German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

ドイツの鬼門 - Saulheim

2013-10-10 00:33:51 | 日記・エッセイ・コラム
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フランクフルトの南西40km辺りに位置するSaulheimにDHL(ドイツ最大の輸送会社)の国際物流センターがありますが、そこの話題です。

フランクフルト税関と言えばバイオリニストがハンドキャリーした"ストラディバリウス" や "ガルネリ"を入国の際に差し押さえて高額の輸入税を課税したり、何かと悪名高い税関として有名ですが、近年ではDHLのSaulheimもそれに負けず劣らずの酷評を目にするようになりました。


ドイツ国内は19%の"MwSt"と呼ばれる日本の消費税に相当する付加価値税があり、海外向けに発送される商品の場合は無税となるのですが、売上税を過少申告するために"Commercial Invoice"(通関用の品目/価格明細)を意図的に同梱しなかったり、虚偽の過少申告で納税額を少なくしようとする輩が少なからず存在します。

やはり世の中、同じ事を考えている人が後を絶たないようで「これはイカン!」と新手の摘発方法か?申告内容と実勢金額とで余りにも乖離がある際には、Saulheimで輸出許可を出さず荷送人へ送り返し再輸入扱いとされて輸出申告額の19%を請求され、それを支払わないと懲罰的に荷物を没収される事案が報告されています。

余談ですが、ebay等で "inkl. MwSt." と記載されているセラーの出品は国外への発送であれば交渉次第で落札金額の約2割引になりますので、キッチリ輸出書類の提出を求め"Commercial Invoice"を必ず同梱させて輸入し、国内で課税された「税金」は、成田税関や川崎税関が「日本の鬼門」にならないよう素直に納付しましょう。

それ以外にもSaulheimで長期間放置されて、本来4~6日程度で到着予定の"premium"サービスを選択した貨物が届いたのが2ヶ月先だったなんて例も山程あります。


そこでDHL以外の輸送手段を考える訳ですが、私の知る限りドイツ国内で初めての輸送手段でも安心して大切な貨物を委託出来るのは"FedEx"くらいしか思い当たりません。

(都市部であれば他の選択も可能ですが、良品のGerman Vintageが残っているのは集荷集配が頻繁に行われない地方都市だったする可能性が高く、そんな地域でも迅速に集荷、発送してくれるのはDHLとFedExの2社だと思います。)

FedExは、ある程度の物流実績があり専用のアカウントが付与されている業者のレートはDHL並の料金で発送が可能ですが、単発でデリバリーを依頼した場合の送料はDHLと比べると実に4~5倍に相当します。

FedExパックでモジュール1~2本を輸入するだけなら「高い」と感じてもまだ現実的な送料の範囲内ですが、私が現地からの輸入する主たる目的は、大量の同じ商品群からの「選別」なので輸入重量は軽く50kgを越えてしまい、およそ現実的な送料とは考えられず「DHLにしておけ、、、」との悪魔の囁きが聴こえて来ます。


今回はセラーにもDHLを勧められた事もあって、その「囁き」に嵌り、正直な内容/輸出金額で発送させたにもかかわらず、何故か輸出許可が下りず荷送人の元へ送り返された後、再輸入扱いで課税される19%をセラーが支払って荷物を取り戻し、再び完璧に輸出書類を整えて再発送を試みている最中ですが、かれこれ1週間「Saulheim」で放置されています。(恣意、懲罰的に行われているとは考えたくはありませんが、、、)


DHLにも日本支社があります、しかしドイツ国内から発送されたDHL便は途中で日本郵政のEMS便に変更され国際間は別のAWB(エアウエイビルナンバー)が付与されるので、DHLの日本支社はこの件に関しては何ひとつ解決の手段にはなりません。


それのみならず、春頃までは「遅くても1週間」程度で着金していた銀行間送金も最近では「早くても10日間」掛かるようになり、ネットの情報で真偽の程は定かではありませんが「BIS(国際決済銀行)がクラッシュは避けられない」と語った。とか、アメリカではデフォルトの懸念が囁かれるなど物騒な記事も目にするようになり、経済と流通の世界に何か重大な変化が起こりそうな雰囲気が漂い始めています。


このようなコラムを書くとご注文頂いている方にあらぬ不安を与えてしまいそうですが、正式な受注契約を頂いている方々には、多少の納期遅延をご相談させて頂くかも知れませんが、何があろうとも必ずお約束通り納品させて頂きますのでご安心下さい。

予価見積をご呈示してお待ち頂いている方々や販売ページをご覧頂き購入をご検討頂いている方々には大変恐れ入りますが、(残り少ない在庫商品は除き、)新規の輸入を要する商品に関しましては大胆な価格改定が必要になる可能性もありますのでご理解頂ければ幸いです。



ドイツ郵政庁が民営化されて巨大トランスポーターとなった「DHL」と20%近い「MwSt.」付加価値税、、、

この組み合わせに何やら日本の将来を暗示するような戦慄を覚える今日この頃です。