憶はあまりありません。

これは「音楽を扱う業務」と言う共通項はありますが、やり直しの利かないLIVEの世界では手荒に扱っても「壊れない機材」が重宝され、それに比べればスタジオの録音は多少のやり直しも利きますので、壊れないとかの丈夫さよりも「繊細さや音質にこだわった機材」に人気が集まります。

一方、レコーディングエンジニアの側からマスタリングを捉えると、スタジオで長時間掛けてMIXした素材をなるべく劣化させる事なく忠実に、、、と言う想いが当時は強かったので、あまりカラーレーションの強い機材は眉をひそめていた記憶があります。

その割にはレコーディングではカラーレーションを進んで求めていたりで今思えば何とも我が侭な立ち位置だったと反省するばかりです。

(海外のマスタリングを経験してからは全く違う価値観をマスタリングに求めるようになりましたが、長くなるのでここでは省きます。)

その事からもNeumannデスクは「カラーレーションが少ない」とか「個性がなくて録音には面白味に欠ける」とか勝手に思い込んでいた事になりますが、時間を経て改めて比べてみると、CLASS A NEVE程とは言いませんが、Neumannモジュールは押しの強い中低域でガッツある感じのイメージである事に驚きます。

このようにイメージされた印象と実際のサウンドには乖離がある場合が多く、誰が広めたのか知りませんが近年でも「Neumannはクリアで上品なサウンド」とかイメージを持たれる方も少なくありませんが、想像されたイメージと違えども価格からは想像出来ない程、高音質な音量調整機能付きプリアンプである事は紛れもない事実だと思います。

・機材選定のプロセスが米国追従であった。
・マイクを主に扱う代理店であった。
・録音スタジオでは試しもせずにイメージで評価をしていた。

以上の事から録音スタジオに導入されなかった理由は「確定的」には断言出来ませんが、背景や事情の一端はご理解頂ければ幸いです。



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